【高校地理】世界の石油産業についてのまとめです。
世界の石油産業
西アジアを特徴付ける最も重要な色が「黒い黄金」の石油である。石油は古くからその存在を知られていたが、近代的技術による採掘は、1908年にオーストラリアの鉱山開発で成功したイギリス人技師ダーシーが、イラン南西部のマスジド=イ=スレイマン地区で、西アジアにおける最初の油井掘削に成功してからであり、1912年に本格的な生産が始まった。
世界の油田地帯
1920年代にイラク、1930年代にバーレーン・サウジアラビア、1940年代にクウェート・カタール、1960年代にアラブ首長国連邦・オマーンで採掘に成功し、しだいに生産量が増加した。現在、西アジアは世界の石油の30%ほどを生産し、その確認埋蔵量は60%近くを占め、世界最大の油田地帯である。
しかし、産油国がその富を十分に享受できるようになったのは、ごく最近のことである。近代的技術と巨額の資本を必要とする石油開発は、メジャーと呼ばれる国際石油資本によって進められ、産油国は初め、これらの資本からのわずかな利権料を手にするにすぎなかった。
先進資本主義国の巨大な多国籍企業で、かつては石油の生産・流通をすべておさえ、産油国を支配していた。OPEC(石油輸出国機構)による資源ナショナリズムの動きの中で、生産部門の支配力は低下したが、今なお影響力は大きい。
石油機構の設立
産油国は、石油輸出国機構(OPEC)やアラブ石油輸出国機構(OAPEC)を結成してメジャーに対するようになり、1970年代の2回の石油危機を通じて、産油国は原油価格の大幅な引上げと経営参加、さらには海囲の国有化を実現した。
このように、西アジア・北アフリカの産油国に、世界でも有数の富める国に変貌したが、石油のみに依存する経済は原油価格の変動に左右されやすく、不安定な構造はいまだ に解決されていない。7~8社あったメジャーは、合併などによって大規模化を進めているが、支配する石油生産量は10%程度に低下し、国の国営企業の比重が高まり、イラン・サウジアラビア・中国・ベネズエラ・ブラジル・マレーシア・ロシアの7カ国の国営会社の合計は30%に及んでいる。また、メジャーは天然ガスを燃料電池などに投資して、総合エネルギー商社に向かっている。
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