▶ YouTubeで授業動画配信中

高校生物「乳酸発酵とアルコール発酵のポイント・練習問題」

スポンサーリンク

大学受験や模試、定期試験で出題されやすい内容を丁寧に解説していきます。今日は「発酵」について学習します。異化の中でも酸素を使わずにエネルギーをとり出す仕組みを解明しましょう。

スポンサーリンク

発酵とは?

代謝の中で、有機物を分解しエネルギーをとり出す反応を異化といいます。異化には、酸素を使って有機物を完全に無機物に分解する「呼吸」と、酸素を使わずに有機物を完全に無機物に分解できない「発酵」があります。つまり、発酵には無機物にまで分解できなかった有機物の残骸である副産物が残ります。

発酵にはさまざまな発行がありますが、大学入試では「乳酸発酵」と「アルコール発酵」の2つを押さえれば問題ありません。

乳酸発酵

乳酸発酵のポイント!
  • 乳酸菌が行う
  • 乳酸C3H6O3ができる
  • 2分子ATPができる
  • 細胞質基質で行われる
  • 好気呼吸はできない
  • 筋肉でおこる解糖と同じ

乳酸発酵は乳酸菌が行います。乳酸菌は1分子のグルコースC6H12O6を、まず2分子のピルビン酸C3H4O3に分解します。この間に2分子のATPが生成され、脱水素酵素のはたらきで水素原子が外されます。

外された水素原子は、水素イオンと電子に分かれ、補酵素であるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と結合し、NADH+H+になります。

NADH+H+の水素とピルビン酸C3H4O3が結合し乳酸C3H6O3になります。反応式で表すと次のようになります。

  • C6H12O6→2C3H6O3

乳酸発酵

結果的に1分子のグルコースC6H12O6から、2分子の乳酸C3H6O3ができ、2分子のATPが生じることになります。この反応は細胞質基質で行われ、酸素があったとしても乳酸菌は好気呼吸を行いません。

解糖と同じ

この乳酸発酵と同じ現象が、動物の筋肉でも起こります。「解糖」という現象です。動物の細胞ですので好気呼吸を行いますが、酸素が不足した条件下では解糖も行います。

後程出てくる「解糖系」と名前が似ていますが、まったく意味が異なることに注してください。

アルコール発酵

アルコール発酵のポイント!
  • 酵母菌が行う
  • エタノールC2H5OH二酸化炭素CO2ができる
  • 2分子ATPができる
  • 細胞質基質で行われる
  • 酸素があれば好気呼吸も行う

アルコール発酵は酵母菌が行います。酵母菌は1分子のグルコースC6H12O6を、まず2分子のピルビン酸C3H4O3に分解します。この間に2分子のATPが生成され、脱水素酵素のはたらきで水素元素が外されます。

外された水素原子は、水素イオンと電子に分かれ、補酵素であるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と結合し、NADH+H+になります。ここまでは乳酸発酵と全く同じです。

乳酸発酵と違いうのは、できたピルビン酸に脱炭酸酵素がはたらき、二酸化炭素が発生することです。ピルビン酸C3H4O3から二酸化炭素CO2がとり去られるので、アセトアルデヒドC2H4Oができます。

アセトアルデヒドC2H4Oは、NADH+H+の水素と結合しエタノールC2H5OHに変化します。反応式で表すと次の通りです。

  • C6H12O6→2CO2+2C2H5OH

アルコール発酵

結果的に1分子のグルコースC6H12O6から、2分子のエタノールC2H5OHができ、2分子のATPが生じることになります。この反応は細胞質基質で行われ、酸素が無い状態ではアルコール発酵しかできませんが、酸素があれば好気呼吸も行うことができます

スポンサーリンク

【問題】発酵の練習問題

  1. 微生物が酸素を用いないで有機物を分解し、エネルギーを得る反応を何というか。
  2. グルコースを分解して、エタノールと二酸化炭素を生成し、エネルギーを得る反応を何というか。
  3. 2で、1分子のグルコースを分解したとき、何分子のATPが生じるか。
  4. 2は、何という微生物が行っているか。
  5. 1分子のグルコースを分解して、乳酸を生成し、エネルギーを得る反応の反応式をかけ。
  6. 急激な運動などで、筋肉への酸素の供給が不足したときに、酸素を使わずにエネルギーを得る反応を何というか。
  7. 6でできるグルコースの分解産物は何か。

【解答】発酵の練習問題

  1. 発酵
  2. アルコール発酵
  3. 2分子
  4. 酵母菌
  5. C6H12O6→2C3H6O3
  6. 解糖
  7. 乳酸
生物
スポンサーリンク
シェアする
TEKIBO

コメント

テキストのコピーはできません。