無機化学の16族元素である、酸素Oと硫黄Sについて学習します。特にここでは、硫酸の工業的製法である「接触法」が頻出になります。
酸素の単体
酸素の単体には同素体がありました。酸素O2とオゾンO3です。それぞれの性質や製法をしっかりと覚えましょう。
酸素O2
酸素O2は酸素原子Oの2原子分子です。2原子分子ですので原子の形は直線形で、無色・無臭。空気中に約20%含まれており、液体空気の分留によって得ることができます。
酸素の製法
酸素を実験室でつくり出すには、次の2つの方法があります。いずれも酸化マンガン(Ⅳ)は触媒としてはたらきます。
- 過酸化水素水に酸化マンガン(Ⅳ)を加える。
2H2O2→2H2O+O2↑ - 塩素酸カリウムと酸化マンガン(Ⅳ)の混合物を加熱する。
2KClO3→2KCl+3O2↑
オゾンO3
オゾンO3は酸素原子Oの3原子分子です。分子のかたちは折れ線形で、淡青色で特異臭の気体です。地上20km付近で濃度が高く、この層をオゾン層といいます。
オゾンの製法
オゾンO3は、酸素O2の中で無声放電を行うか、酸素O2に紫外線を照射することで得られます。
- 3O2→2O3
オゾンO3の検出方法
オゾンは強い酸化作用を示す気体ですので、湿ったヨウ化カリウムデンプン紙で調べることができます。
- ヨウ化カリウムデンプン紙→青紫色
2KI+O3+H2O→I2+2KOH+O2
I2ができるのでヨウ素デンプン反応が起こり青紫色になる。
硫黄の単体
硫黄にも同素体があります。斜方硫黄S8、単斜硫黄S8、ゴム状硫黄Sxです。単斜硫黄やゴム状硫黄を常温で放置すると、安定な斜方硫黄に変化します。
硫黄の単体を空気中で加熱すると、青い炎をあげて燃え二酸化硫黄SO2になります。
硫黄の化合物
硫黄の化合物は、酸化還元反応で頻繁に登場します。酸化剤になるのか還元剤になるのかなどしっかりと覚えましょう。覚える化合物は次の3つです。
- 硫化水素H2S
- 二酸化硫黄SO2
- 硫酸H2SO4
硫酸は次の記事で説明します。
硫化水素H2S
硫化水素H2Sは、無色で腐卵臭の有毒な気体です。水に溶かすと弱酸性を示します。また、強い還元作用を持つ気体で、硫黄Sに変化し黄白色の沈殿が生じます。
- SO2+2H2S→3S↓+2H2O
- H2S+I2→S↓+2HI
硫化水素の実験室的製法
硫化水素を実験室で発生させる場合は、硫化鉄(Ⅱ)FeSに強酸である塩酸か硫酸を加えて発生させます。
- FeS+2HCl→FeCl2+H2S↑
二酸化硫黄SO2
二酸化硫黄SO2は無色で刺激臭の有毒な気体です。水に溶かすと亜硫酸H2SO3となり弱酸性を示します。また、SO2は亜硫酸ガスとも呼ばれます。
還元剤としてはたらく場合
多くの場合、二酸化硫黄は還元剤としてはたらきますので、漂白剤として使用されています。過酸化水素H2O2と二酸化硫黄SO2の反応では、SO2がSO42-になり、H2O2はH2Oになります。
- H2O2+SO2→H2SO4
酸化剤としてはたらく場合
強い強い還元作用を持つ気体である硫化水素H2Sと反応する場合は二酸化硫黄は酸化剤としてはたらき、硫黄Sに変化し黄白色の沈殿が生じます。
- SO2+2H2S→3S↓+2H2O
二酸化硫黄の実験室的製法
二酸化硫黄SO2の実験室的製法は次の2つを覚えておきましょう。
- 銅に濃硫酸を加え加熱する。
Cu+2H2SO4→CuSO4+SO2↑+2H2O - 亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加える。
Na2SO3+H2SO4→Na2SO4+SO2↑+H2O
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