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【生物基礎】細胞分画法・細胞小器官の大きさと実験の注意点

高校生物の細胞の観察で、細胞分画法を使って細胞小器官を分離してとり出し観察します。今日は細胞分画法のポイントと注意点を学習します。

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細胞分画法

細胞分画法とは、細胞を破壊し、細胞の大きさ・密度の違いを利用して細胞小器官を順番に沈殿させ分離してとり出す方法です。

細胞分画法では、まずホモジェナイザーという器具を使って細胞を粉々に破砕します。破砕した液体である細胞破砕液(ホモジェネート)を遠心分離機を使って回転させ遠心分離します。このとき、大きな細胞小器官ほど沈殿しやすいので低速で遠心分離しても沈殿します。徐々に遠心分離速度を大きくしていくと、大きな細胞小器官から小さな細胞小器官へ、順番に沈殿させとり出すことができます。

細胞小器官の大きさは、大きい順に並べると次のようになり、その順に遠心分離できます。

  • …10μm
  • 葉緑体…5μm
  • ミトコンドリア…2μm
  • リボソーム…20nm

上記の細胞小器官の大きさは大体の目安で、細胞の違いや個体によっても大きさが異なります。

細胞分画法の手順

次の手順で細胞分画法は進めます。

細胞分画法

もう少し詳しく手順を説明します。

  1. ホモジェナイザーで細胞を破砕する。
  2. 破砕液を低速で遠心分離する。
    細胞壁が沈殿
  3. 上澄み液を中速で遠心分離する。
    葉緑体が沈殿
  4. 上澄み液を高速で遠心分離する。
    ミトコンドリアが沈殿
  5. 上澄み液を更に高速で遠心分離する。
    リボソーム小胞体など沈殿

細胞分画法

リボソームや小胞体は同時に沈殿物として出てくることが多いのですが、もっと細かく遠心分離を行うと、小胞体の方が密度が大きいので先に沈殿物として出てきます。

細胞分画法の注意点

細胞分画法では以下の点に注意して実験を行ってください。

  • 低温で破砕液をつくる
    細胞を破砕したときに、リソソームから加水分解酵素が出てきます。この酵素のはたらきで細胞小器官が分解されてしまします。また、ホモジェナイザーで破砕する際に摩擦熱が生じます。この熱による変性も防ぐために、氷水で冷やしながら素早く破砕します。
  • 等張液中で破砕液をつくる
    等張液中で細胞分画法を行わないと、生体膜でできているミトコンドリアなどが吸水し破裂します。細胞と等張のスクロース溶液をつくってその中で破砕します。
  • 緩衝液を加えて破砕液をつくる
    細胞小器官がもつタンパク質が、pHの変化で変性しないようにするため。
  • 破砕し過ぎない
    細胞分画法の最大の目的は、壊れていない細胞小器官を取り出すことです。破砕し過ぎると、細胞小器官自体が壊れてしまいます。

細胞分画法の練習問題

細胞分画法とは、細胞を破砕した液を遠心分離機にかけ、段階的に強い遠心力を作用させることにより、細胞内の特定の細胞小器官を沈殿させ、別々に分離する方法である。真核細胞である酵母を用いて、以下のような実験を行った。
①酵母の細胞と同じ濃度のスクロース溶液に酵母を入れ、❶その最外層の構造物を分解する活性を持つ酵素を作用させた。
②ホモジナイザーを用いて細胞膜を破砕し、破砕液を低速で遠心分離し、未破砕の酵母を沈殿としてとり除いた。
③この際の上澄み液を中速で遠心分離し、❷沈殿(P1)と上澄み液(S1)とを回収した。
④さらに上澄み液(S1)を高速で遠心分離し、沈殿(P2)と上澄み液(S2)とを得た。
分離した沈殿を分析した結果、P1はP2に比べて極めて多量のDNAを含んでおり、❸P2には酸素を活発に消費する性質があることがわかった。
(1)下線部❶の構造物は植物細胞にもみられる。植物細胞における、この構造物は、おもにどのような物質により構成されているか。
(2)下線部❷について、沈殿P1に多く含まれる細胞小器官に関する記述として最も適するものを、次のア~エから一つ選び、記号で答えよ。
ア サフラニン溶液で染色できる。
イ ヨウ素溶液で染色できる。
ウ ヤヌスグリーン溶液で染色できる。
エ 酢酸カーミン溶液で染色できる。
(3)下線部❸について、この性質をもつ細胞小器官に関する記述として最も適するものを、次のア~エから一つ選び、記号で答えよ。
ア アントシアン、炭水化物、無機塩類などの物質を貯蔵する。
イ 細胞内でつくられたタンパク質の、細胞外への分泌に関係する。
ウ 球状または棒状であり、有機物を分解してエネルギーを取り出す。
エ 内部に層状の配列して扁平な袋状構造をもち、デンプンなどの有機物を合成する。

解答(1)セルロース (2)イ (3)ウ

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