高校生物で学ぶ細胞呼吸の中でも、「電子伝達系」はATPを大量に合成する重要なステップです。ミトコンドリアの内膜でどのように電子が運ばれ、どのようにATPが作られるのかを理解することは、定期テストや大学入試においても頻出のポイント。この記事では、NADH・FADH₂のはたらきや酸素の役割、酸化的リン酸化のしくみなどを図解を交えてわかりやすくまとめます。
電子伝達系
呼吸の第1段階「解糖系」、第2段階「クエン酸回路」で集められた水素HはNADH+H+やFADH2などのはたらきで、電子伝達系へと送られます。
電子伝達系に送られた水素Hは、水素イオンH+と電子e–に分かれ、電子はミトコンドリア内膜のタンパク質複合体に次々に受け渡され酸化還元反応が繰り返されます。
この電子の流れによって生み出されたエネルギーにより、ミトコンドリアのマトリックス側にある水素イオンが内膜を通過し、内膜と外膜の間隙に能動輸送されます。
その結果、内膜を挟んでマトリックス側と間隙側で水素イオンの濃度勾配が生じ、濃度勾配に従ってATP合成酵素を水素イオンが通過するときにADPがATPに合成される仕組みが電子伝達系です。

電子伝達系の反応式
電子伝達系では、解糖系やクエン酸回路から送られてきた10(NADH+H+)と2FADH2が内膜に電子を供給し、水素イオン24個と6分子の酸素O2が結合し12分子の水ができます。
- 10(NADH+H+)+2FADH2+6O2→12H2O+10NAD++2FAD
このとき最大で34分子のATPが合成されます。また、電子伝達系では直接酸素O2を使った反応が起こりますので、酸素が供給されない条件下では電子伝達系は機能しません。
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