センター試験「化学基礎」科目で出題される内容で、濃度の計算が苦手な生徒が多く見受けられます。とくに、モル濃度と質量パーセント濃度が混在するタイプで戸惑っているようです。今日は密度を使ったモル濃度と質量パーセント濃度の変換問題にも挑戦しましょう。
モル濃度とは
モル濃度とは、溶液1Lに対して物質が何mol溶けているかを表す量です。単位は[mol/L]で溶液1Lに物質が〇〇mol溶けていますよということを表しています。
- 水酸化ナトリウム水溶液2.0mol/L
水酸化ナトリウム水溶液1L中に、固体の水酸化ナトリウムNaOHが2.0mol溶けている。 - 塩酸0.5mol/L
塩酸1L中に、気体の塩化水素HClが0.5mol溶けている。
モル濃度の基本計算
まずは基本的な計算をマスターしましょう。モル濃度[mol/L]は溶液1Lに溶質が○○mol溶けているという意味であることをしっかりと意識しながら解いていきましょう。
- 2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLに水酸化ナトリウムは何g溶けているか。
まずは2.0mol/LのNaOH水溶液100mL中に何molの水酸化ナトリウムNaOHが溶けているか計算します。
2.0mol/L ×100/1000 = 0.2mol
次に、0.2molの水酸化ナトリウムNaOHが何gか計算します。
NaOHの式量は各原子量を合計し、
23+16+1=40
原子量や式量、分子量は1molあたりの質量と同じなので、NaOHが1molあれば40g/molになります。したがって、NaOH 0.2molの質量は、
40g/mol × 0.2mol = 8.0g - 0.5mol/Lの塩酸を200mLつくるには塩化水素は何L必要か。
まずは何molの塩化水素が必要かを計算します。0.5mol/Lの塩酸を200mLつくるためには、
0.5mol/L × 200/1000 = 0.1mol
気体の塩化水素HClが0.1mol必要であるとわかります。
どんな物質であろうと、気体の場合1molの体積は22.4Lなので、0.1molの気体の体積は、
22.4L × 0.1mol = 2.24L
このように地道に計算していきます。次は質量パーセント濃度です。
質量パーセント濃度
質量パーセント濃度とは、その名の通り質量を使って求めた濃度です。単位は[%]を使います。溶液の質量に対して溶質が何g溶けているかを百分率で表したものです。次の計算式で求めることができます。
- 質量パーセント濃度 = 溶質の質量[g]/溶液の質量[g] ×100
水溶液全体の質量に対し、溶けている物質の質量が何%になるかをあらわしただけです。
質量パーセント濃度の基本計算
質量パーセント濃度は、質量のみを使って濃度を計算します。基本計算をまず行ってみましょう。
- 水100gに水酸化ナトリウム25gを溶かしたときの質量パーセント濃度は。
溶液の質量は、
水100g+水酸化ナトリウム25g=125g
このうち、溶けている水酸化ナトリウムは25gなので、
25/125 × 100=20% - 10%の希硫酸196g中にH₂SO₄は何mol存在するか。
ます、希硫酸196g中にH₂SO₄が何g溶けているかを計算します。濃度が10%なので、
196g × 0.1 = 19.6g
次に、H₂SO₄の分子量を求めます。各原子量を合計し、
1×2+32+16×4=98g/mol
最後に、H₂SO₄19.6gが何molなのかを計算します。
19.6/98 = 0.2mol
質量パーセント濃度からモル濃度を計算する
濃度の計算でよく出題される問題が、質量パーセント濃度をモル濃度に直したり、モル濃度を質量パーセントに直す計算です。2つの濃度をつなぐ架け橋として密度[g/cm³]が与えられます。
密度[g/cm³]を使うことで、[g]を[L]に、[L]を[g]に変換することができます。ここで知っておくべきことは次の通りです。小学校で習ったことです。
- 1mL = 1cm³
- 1L = 1000mL =1000cm³
それでは問題に挑戦しましょう。
【問題】濃度の変換
H…1、S…32、O…16
解答・解説
モル濃度を計算するので、濃硫酸の体積を1Lとする。
濃硫酸1Lの質量は、
1L = 1000cm³
1000cm³ × 1.8g/cm³ = 1800g
質量パーセント濃度が98%なので、溶けているH₂SO₄の質量は、
1800g × 0.98 = 1764g
次に、1764gのH₂SO₄が何molなのか計算します。
H₂SO₄の分子量は、
1×2+32+16×4=98g/mol
1764g / 98g/mol = 18mol
濃硫酸の体積を1Lとして計算したので、
18mol/L
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