高校生物の遺伝子発現の学習では、「クロマチン構造による転写の調節」も重要なポイントの一つです。ヒストンの修飾やDNAのメチル化といったエピジェネティクスのしくみにより、同じDNA配列でも転写の活性が変化することがあります。この記事では、クロマチン構造の基本から、転写が促進される・抑制されるメカニズムまでを、図解を交えてわかりやすく解説します。定期テストや入試対策にも役立つ内容です。
真核生物の遺伝子発現調節方法
原核生物と比べ、真核生物の遺伝子の発現には複雑なしくみが存在します。そのしくみの中で遺伝子の発現調節がなされています。
- クロマチン構造による転写調節(ヒストン修飾)
- 調節タンパク質による転写調節
- 選択的スプライシング
- 輸送・翻訳調節
- 翻訳後修飾

今回学習するのは、クロマチン構造による転写調節です。DNAを構成するクロマチン繊維のメチル化・アセチル化によって転写の調節が行われていることを詳しく見ていきましょう。
クロマチン構造による転写調節
クロマチン構造による転写調節について学習する前に、クロマチン構造について復習します。遺伝子の本体であるDNAは、ヒストンというタンパク質に巻き付いておりヌクレオソームという構造をつくっています。ヌクレオソームどうしが結合し複雑に折りたたまれた構造がクロマチン繊維です。さらに、そのクロマチン繊維が折りたためられ染色体がつくられています。下の図でクロマチン構造を確認しておきましょう。

クロマチン構造のメチル化・アセチル化
クロマチン構造は複雑に折りたたまれた構造をしているので、このままの状態ではRNAポリメラーゼはDNAのプロモーターに結合することはできません。折りたたまれたクロマチン構造がほどけた形になると、RNAポリメラーゼがDNAのプロモーターに結合することができ、転写が行われるのです。
クロマチン構造を折りたたんだりほどいたりするときに行われるのが、クロマチン構造のメチル化とアセチル化です。
クロマチン構造をつくっているヒストンにメチル基(CH3-)が結合することをメチル化といい、メチル化が行われるとクロマチン構造の凝縮が進み、転写が抑制されます。一方、クロマチン構造をつくっているヒストンにアセチル基(CH3CO-)が結合することをアセチル化といい、アセチル化が行われるとクロマチン構造がほどけて転写が促進されます。

このように、真核生物はクロマチン構造をメチル化やアセチル化することで転写の調節を行っているのです。
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