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高校生物「化学進化のポイント」地球の誕生から有機物が生成されるまで

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地球には生命が存在しますが、最初に地球に誕生した生物はどのようにして生まれたのでしょうか。まずは、地球が誕生してから有機物が生成されるまでを確認しましょう。

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原始地球と化学進化

有機物の生成、生命の誕生を説明する上で、原始地球の環境がどのような環境であったのかを知る必要があります。まずは、大まかな地球の歴史区分を確認します。超大雑把な地質学的な歴史区分は次の通りです。

地球の歴史区分

約46億年前に地球が誕生し、それから40億年ほどの長い期間を先カンブリア時代といいます。今回の話は、この先カンブリア時代の中でも初期の冥王代とよばれる、生物が誕生する前のお話になります。

ここを覚える!
・地球の誕生は約46億年前
・約40億年前に生物が誕生した
・地球の誕生から約5.4億年前までを「先カンブリア時代」という

原始地球の環境

太陽系の一つの惑星として約46億年前に誕生した地球ですが、誕生間もないころは微惑星が次々と衝突し、表面は1000℃以上のマグマで覆われていました。微惑星の衝突がおさまるとマグマが冷え地殻が形成されます。火山活動などの激しい地殻変動、太陽からの強い放射線や紫外線など厳しい環境でした。

この時期の大気の主成分は、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、窒素(N2)、二酸化硫黄(SO2などで、遊離した酸素(O2はほぼありません。地表が冷えると水蒸気が雨となって地表に降り注ぎ、約40億年前までには原始の海が誕生したと考えられています。

ここを覚える!
・原始大気には遊離した酸素はほぼなかった
・約40億年前に原始の海が誕生した

化学進化と有機物の生成

生物が誕生するには有機物が必要であるが、有機物の生成については海洋底にある熱水噴出孔がその役割を果たしたのではないかと考えられています。熱水噴出孔付近には、メタン(CH4)、硫化水素(H2S)、水素(H2)、アンモニア(NH3があり、水圧が高く水の沸点が数百℃にもなる環境です。この環境下で、無機物からアミノ酸などの有機物が生成されていったと考えられています。

このような生物が出現する前の、生物体に必要な物質が生み出されていく過程を化学進化といいます。化学進化の過程は次のような流れになります。

  1. 熱水噴出孔周辺にある無機物
    メタン(CH4)、硫化水素(H2S)、水素(H2)、アンモニア(NH3など

    高温・高圧、放電、紫外線・放射線など
  2. 単純な有機物
    単糖類、アミノ酸、ヌクレオチドなど

    高温・高圧、放電、紫外線・放射線など
  3. 複雑な有機物
    タンパク質、核酸、多糖類、脂質など

    組織化
  4. 生命の誕生

化学進化によって原始の海には、様々な有機物が蓄積されていきました。こうして、生命の誕生に必要な物質がそろった原始の海は「原始スープ」とよばれます。

ここを覚える!
・有機物や最初の生命が誕生した場所は「熱水噴出孔周辺」が有力
・化学進化…無機物→単純な有機物→複雑な有機物→生命の誕生

オパーリンの実験とミラーの実験

オパーリンは、数種類のコロイド溶液を混合して、コアセルベートという液滴をつくった。コアセルベートは、条件によって分裂・成長し内部で化学反応を行った。このことから、オパーリンは大気成分などが自然に起こす化学反応によって生命が誕生したと唱えた。

1950年代にミラーは、原始大気の成分と推定した水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)、水蒸気(H2O)を放電管に密封し、放電・冷却・加熱を繰り返した。その結果、アミノ酸などの有機物が生成されることを示した。

ここを覚える!
・オパーリン…コアセルベートの実験で自然に起こる化学反応で生命が誕生したと唱えた
・ミラー…水素、メタン、アンモニア、水蒸気に放電し有機物が生成されることを示した

今回は、原始地球で有機物が生成されるまでを学習しました。化学進化の考え方は重要ですので、再度確認しておきましょう。次回はいよいよ生命の誕生です。

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