大学入試生物で登場する遺伝の法則について学習します。中でもメンデルの遺伝に関する法則は、遺伝の基礎として重要です。3つの法則を見ていきましょう。
メンデルの遺伝の法則
遺伝学の祖メンデル(グレゴール・ヨハン・メンデル)はオーストリア帝国時代に活躍した学者で、メンデルの法則と呼ばれる遺伝に関する法則を発見したことで有名です。エンドウマメの交配実験が有名で、おなじみの分離の法則・優性の法則・独立の法則が発見されています。
遺伝形質は交雑することで、液体のように混じりあっていく混合遺伝の考え方から、遺伝形質は遺伝粒子(遺伝子)によって受け継がれるという粒子遺伝に考え方が変わる提唱を行っています。
分離の法則
分離の法則とは、配偶子(生殖細胞)が形成される際に、対立遺伝子がそれぞれ分離して、別々の配偶子(生殖細胞)に分配されるという法則です。
配偶子(生殖細胞)が形成されるときに減数分裂が行われますが、このとき、対になっている相同染色体が1本ずつ分離して別々の配偶子(生殖細胞)に入ります。それぞれの相同染色体上には、対立遺伝子が存在するので、このときに対立遺伝子も分離して別々の配偶子に入ります。
この結果、たとえばAaという遺伝子型の体細胞を持つ個体からは。Aとaという2種類の配偶子(生殖細胞)が1:1の割合で生じることになります。
分離の法則は、染色体不分離などの異常がない場合、必ず成り立つ遺伝の法則です。
優性の法則
優性の法則とは、異なる表現型の純系どうしを交雑して得られたF₁には、親世代のいずれか一方の表現型のみが現れるという法則です。エンドウの種子の形には、丸形としわ形がありますが、純系の丸形と純系のしわ形を交雑して得られる子F₁は、すべて丸形の形質を示します。これが優性の法則によって起こる遺伝現象の一つです。
このとき、子F₁に現れた丸形のような形質を優性形質、現れなかったしわ形のような形質を劣性形質といいます。優性形質を表す遺伝子は優性遺伝子、劣性形質を表す遺伝子は劣性遺伝子といわれ、優性遺伝子をアルファベット大文字で、劣性形質をアルファベット小文字で表すことが多いです。
先程のエンドウの場合、丸形の遺伝子をAと表し、しわ形の遺伝子をaと表すと、純系の丸形の遺伝子型はAA、しわ形の遺伝子型はaaとなり、得られる子F₁の遺伝子型はAaとなり、子F₁の表現型も丸形になります。
優性の法則は、すべての遺伝現象で成り立つわけではなく、マルバアサガオの花の色のような不完全優性の場合は成り立ちません。
独立の法則
独立の法則とは、2対以上の対立遺伝子は、他の対立遺伝子に影響されず、それぞれ独立に配偶子(生殖細胞)に分配されるという法則です。分離の法則が対立遺伝子間の法則を言っているのに対し、独立の法則は複数の対立遺伝子どうしの関係を説明しています。
例えば、AaBbの遺伝子型を持つ個体がつくる配偶子の遺伝子型はAB:Ab:aB:ab=1:1:1:1となることが独立の法則を表しています。これは、複数の対立遺伝子どうしが別々の染色体上に存在していることを表しています。
しかし、実際には遺伝子が1つの染色体上に複数連鎖している場合などは、独立の法則が成り立ちません。
メンデルの遺伝の法則まとめ
以上が、メンデルが提唱した遺伝の法則です。遺伝現象を考える礎となった法則ですので、しっかりと3つの区別がつくようになっておいてください。
- 分離の法則
配偶子が形成される際に、対立遺伝子がそれぞれ分離して、別々の配偶子に分配されるという法則 - 優性の法則
異なる表現型の純系どうしを交雑して得られたF₁には、親世代のいずれか一方の表現型のみが現れるという法則 - 独立の法則
2対以上の対立遺伝子は、他の対立遺伝子に影響されず、それぞれ独立に配偶子に分配されるという法則
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