入試によく出る「農業・農民に関する歴史」のまとめです。農業史は、入試でも最も差が出るテーマ史の1つです。センター、私立大学でもよく出題されるので、完全に習得しておきたいところです。それでは、【大学受験・日本史】入試によく出る「農業・農民に関する歴史」のまとめをみていきましょう。
農業・農民に関する歴史
弥生時代(水稲耕作の始まり)の農業
板付遺跡(福岡県)、菜畑遺跡(佐賀県)で確認できます。農具は、当初は木製で、じきに、鉄製の農具を使うようになります。
奈良時代の農業・農民
律令制のもと、農民負担が生じます。
- 租…1反あたり2束2把の稲を納める。収穫の約3%にあたる。
- 調…地方の特産物
- 庸…歳役10日の代わりに布を納める。正丁なら2丈6尺である。
- 雑徭…国司のもとでの年間60日以内の労役(のち桓武天皇の時、半減されて30日以内となる)
- 出挙…稲の強制的貸し付け
- 義倉…元来は飢饉対策。粟を蓄えた。
平安時代の農業・農民
荘園農民への負担
- 年貢(祖に相当)…米
- 公事(調に相当)…各地の特産物
- 夫役(庸・雑徭に相当)…労役
鎌倉時代の農業・農民
- 肥料の改良(刈敷や草木灰)
- 二毛作の開始(裏作は、麦が中心)
- 商品作物栽培開始
室町時代の農業・農民
- 刈敷や草木灰が普及
- 二毛作が普及。一部、三毛作も発達し、米、蕎、麦の栽培。
- 稲の改良(早稲、中稲、晩稲)
江戸時代の農業・農民
新田開発により、耕地の拡大。
- 田畑永代売買禁令(1643)…田畑の売買を禁止する3条を示しました。小農民経営を維持し、農民層の階層分化が進むことを防止する目的。
- 慶安触書(1649)…本百姓体制を維持し、年貢を確保するため。
- 農具が進化…備中鍬(深耕可)、水車、踏車、千歯こき、唐臼、唐箕、千石とおし
- 農書…「農業全書」(宮崎安貞)施肥よりも耕耘や除草の技術を中心に記述
- 商品作物栽培…四木 =茶、楮、漆、桑。三草=麻、藍、紅花。他には煙草、菜種、木綿など
一方、工業では、問屋制家内工業が発達。問屋が登場して原料や道具を用意してくれ、 農民は家で働くだけで収入を得ることができるようになる。
明治時代の農業・農民
農民は、兵役の義務などの新しい負担を負わされたり、伝統的な生活様式を強制的にかえさせられたりしたので、これらに反対してしばしば一揆をおきました。明治初年の農民一揆には、地租改正反対・徴兵令反対・小学校廃止などの要求のほかに、廃藩置県による知藩事の罷免反対、伝染病予防措置反対などにみられるように、古い生活をまもろうとする要求もあった。
昭和時代の農業・農民
農地改革
GHQによっておこなわれた農地改革によって、不在地主の小作地は強制的に買収され、小作人に安く売り渡された。しかし、日本政府によって進められた農地改革が不十分であったため、GHQの勧告をもとに自作農創設特別措置法が成立し、改革はさらに進められた。
食糧管理制度
1942年制定の食糧管理法に基づく、食料の安定供給のため生産・価格・流通を統制。食管制度は、1995年まで形を変えながら存続。
- 総合農政…1967年には過剰米が発生。1968年以降、食管制度は来の安定供給・農業近代化・農業維持等の制度へと転換(総合農政)。
- 自主流通米の導入…1969年、自主流通米制度が発足。生産者は政府を通さずに卸売業者に直接販売することができるようになった。
- 減反政策…1970年、政府は農家による米の作付面積を制限。離農を促進。
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