東北大学が生命のATPエネルギーついに解明

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高校生物や化学で学習する生体内でのエネルギーの通貨アデノシン三リン酸(ATP)について、東北大学がそのエネルギーの詳細な分子メカニズムを明らかにしました。

東北大学ATPのメカニズム解明

高校生物でおなじみの物質ATP。アデニンという塩基にリボースという糖が結合したアデノシンに3つのリン酸が結合したもので、そのうちの2つのリン酸の結合が高エネルギーリン酸結合となっておりそこにエネルギーが蓄えられています。このATPが加水分解されることでアデノシン二リン酸(ADP)になることで31kJ/molのエネルギーを放出すると学習しました。

生物は、このエネルギーを利用して生命維持活動を行っています。今回、東北大学大学院理学研究科高橋英明准教授たちの研究グループが、高校生物や化学の教科書を書き換えるようなATP エネルギーの詳細な分子メカニズムを明らかにしました。

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超並列計算が水の働きを明示

生物のエネルギーの通貨であるATPは、これまでその物理的理解のために量子力学計算により多くの研究がなされてきましたが、実験値を定量的に説明することができませんでした。

これまで、ATPのエネルギーは、ATPの分子構造に高エネルギーリン酸結合という形で内在する形で蓄えられていると考えられており、その他の物質の働きには注目が集まりませんでしたが、1990 年代に入り、水の影響を連続体として取り入れ試みもなされました。しかし、水に溶けた溶質の、それぞれの水和自由エネルギーを精密に求めることも計算量の膨大さから困難な課題になっていました。

今回、東北大学大学院理学研究科の高橋英明准教授らは、多数のCPU(コンピュータ中央処理装置)を並列に繋いで超高速の量子力学シミュレーションを行うことを可能にしました。さらに大阪大学の松林伸幸教授が開発した高精度高速の水和自由エネルギー計算手法を融合し、水中のATP加水分解反応のエネルギーを高い精度で計算することに成功しました。

計算では、ATPのADPへの分解により電子エネルギーが大きく低下すると同時に溶質の水和自由エネルギーが大きな上昇し、これらが水という媒体の中で相互に精妙にキャンセルすることが判明しました。その結果、加水分解自由エネルギーがATPのイオン価数によらずほぼ一定の値になるという微視的メカニズムが初めて明らかにされました。

現行の高校生物の教科書では、ATPの合成や分解に関する記述はたしかに漠然としたものでしたが、今後の教科書改訂時にどこまで修正されるかが気になるところです。

ATP豆知識

アデノシン三リン酸(ATP)は、エネルギーの通貨でありながら体内に貯めておくことができないという性質があります。構成している物質であるリボースが非常に壊れやすい糖であるからです。ATPのほとんどは合成されてから1分以内には消費されてしまいます。

成人の男性で、体内で一日に合成されるATPは何と40kg~50kgにもなります。細胞1個で合成されるATPは一日あたり約0.83ng(ナノグラム)。人の全細胞を約60兆個とすると、安静時でもATP合成量は約50kgにも上ります。

一日で約50kg近いATPが合成されるのに、なぜ体重は変化しないのかというと、合成されたATPは生命現象のためすぐに消費されADPとリン酸に分解され、即座にまたリン酸を1つくっつけてATPに合成するということを繰り返しているからです。

まとめ

量子力学の発展により、これまでわからなかった超微細な生命現象の仕組みが解明されてきています。今回の研究の成果を見てみても、重要なのは、既存の手法をや手段を組み合わせる想像力ではないでしょうか。

この21世紀は想像力が大切になる時代です。今あるものを組み合わせたり、無いものは自ら創り出したり、創造性が非常に重要になってきます。想像力を養うためには、机に座って参考者や問題集ばかりに時間を費やすのではなく、多くの書籍を読んだり、外出して多くの人と出会ったり、色んなイベントやセミナーなどにも積極的に参加したり、自然をじっくりと観察することも大切です。

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