生物基礎で免疫を学習します。そこで登場するのが白血球です。いろいろな種類が登場するので、白血球やリンパ球、T細胞やB細胞などごちゃ混ぜになっている生徒が多いようです。今日は免疫の主役である白血球についてまとめています。
免疫の主役「白血球」の種類
免疫とは、自己と非自己(異物)を区別して非自己(異物)を排除する仕組みをいいます。免疫には多くの白血球が関与しており、以下の種類が存在します。
- 樹状細胞
- マクロファージ
- 顆粒白血球(好中球など)
- リンパ球
樹状細胞
白血球の一種である樹状細胞は、皮膚や粘膜に多く存在し、食作用により異物を排除する役割があります。
樹状細胞の最も重要な役割は、食作用により取りこんだ抗原を、リンパ球の一種であるヘルパーT細胞に抗原提示することです。マクロファージも抗原提示しますが、樹状細胞の抗原提示能力はマクロファージよりも格段に高いことも知られています。
樹状細胞は骨髄でつくられ、胸腺におけるT細胞の成熟にも関与します。
マクロファージ(大食細胞)
血管内では白血球の一種である単球として存在していますが、血液中から組織液中に出るとマクロファージ(大食細胞)に分化します。白血球の中でも大型で、食作用により異物を排除する役割があります。
食作用により分解した異物の一部を細胞表面に提示して、ヘルパーT細胞に抗原提示も行います。
顆粒白血球
粒状の白血球で、好中球、好酸球、好塩基球などが存在します。食作用により異物を排除する役割があり、特に好中球のはたらきが活発です。
抗原抗体反応により凝集された複合体を取り込む能力が非常に高いことが知られています。
リンパ球
細胞性免疫や体液性免疫である獲得免疫で活躍するのがリンパ球です。リンパ球にはT細胞やB細胞があり、獲得免疫で異物を排除する役割があります。
リンパ球の種類
リンパ球にはいろいろな種類が存在するので、こちらもしっかりと覚えていきましょう。リンパ球には次のようなものがあります。
- ヘルパーT細胞
- キラーT細胞
- B細胞
- ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
ヘルパーT細胞
ヘルパーT細胞には、抗原提示を受けてキラーT細胞やB細胞を活性化させる働きがあります。ヘルパーT細胞の表面にあるTCR(T細胞受容体)で抗原提示を受けると、インターロイキンを分泌してキラーT細胞やB細胞を活性化させます。
ヘルパーT細胞は、骨髄でつくられた後、胸腺に移動して成熟します。胸腺では免疫寛容できない自己反応性のT細胞が排除されます。
キラーT細胞
キラーT細胞は、獲得免疫の細胞性免疫で活躍するリンパ球です。ヘルパーT細胞のインターロイキンを受容すると、感染細胞などの非自己細胞を排除します。
キラーT細胞は、ヘルパーT細胞と同じく、骨髄でつくられた後、胸腺に移動して成熟します。
B細胞
B細胞は、獲得免疫の体液性免疫で活躍するリンパ球です。ヘルパーT細胞のインターロイキンを受容すると、抗体産生細胞に分化し抗体をつくりだします。
B細胞はT細胞と異なり、骨髄でつくられた後、そのまま骨髄で成熟します。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
ナチュラルキラー細胞は、自然免疫で活躍するリンパ球で、感染細胞などの非自己細胞を排除します。特にがん細胞への攻撃能力が高いのが特徴で、単独で自己・非自己を判断できるのが特徴です。
以上が免疫システムを支える白血球たちです。
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