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【生物】重複受精のポイント・練習問題

被子植物の配偶子形成が終り、精細胞と卵細胞がいよいよ受精します。ここでは、重複受精のしくみと被子植物の発生、トレニアの胚珠の誘引物質の実験を学習します。練習問題もあわせて解きましょう。

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重複受精

被子植物の花粉がめしべの柱頭に付くと、発芽して花粉管が胚珠に向かって伸び始めます。花粉管の先端が胚珠にある胚のうに達すると、花粉管の先端が破れ、2個の精細胞が放出されます。

放出された精細胞(n)のうち1つは、卵細胞(n)と受精して受精卵(2n)になります。もう1つは、中央細胞(n+n)の2個の極核と受精して胚乳核(3n)になります。

このように、受精が重複して行われるので、この受精方法を重複受精(じゅうふくじゅせい)といいます。重複受精後は、卵細胞、胚乳核をつくった中央細胞ともに体細胞分裂を行い、それぞれ、胚(2n)胚乳(3n)を形成します。

重複受精

重複受精は被子植物のみで起こる特別な受精方法です。裸子植物の場合、受精する前に胚乳がつくられるので、重複受精は起こりません。

受精卵から胚ができるまで

重複受精後、受精卵は胚に、中央細胞は胚乳に発生しますが、ここをもう少し詳しく見ていきましょう。

被子植物の発生

精細胞と卵細胞の受精によって生じた受精卵は、まず1回の体細胞分裂を行い大小2つの細胞になります。大きい方の細胞は体細胞分裂をくり返し、やがて胚柄(はいへい)に、小さい方の細胞は体細胞分裂をくり返して胚球(はいきゅう)になります。

胚柄はやがて退化し消失しますが、胚球からは子葉(しよう)・幼芽(ようが)・胚軸(はいじく)・幼根(ようこん)が生じ、胚が形成されます。

一方、精細胞と中央細胞の2つの極核が受精し生じた胚乳核は、体細胞分裂をくり返し、さらに発芽に必要な養分を蓄えて胚乳になります。しかし、胚乳核の分裂が途中で終了し、最終的に胚乳が発達しない種子もあります。このような種子は無胚乳種子と呼ばれ、発芽のための養分を子葉に蓄えています。

  • 有胚乳種子…胚乳を持つもの
    <例>イネ、ムギ、トウモロコシ、カキ ※単子葉類が多い
  • 無胚乳種子…胚乳を持たず、子葉に養分を蓄えているもの
    <例>マメ科(エンドウ・ダイズ)、アブラナ科(アブラナ・ナズナ)、ウリ科(スイカ・カボチャ)、キク科(ヒマワリ)、クリ、アサガオ ※双子葉類が多い

胚珠全体は種子になり、胚と胚乳をその中におさめています。胚珠をおおっていた珠皮は、やがて種皮になることも覚えておきましょう。

トレニアの胚珠の実験

被子植物の重複受精に関して、トレニアという花の実験があります。この実験で、花粉管を卵細胞に誘導するのが助細胞であることが証明されました。

受精する際に、花粉管は正確に胚珠に向かって伸びていきます。これは花粉管を卵細胞まで引き寄せる誘引物質が放出されているからだと考えられました。このことを証明するために、次のような実験が行われました。

  • 卵細胞を破壊→花粉管は正常に誘導される
  • 助細胞を破壊→花粉管は正常に誘導されない

この実験から、誘引物質を放出するのは助細胞であることがわかり、のちにこの誘引物質の実態が解明され、ルアーとなずけられました。トレニアの練習問題もありますので、演習してみてください。

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【練習問題】重複受精

まずは、以下の一問一答問題に答えましょう。

(1)2つの精細胞のうち1つは、卵細胞と合体し何になるか。
(2)2つの精細胞のうち1つは、中央細胞の2つの極核と合体し何になるか。
(3)(1)(2)のような被子植物に特有な受精の様式を何というか。
(4)被子植物の受精卵と胚乳の核相を答えよ。
(5)胚乳核は体細胞分裂をくり返し、やがて何になるか。
(6)受精卵は体細胞分裂をくり返して胚球と何になるか。
(7)胚球は更に分裂して胚になるが、胚のつくりの名称を4つ答えよ。
(8)イネやカキの種子のように、胚乳に発芽のための養分を蓄えた種子を何というか。

解答
(1)受精卵(胚)
(2)胚乳核(胚乳細胞)
(3)重複受精
(4)受精卵:2n 胚乳:3n
(5)胚乳
(6)胚柄
(7)子葉、幼芽、胚軸、幼根
(8)有胚乳種子

【図解問題】重複受精と被子植物の発生

下の図のA~Kの名称を答えよ。

重複受精と被子植物の発生 問題

解答
A:受精卵 B:胚乳核 C:胚 D:胚乳
E:胚球 F:胚柄 G:子葉 H:幼芽 I:胚軸 J:幼根 K:胚

【考察問題】トレニアの誘引物質

被子植物のトレニアの胚珠は、胚のうの一部が裸出しており、卵細胞、助細胞および中央細胞の一部を顕微鏡で容易に観察できる。花粉管の誘引にかかわるのがどの細胞かを調べるために、未受精あるいは受精後の胚のうを含む胚珠を切り出して、卵細胞、助細胞または中央細胞のいずれかをレーザー光線で死滅させて観察したところ、次の表の結果が得られた。

胚のうの種類死滅させた細胞花粉管の誘引
未授精の胚のうなしあり
卵細胞あり
中央細胞あり
助細胞1個あり
助細胞2個なし
受精後の胚のうなしなし

この実験から得られる結果に関し、花粉管の誘引に必要な細胞と、受精前後での誘引物質の変化に関する考察の組み合わせとして最も適当なものを、次の選択肢①~⑥から一つ選べ。

選択肢誘引に必要な細胞受精前後での誘引活性の変化
卵細胞受精後に失われる
卵細胞受精とは無関係に維持される
助細胞受精後に失われる
助細胞受精とは無関係に維持される
中央細胞受精後に失われる
中央細胞受精とは無関係に維持される

解答

助細胞2個を死滅させた場合、花粉管が誘引されないことから、助細胞が誘引物質を放出していると考察できる。また、受精後は死滅させた細胞がない完全な胚珠でも、花粉管の誘引が見られないことから、受精後に誘引活性が失われることもわかる。

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