市場の失敗
市場の失敗とは、
- 価格機構が正常に作用しなくなるケース。
- 市場内部の活動が、外部の第三者に影響を及ぼすケース。
- 市場自体が成立しないケース。
の3つのケースを指します。
価格機構が正常に作用しなくなるケース
このケースは、買い手が減っても価格が下がらない独占・寡占市場を指している。
- 独占…携帯電話普及前のNTTの電話事業のような形態。1社支配ほかにライバル社が存在しない。
- 寡占…ビール大手4社みたいな形。少数社支配。(例)キリン、アサヒ、サッポロ、サントリー4社が手を組めば、ほかにライバル社はほぼない。
独占・寡占の共通点は、値下げ競争をするライバル社が市場にいない点だ。特に独占市場には、競争相手のライバル社が1つもない。寡占市場では一見値下げ競争がありそうに見えるが、4社が手を組んで、まったく同じ高めの価格設定(=管理価格)さえすれば、独占と同じ形をつくれるんだから、値下げ競争なんてしない方が得策だ。価格の下方硬直化という。
市場内部の活動が、外部の第三者に影響を及ぼすケース
市場内部の活動が、外部の第三者に影響を及ぼすケースは、商品の売り手や買い手が、それ以外の人に迷惑をかけるケースを指しています。これを外部不経済という。たとえば、この工場から出る煙で、その工場の製品を使わない人が、公害の被害を受けるならば、これは市場外の第三者に迷惑をかけてることになる経済。
市場自体が成立しないケース
市場自体が成立しないケースは、買い手はいるが売り手がいない商品であり、公共財を指します。
- 公共財…道路や公園などの公共性の強い財。
かなりの需要がありますが、道を通る歩行者と車全部からお金を徴収するのは大変な手間です。結局、公共財は、需要はあるけどつくっても利益にならないから、私企業は供給してくれないんだ。その供給は、採算を度外視した政府の公共事業を待つほかない。
コメント