大学入試生物で、質問が多いのが「クエン酸回路」です。解糖系までは簡単に覚えられますが、クエン酸回路や電子伝達系はどこまで覚えればいいのかわかりません。今日は大学入試で必要なポイントを説明します。
クエン酸回路
クエン酸回路は、呼吸の第二段階の反応です。ミトコンドリアのマトリックスで行われる反応です。
- 解糖系
細胞質基質で行われる - クエン酸回路
ミトコンドリアのマトリックスで行われる - 電子伝達系
ミトコンドリアの内膜で行われる
解糖系と同じく、1分子のグルコースから2分子のATPが生じます。クエン酸回路全体の反応は次の式で表せます。
クエン酸回路では、ピルビン酸1分子当たり1ATPが生じ、NADH+H+は4つ、FADH2は1つ電子伝達系に送られます。
- C3H4O3+3H2O+FAD+4NAD+→3CO2+FADH2+4(NADH+H+)
グルコース1分子当たりピルビン酸は2分子できるので、クエン酸回路にピルビン酸2分子が投入されると、次のような反応になり、ATPも2分子生じます。
- 2C3H4O3+6H2O+2FAD+8NAD+→6CO2+2FADH2+8(NADH+H+)
クエン酸回路では酸素を直接使いませんが、酸素が無い状態だと先の電子伝達系が機能しなくなり、クエン酸回路自体も停止してしまいます。
クエン酸回路を詳しく
簡単にクエン酸回路を説明しましたが、実はまだまだ覚えないといけないことはたくさんあります。下図をもとに説明します。
- 解糖系からグルコース1分子当たり2分子のピルビン酸が送られてくる。
- 1分子のピルビン酸は脱炭酸、脱水素酵素のはたらきで炭素Cと水素Hが抜かれ1分子のアセチルCoA(活性酢酸)になる。
- 1分子のアセチルCoAは1分子のオキサロ酢酸と1分子の水H2Oと反応してクエン酸になる。
- クエン酸がイソクエン酸になり、脱炭酸、脱水素酵素のはたらきで炭素Cと水素Hが抜かれ1分子のαケトグルタル酸になる。
- 1分子のαケトグルタル酸も脱炭酸、脱水素酵素のはたらきで炭素Cと水素Hが抜かれ、水分子1個を使って1分子のスクシニルCoAとなる。
- スクシニルCoAからATPが1分子生成されて1分子のコハク酸が生じる。
- 1分子のコハク酸、脱水素酵素のはたらきで脱水素され、水素はFADに渡され、コハク酸は1分子のフマル酸となる。
- 1分子のフマル酸と1分子の水が反応して1分子のリンゴ酸が生じる。
- 1分子のリンゴ酸は脱水素酵素のはたらきで水素Hが抜かれ1分子のオキサロ酢酸となる。
- オキサロ酢酸は、次のアセチルCoAと反応する。
複雑な反応ですが、ここまで覚えればほとんどの試験で通用するのではないでしょうか。
ここで必ず覚えてほしいのは、炭素Cの数の変化と、どこで脱水素され、NADH+H+やFADH2が登場するかです。
コメント