高校生物。多細胞生物のからだのつくりで登場する組織や器官では、暗記量も多くなり覚えるのが面倒なところです。暗記用プリントを使いながら、しっかりと分類しつつ練習していきましょう。今回は植物についてまとめてみました。
植物の組織・組織系・器官
生物はすべて細胞からできています。植物ももちろん多くの細胞が集まってできた多細胞生物です。同じ形態やはたらきをもった細胞が集まり組織を、いろいろな組織が集まり組織系を、組織系が集まって器官を、そして、いろいろな器官が集まって1つの植物個体がつくりあげられています。
植物の場合は、器官系がなく組織系があることを注意しておきましょう。
植物の組織
植物の組織ですが、まず大きく分裂組織と永久祖組織に分類されます。分裂組織とは、盛んに細胞分裂を繰り返している組織で、永久組織とは細胞分裂を終え分化した細胞の集合体になります。
分裂組織
細胞分裂が盛んな組織を分裂組織といいます。活発に細胞分裂を行っているので、細胞が小さい、細胞壁が薄い、液胞が未成熟といった特徴を持っています。分裂組織には次の3つがります。
- 形成層…茎にある組織で茎を肥大成長させる。
- 根端分裂組織…根の先端付近にあり、根を伸長させる。
- 茎頂分裂組織…茎の先端付近にあり、茎を伸長させる。
形成層は裸子植物や双子葉類にはありますが単子葉類の茎には見られません。細胞分裂を盛んに行い、茎を太くするはたらきがあります。根端分裂組織は、根の先端付近にあり、永久組織である根冠に守られています。茎頂分裂組織は、茎の先端付近にあり、フロリゲンという植物ホルモンのはたらきで花芽を形成するはたらきがあります。
永久組織
分裂組織が分化して特定のはたらきを持った細胞の集まりが永久組織です。永久組織は次の4つに分類されます。
- 表皮組織…植物の表面をおおう細胞の集まり。
- 通道組織…植物体内の物質の運搬に関与する。
- 柔組織…代謝が活発で、細胞壁が薄くて柔らかい。
- 機械組織…細胞壁が木化して固くなり植物体を支える。
表皮組織は、植物の表面にある細胞の集まりで、気孔のまわりにある孔辺細胞以外は葉緑体を持ていません。通道組織は、植物内の物質の運搬に関与しています。具体的には道管や師管、仮道管などがあてはまります。代謝が活発な柔組織には、柵状組織などの同化組織、塊根や髄などの貯蔵組織、分泌組織などがあります。機械組織は植物体を支える丈夫な細胞の集まりで、厚壁組織、厚角組織、繊維組織などがあります。
植物の組織系
組織系は、永久組織を関連の深いものどうしまとめたものです。分裂組織が組織系に入らないことに注意しましょう。
組織系には、そのはたらきにより次の3つに分類されます。
- 表皮系…表皮組織から構成される。
- 維管束系…通道組織とそれに付随する機械組織からなる。
- 基本組織系…分裂組織にも表皮系にも維管束系にも属さない組織や細胞。
表皮系
表皮系とは、その名の通り植物の表面をおおっている組織系になります。表皮組織で構成されていて、植物体の保護が主な目的となります。
表皮細胞とその表面をおおっているクチクラ層、根の先端付近にある根毛や気孔のまわりの孔辺細胞も表皮系に属します。
維管束系
維管束系とは、主に通道組織から構成されている組織系です。通道組織とそれに付随する機械組織も維管束系に入ります。シダ植物や種子植物が持っている組織系で、コケ植物や藻類などは維管束系を持ちません。
維管束系は、根で吸収した水や無機塩類が通る木部と、葉で合成した有機物などが通る師部に分かれます。
- 木部…道管、仮道管、木部繊維、木部柔組織
- 師部…師管、伴細胞、師部繊維、師部柔組織
木部の道管は、細胞が木化した死細胞から構成されています。死細胞には原形質がなく中が空洞で、上下の細胞壁が消失し、上下の死細胞と一体となって太い管状の構造になっています。
仮道管(かどうかん)とは、道管と同じように木化し中が空洞の死細胞からできていますが、仮道管は長くて両端が尖った紡錘形の形をしていて、側面の細胞壁にあいた穴で連絡しています。シダ植物や裸子植物は、仮道管を持つのに対して、被子植物の多くは道管をもっています。
師部は、通道組織の師管と機械組織の師部繊維などから構成されています。道管との大きな違いは、師管の細胞は生細胞であるということです。師管の上下の細胞壁には師板とよばれる小さな穴が多数あいた板があり、上下の細胞と原形質連絡を行って物質の移動が行われています。
被子植物の師管の細胞には核がありませんが、視細胞の隣には核がある伴細胞がくっついています。伴細胞は柔組織に属しています。
基本組織系
分裂組織にも属していなくて、永久組織の表皮系や維管束系にも属さない組織や細胞は、基本組織系に属することになります。
柔組織である同化組織の柵状組織や海綿状組織、貯蔵組織の塊根や髄などが該当します。同化組織とは、呼吸や光合成などの代謝が活発な細胞で、貯蔵組織には栄養分などが貯蔵されます。
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