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【高校生物基礎】真核細胞と原核細胞のポイント

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生物の共通性で、生物は細胞からできていることを学習しました。今回は、生物を構成する細胞のつくりを学習します。ここまで覚えれば申し分ないところまで解説します。

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細胞

すべての細胞には遺伝情報を伝える物質としてDNAを持っています。また、細胞質の一番外側が細胞膜になっていることもすべての細胞の共通点でした。生物の多様性と共通性で、すべての生物は細胞からできているということと、細胞研究の歴史について学びました。以下の記事を参考にしてください。
参考【生物基礎】生物の多様性と共通性のポイント

真核細胞と原核細胞

しかし、細胞と一言でいっても、生物を構成する細胞にはいろいろな細胞が存在します。細胞を大きく2種類に分けると、次の2種類の細胞があります。

  • 真核細胞
    核膜に包まれた核があり、細胞小器官が発達している細胞。
  • 原核細胞
    核膜に包まれた核をもたず、細胞小器官が発達していない細胞。

ヒトの細胞は、核膜に包まれた核を持つ真核細胞になります。一方、大腸菌などの細菌類の細胞は、核膜に包まれた核を持たない原核細胞になります。これから、それぞれの細胞のつくりを詳しく見ていきますが、その前に、生物で登場する用語の一つである「原形質」「後形質」について説明しておきます。

原形質と後形質

細胞のつくりは、大きく原形質と後形質に分けられます。原形質とは、生きていて活動を行っている部分のことをいい、原形質の活動によって後から生じた「生きていない」ものを後形質といいます。細胞のつくりのほとんどが原形質になりますが、液胞の中の細胞液などは細胞の活動によって後からできるものですので後形質に分類されます。

細胞 原形質 染色体、核小体、核液、核膜
細胞質 細胞小器官
細胞質基質
細胞膜
後形質 細胞壁
細胞液
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真核細胞のつくり

真核細胞の内部は大きく、細胞質に分けられ、植物細胞には細胞膜の外側に細胞壁があります。下の図で、細胞のつくりとその名称を覚えましょう。

細胞のつくり

細胞のつくりのそれぞれの構造とはたらきのポイントを説明します。緑文字で書かれた構造体は植物細胞のみに見られるつくりで、青文字で書かれた構造体は通常、動物細胞のみで見られるつくりとなります。

細胞の中心に、通常1個存在するのが核です。核は二重膜構造核膜と、それに包まれた液体部分である核液からなり、その中に糸状の染色体核小体が存在します。染色体はDNA(デオキシリボ核酸)タンパク質からできています。核膜には孔が開いており核膜孔と呼ばれ、核内と細胞質の連絡通路となっています。

核や染色体を観察するには、酢酸カーミン溶液酢酸オルセイン溶液赤色に染色する必要がありました。

細胞質

細胞で、核のまわりの部分を細胞質といいます。細胞質の外側は細胞膜で包まれ、内部にはミトコンドリアや葉緑体などの細胞小器官が見られます。細胞小器官の構造とはたらきを紹介します。

ミトコンドリア

内外2枚の膜で包まれ二重膜構造、ひだ状になった内膜はクリステ、その内側の基質はマトリックスと呼ばれます。大きさはおよそ2μmでした。

ミトコンドリア

酸素を使った呼吸(好気呼吸)を行う細胞小器官で、細胞の活動に必要なエネルギーATPをつくりだしています。また、独自のDNAを持っていることも覚えておきましょう。

葉緑体

内外2枚の膜で包まれ二重膜構造、内部にあるチラコイドにはクロロフィルなどの光合成色素を含んでいます。短いチラコイドが重なった部分をグラナ、基質の部分はストロマと呼ばれます。大きさは、ミトコンドリアより少し大きい5μmほどでした。

葉緑体

光合成を行う細胞小器官で、光エネルギーを使ってデンプン(炭水化物)などの有機物を合成しています。基本的には植物細胞のみに見られ、ミトコンドリアと同じように独自のDNAを含んでいることも覚えておきましょう。ミドリムシは動物のなかまですが葉緑体を持っています。

細胞膜

リン脂質タンパク質からなる厚さ5~10nmのうすい膜で、細胞内外の物質の出入りを調節しています。また、細胞外からのホルモンなどの情報を受容するはたらきもあります。

細胞膜

ゴルジ体

1枚の膜からなるへん平な袋が重なった構造で、タンパク質を集めて濃縮し、加工修飾して細胞外へ放出するはたらきがあります。神経細胞や消化器官の細胞で発達しています。植物細胞では発達していません。小胞体の一部からゴルジ体が作られます。

小胞体

1枚の膜からなる構造体で、細胞内に網目状に分布しています。小胞体には、リボソームが付着した粗面小胞体と、リボソームが付着していない滑面小胞体があります。

リボソームで合成されたタンパク質の形を整え、ゴルジ体に送るはたらきがあります。

リボソーム

rRNA(リボソームRNA)とタンパク質からなる小さな構造体で、小胞体に付着しているものと、細胞質に散在しているものがあります。DNAが転写されてできたmRNAを翻訳する細胞小器官で、アミノ酸をつなげてタンパク質をつくっています。

小胞体に付着したリボソームでは、細胞外に分泌されるタンパク質を、細胞質内に散在しているリボソームでは、細胞内で使われるタンパク質を合成しています。

リソソーム

リボソームと名前が似ていますが、はたらきは全く異なります。1枚の膜からなる球状の構造体で、加水分解酵素を含み細胞内消化に関与します。簡単にいうと、細胞外から細胞内に入ってきた物質を、細胞内の環境に合うように消化したり、細胞内でできた要らないものを消化したりするのです。

中心体

筒状の構造をした2個の中心粒が直交した形をとっています。微小管という細胞骨格でつくられていて、細胞分裂時紡錘体形成の起点となります。また、鞭毛繊毛の形成にも関与しています。

基本的に、動物細胞のみで観察される細胞小器官ですが、藻類やコケ植物、シダ植物などの一部の植物細胞でも見られます。

液胞

1枚の膜からなる構造体で、植物の細胞で見られるつくりです。成長した植物の細胞ほど大きな液胞が見られ、動物細胞では発達していません。内部は細胞液で満たされ、有機物や無機塩類、アントシアンなどの色素を含んでいます。

液胞の主なはたらきは、老廃物の貯蔵になりますが、細胞内の濃度を調節し、浸透圧を調節するはたらきもあります。

細胞質基質

細胞質内の液体の成分で、核や細胞小器官が浮かんでいる場所になります。酵素などのタンパク質をRNAなどを含み、さまざまな化学反応(代謝)が起こっています。

細胞壁

植物細胞の場合、セルロースを主成分とする丈夫な繊維状の構造体です。細胞を保護したり、細胞の形を保ったりするはたらきがあります。

光学顕微鏡では見えない細胞小器官

光学顕微鏡の分解能は0.2μm(200nm)でした。それよりも小さく、または薄く、光学顕微鏡で観察できない細胞小器官もあります。光学顕微鏡で観察できない細胞小器官は次の3つです。

  • 小胞体
  • リボソーム
  • リソソーム

二重膜構造の細胞内構造物

細胞質内にある細胞小器官は、ほぼすべて細胞膜と同じ成分でできています。この細胞内の構造体で二重膜構造をしているのが、核・ミトコンドリア・葉緑体です。

これは、細胞が発達する過程で、核を酸素から守ったり、好気性細菌や光合成細菌(シアノバクテリア)を共生させたためだと考えられています。

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原核細胞のつくり

原核細胞は、核膜に包まれた核を持たないという特徴があります。生物なのでDNAはありますが、これを包む核膜がありません。また、ミトコンドリアや葉緑体などの発達した細胞小器官も持っていません。原核細胞にある細胞内構造体は以下の通りです。

原核細胞

  • DNA(染色体)
  • 細胞膜
  • リボソーム
  • 細胞壁

生物ですので、遺伝情報を伝える物質としてDNAを持っています。また、植物の細胞のように細胞質の外側に細胞壁がありますが、植物の細胞壁とは異なる物質でできています。また生命現象を起こすためにタンパク質は絶対に必要ですので、タンパク質をつくるリボソームも持っています。

真核細胞と原核細胞の比較

定期テストや大学入試では、真核細胞にあるつくりと原核細胞にあるつくりの比較がよく出題されます。下の表を見てください。○はそのつくりを持っていることを、×はそのつくりを持っていないことを表しています。

原核細胞 真核細胞
動物細胞 植物細胞 菌類
DNA
核(核膜) ×
細胞膜
細胞壁 ×
ミトコンドリア ×
葉緑体 × × ×

原核生物

真核細胞でできている生物を真核生物原核細胞ででいている生物を原核生物といいます。高校の生物で登場する生物では、圧倒的に真核生物が多いので、原核生物を覚えるようにしましょう。

  • 細菌類
    名前で「〇〇菌」「○○バクテリア」といわれるもの。ただし、酵母菌は真核生物
  • 古細菌
    アーキアと呼ばれ生物で、火口付近など過酷な環境で棲息しているものが多い

古細菌は、生物基礎では学習しませんので割愛します。なので、原核生物は細菌類だけだと覚えておきましょう。細菌類の名前は、通常「〇〇菌」や「〇〇バクテリア」などの名前が付けられています。乳酸菌や枯草菌、納豆菌、ブドウ球菌、シアノバクテリアなどです。

シアノバクテリアは、光合成を行う細菌で、具体的にユレモネンジュモ(イシクラゲ)などです。

生物
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