原子の構造の中でも重要なのが「同位体」です。同位体とは何なのか、また、放射性同位体についても詳しく見ていきましょう。
同位体とは
同じ原子だが、質量数が異なる原子を互いに同位体(アイソトープ)といいます。同じ原子だということは、原子番号が同じ、つまり、陽子の数が同じであるということです。陽子の数が同じで質量数が異なるということは、中性子数が異なるということになります。下の図は、水素Hの同位体を表したものです。
同位体は中性子の数が異なるだけなので、基本的にその性質はほぼ変わりません。また、ほとんどの原子には同位体が存在しますが、フッ素F、ナトリウムNa、アルミニウムAlなどには同位体が存在しないことも覚えておきましょう。
同位体と陽子・電子・中性子数
同位体について理解できたか、次の表を埋めてみましょう。原子番号=陽子数(=電子数)、質量数=陽子数+中性子数でしたね。
原子番号(=陽子数)、電子数は全く一緒ですね。中性子数が異なるので質量数が変化していることがわかると思います。
同位体と分子の数
同じ元素でも同位体が存在するということは、その元素からつくられる同じ分子も数種類の分子が存在することになります。酸素分子O₂で考えていきましょう。まずは、下の問題に挑戦してください。
- 16Oー16O
- 16Oー17O
- 16Oー18O
- 17Oー17O
- 17Oー18O
- 18Oー18O
ということで、答えは6種類になります。
【問題】同位体の練習問題
Q:次の文章を読み(1)〜(3)について答えよ。
ある元素には、2種類の同位体A、Bが存在する。Aの原子番号は53で、AとBの質量数の合計は258になり、また、AはBより質量数が4だけ大きい。
(1)A、Bの電子数はそれぞれいくらか。
(2)A、Bの質量数はそれぞれいくらか。
(3)A、Bの中性子数はそれぞれいくらか。
【解答・解説】同位体の練習問題
A
(1)A:53 B:53
原子番号=陽子数で、原子では陽子数=電子数が成り立つ。原子番号はどちらも53なので、電子数も53になる。
(2)A:131 B:127
AはBより質量数が4大きく、AとBの質量数の合計が258なので、Aの質量数をxとすると、
x+(x-4)=258 x=131
したがって、Aの質量数は131、Bの質量数は131ー4=127
(3)A:78 B:74
質量数=陽子数+中性子数なので、中性子数=質量数ー陽子数となります。
Aの中性子数=131ー53=78
Bの中性子数=127ー53=74
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