大学入試小論文「埋没費用(サンクコスト)について」です。大学入試の小論文では、経済学や社会問題に関するテーマが取り上げられることが少なくありません。その中でも「埋没費用(サンクコスト)」という概念は、意思決定や選択のテーマでよく問われる重要なキーワードの一つです。一度費やした時間やお金は取り戻せない――この考え方が私たちの日常生活や企業の判断にどのような影響を与えているのかを論じることは、説得力のある小論文を書くために必要なポイントです。本記事では、「埋没費用」の基本的な意味から、具体例、そして小論文での活用方法までをわかりやすく解説します。このテーマを押さえて、周りに差をつける小論文を目指しましょう!
・重要度:低い
・難易度:やや難
埋没費用(サンクコスト)とは

埋没費用(サンクコスト)をテーマにした小論文の書き方ポイント
① 定義を簡潔に示す
まず冒頭で
「すでに支払い、回収できない費用であり、将来の判断に影響させるべきでないもの」
と一文で説明すると分かりやすい。
② “もったいない”感情によって判断が誤る例を挙げる
・映画の途中でつまらなくても最後まで観てしまう
・赤字事業を継続してしまう
など、身近な例と社会的な例を1つずつ示すと説得力が増す。
③ 人間がサンクコストに左右されやすい理由を書く
・努力や時間への執着
・後悔を避けたい心理
・組織内の責任回避
など「心理的バイアス」を指摘すると深みが出る。
④ 今後の意思決定では“未来志向”が重要と主張する
サンクコストにとらわれず、
「将来得られる利益・価値にもとづいて選択するべき」
という主張を明確にする。
⑤ 社会的な応用・課題まで広げる
政策、企業経営、教育、個人のキャリアなどに触れると評価が高い。
例:インフラの無駄な延命、不要な大型イベントの継続など。
⑥ 具体例 → 分析 → 主張(改善策)という構成を守る
結論として、
「過去ではなく未来に基づいた意思決定こそが、個人や社会をより良く導く」
で締めると小論文として整う。
【問題】民主主義と資本主義は対立するのではない。皆が決めるという「いまここ」の利益が政治の基礎だ。私たちは、みんなで決めておくが絶対善とされる時代に生きている。「いまここ」で幸せになれるかを考えるとき、埋没費用という言葉がある。それは単にゼロベースで未来の幸せを考えることだが、埋没費用からひとは自由になれない。それは人間性の核心であるからだ。皆が決めることが悪いわけではないが社会はそれだけで成立しない。
このことについて、あなたの考えを記述しなさい。
【ある人の例】埋没費用についての解答例
ここで言う埋没費用とは、すでに支払われ、もはや回収が不可能となった費用を指す経済学上の概念である。合理的な意思決定においては、埋没費用は将来の選択に影響を及ぼすべきではないとされる。しかし、人間はしばしばこの考えから自由になれず、非合理的な判断を下してしまう。私自身も日常のささいな場面でそのことを実感した経験がある。
たとえば、ファーストフード店のコーヒーと、カフェテリアや専門店のコーヒーを比較してみる。前者は安価で手軽に購入できるのに対し、後者は値段が高く、場合によっては量も少ない。中には一杯に二千円ほどかかる店も存在する。もしその味が自分に合わなかったとしても、すべてを飲まずに残す人は多くはないだろう。なぜなら、高い代金を支払った「もったいなさ」が心理的抵抗となってしまうからである。
このとき、人々の評価軸は「味」という本来の価値から離れ、店の雰囲気や空間といった付随的要素へと移行しがちである。確かに店の雰囲気はコーヒー体験を構成する重要な要素ではある。しかし、味が望ましいものでなかったにもかかわらず「せっかく高いお金を払ったのだから」と飲み続けてしまう行為は、埋没費用にとらわれた非合理的な判断である。
重要なのは、ここで人々が重視しているのは「過去に支払った費用」ではなく、本来考慮すべき「未来の便益」であるべきだという点である。高い代金を払った事実は過去のものであり変更できない。にもかかわらず、その過去が現在の行動を縛り、満足度の低い体験を長引かせてしまう。これは、経済学でいうサンクコスト効果の典型である。
さらに言えば、安価なコーヒーと高価なコーヒーを「資本主義の内外」として分けるのではなく、むしろ両者に対する人々の判断が、どれだけ合理性から逸脱しうるかが重要である。価格の高低に関係なく、人間は支出した費用に強い心理的影響を受ける。その結果、本質的価値よりも「元を取る」という感情を優先させる傾向が生じるのである。
埋没費用から自由になるとは、過去の支出を切り離し、未来にとって最適な選択を行う姿勢のことである。日常的な行動から政策決定に至るまで、この考え方を意識することは、限られた資源をより有効に活用する社会の実現に不可欠である。
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