生物の系統 分類の基準「五界説」と「三ドメイン説」

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大学入試生物で、生物の分類が登場します。種や属、界などさまざまなくくりがあるので、なかなか覚えられない生徒も多いようです。まずは、大きな分類の基準を覚え、細部を学習するという流れが効率がいいようです。一緒に覚えていきましょう。

分類の階級

生物は人為的ではなく、生物の類縁関係を正しく反映する自然分類が用いられています。まずは、分類の基本的な単位をといいます。種とは、互いに交配が可能で、子孫を残すことができる集団です。

例えば、ヒトとヒトは子孫を残すことができるので同じ種ですが、ヒトとチンパンジーでは子孫を残すことができません。なので、ヒトとチンパンジーは異なる種になります。

進化的に近縁で、よく似た種はとしてまとめられています。また、属どうしで共通の特徴を持っている場合としてまとめられ、さらに特徴の共通性でとまとめられていきます。まとめると、大きいくくりから小さいくくりは次のようになります。

ここまで、界が一番大きなくくりとなっていますが、それより上にドメインというさらに大きなくくりがあります。

ドメイン

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学名

分類の階級を覚えたところで、次は世界共通の生物名である学名について見ていきます。学名は、属名と種小名のラテン語で表す二名法を用います。リンネによって提唱されました。例えば、ヒトやチンパンジーの学名は次のようになります。

  • ヒト…属名:Homo 種小名:sapiens
  • チンパンジー…属名:Pan 種小名:troglodytes

五界説

五界説

生物の分類方法として、ホイタッカー(ホイッタカ―)マーグリスによって提唱された五界説という分類方法があります。

生物を、動物界植物界菌界原生生物界モネラ界原核生物界に分ける考え方を五界説といいます。これは、モネラ界(原核生物界)を独立させ、真核生物を、運動して餌を食べる動物界、光合成をして動かずに生活する植物界、体の表面で有機物を溶かして吸収して生活する菌界、単細胞の生物で動物界、植物界、菌界に分類するのが難しい原生生物界に分類したものです。また、マーグリスは、菌界の一部及び藻類を原生生物界に分類する五界説を提唱しています。

モネラ界(原核生物界)

生物界を分ける最も大きな分類は細菌(真正細菌)、古細菌、真核生物の3つであることが、リボソームRNAをもとにした系統解析で判明しています。モネラ界には、このうち核膜に包まれた核を持たない原核生物である細菌真正細菌)と古細菌アーキア)分類されます。また、細菌(真正細菌)よりも古細菌の方が真核生物に近いことも判明しています。

  • 細菌真正細菌エステル型の細胞膜、細胞壁がペプチドグリカンである原核生物
    大腸菌、乳酸菌、硝酸菌、亜硝酸菌、硫黄細菌、黄色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、シアノバクテリア、アゾトバクター、クロストリジウム、根粒菌、肺炎双球菌、コレラ菌、ジフテリア菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、チフス菌、ペスト菌などなど膨大
  • 古細菌アーキアエーテル型の細胞膜。細胞壁が糖タンパク質である原核生物
    メタン菌、高度好塩菌、超好熱菌、好熱好酸菌など

動物界

運動能力と感覚を持つ多細胞生物を動物界に分類します。単細胞性の最も下等な動物である原生動物をいて、分化した器官をもつ後生動物が動物界に属します。

後生動物は、胚葉の分化の程度で、無胚葉性二胚葉性三胚葉性の3つに分類されます。無胚葉性の動物は、外胚葉や内胚葉などの分化が見られず、多細胞生物でありながら器官などが存在しません。海綿動物がこれに該当します。二胚葉性の動物は、外胚葉と内胚葉というふうに2種類の胚葉しかない動物で、刺胞動物が該当します。三胚葉性の動物は、外胚葉、中胚葉、内胚葉が存在する動物です。多くの動物が三胚葉性の動物になります。

  • 無胚葉性…海綿動物門
    イソカイメン、ムラサキカイメン、カイロウドウケツ、ホッスガイ
  • 二胚葉性…刺胞動物門
    ヒドラ、カツオノエボシ、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、イソギンチャク、サンゴ
  • 三胚葉性…旧口動物、新口動物
    旧口動物:扁形動物門、輪形動物門、軟体動物門、環形動物門
    新口動物:棘皮動物門、原索動物門、脊椎動物門

植物界

陸上で高度に発達した多細胞性の植物が植物界に属します。維管束を持たないコケ植物と、維管束を持つシダ植物種子植物に分類されます。これらの植物はいずれも車軸藻のなかまから進化したと考えられています。

種子植物は、胚珠が子房に包まれている被子植物と、子房がなく胚珠がむき出しの裸子植物に分類され、被子植物はさらに子葉の枚数で、双子葉類単子葉類に分類されます。

コケ植物 シダ植物 種子植物
裸子植物 被子植物
双子葉類 単子葉類
維管束 なし あり あり(輪状) あり(散在)
道管 なし あり
形成層 なし あり なし
重複受精 しない する
雄性配偶子 精子 精細胞 ※イチョウ、ソテツは精子

菌界

カビやキノコのなかまが菌界に属します。菌糸という糸状の構造を、多数組み合わせて体を構成しています。菌類には、菌糸が接合して接合胞子を作る接合菌類、減数分裂によって生じる胞子を子嚢の中に作る子嚢(のう)菌類、減数分裂によって生じる胞子を細胞(担子器)の外に形成する担子菌類があります。

これら菌界に属する生物は、光合成色素を持たないため光合成の能力がありません。細胞壁を持ち、その主成分は多糖類の一種であるキチンになります。 胞子で繁殖するのが特徴で、有性生殖と無性生殖のどちらも行っています。

  • 接合菌門
    ケカビ、クモノスカビ、ハエカビなど
  • 子嚢(のう)菌門
    酵母、アカパンカビ、アオカビなど
  • 担子菌類
    マツタケ、シイタケなど多くのキノコ類

原生生物界

原生生物は、真核生物のうち、動物界にも植物界にも菌界にも属さない生物の総称です。単細胞生物と多細胞生物の両方が存在します。褐藻類、紅藻類などのすべての真核藻類、キイロタマホコリなどの粘菌である変形菌類、アメーバ、ゾウリムシ、ミドリムシなどの原生動物に分類されます。

  • 原生動物…繊毛虫類、根足虫類、襟鞭毛(エリベンモウ)虫類、有孔虫類、放散虫類
    繊毛虫類:ゾウリムシ、ツリガネムシ、ラッパムシ
    根足虫類:アメーバ、ナベカムリ
    襟鞭毛虫類:エリヒゲムシ
    有孔虫類:ホシズナ
    放散虫類:放散虫
  • 変形菌類…粘菌、細胞性粘菌
    粘菌:ムラサキホコリカビ、ケホコリカビ
    細胞性粘菌:タマホコリカビ
  • 真核藻類…緑藻類、紅藻類、褐藻類、ケイ藻類、ミドリムシ(ユーグレナ)類、車軸藻類、渦鞭毛藻類
    緑藻類:アオアオサ、ヒトエグサ、アオミドロ、カサノリ、イカダモ、クロレラ、オオヒゲマワリ
    紅藻類:アサクサノリ、トサカノリ、サンゴモ
    褐藻類:コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズク、アミジグサ
    ケイ藻類:ハネケイソウ、コアミケイソウ
    ミドリムシ類:ミドリムシ、ウチワヒゲムシ
    車軸藻類:シャジクモ、フラスコモ
    渦鞭毛藻類:ツノモ、ヤコウチュウ

その他の分類方法

現在では、生物をモネラ(原核生物)界、原生生物界、菌界、植物界、動物界の5つに分ける五界説が広く受け入れられているが、生物の最も高次な分類階級である界については、昔からさまざまな分類方法がなされてきました。

二界説

生物を動物界植物界の2つに分けるアリストテレス時代の分類方法で、二界説という分け方です。古くから用いられており、リンネも二界説を採用していました。しかし、多様な形態を示す生物を2つの界に分けるには無理が出てきました。

三界説

生物を、動物界植物界原生生物界の3つの界に分ける考え方を三界説といいます。分類が困難な単細胞生物を一つのくくりとしている点がポイントです。ヘッケルが提唱しました。

四界説

生物を、動物界植物界原生生物界菌界の4つに分ける考え方を四界説といいます。コープランドによって提唱され、菌界にはカビやキノコが分類されます。

その後、原核生物を原核生物界としてまとめた五界説が登場するのです。

三ドメイン説

ドメインは、界のさらに上位に位置する階級で、生物を、真核生物細菌(バクテリア)古細菌(アーキア)という3つのドメインに分けるという考えたかを三ドメイン説といいます。リボソームRNAの解析から、アメリカのウーズによって提唱されました。

細菌(バクテリア)ドメイン

古細菌以外の原核生物のグループになります。約38億年前に、他の2つのドメインから分岐したと考えられています。

細菌(バクテリア)は、細胞膜成分が真核生物と同じくエステル型脂質で、細胞壁をもち、細胞壁はペプチドグリカンである原核生物になります。

古細菌(アーキア)ドメイン

原核生物のうち、RNAポリメラーゼの構造が真核生物のものに似ているなど、明らかに細菌(バクテリア)よりも真核生物に近い原核生物を古細菌(アーキア)といいます。約24億年前に、真核生物ドメインと分岐したと考えられています。

古細菌(アーキア)は、細胞膜成分がエーテル型脂質で、細胞壁をもち、細胞壁は糖タンパク質でできています。非常に過酷な環境で生息している生物です。

  • 古細菌…メタン菌、高度好塩菌、超好熱菌など

真核生物ドメイン

核膜に包まれた核を持つ生物群で、多くの生物が該当します。真核生物ドメインを、さらにアーケプラスチダ(陸上植物、緑藻、紅藻など)、リザリア(有孔虫や放散虫など)、エクスカバータ(ミドリムシやトリパノソーマなど)、クロムアルベオラータ(褐藻、渦鞭毛藻など)アメーボゾア(細胞性粘菌や変形菌など)、オピストコンタ(動物や菌類など)の6つに分ける考え方も提唱されています。

このように、高次の分類階級は複雑です。まずは、しっかりと五界説をマスターし、それぞれがどのドメインに入るのか覚えていきましょう。また、どの生物がどの界に入るのかもできる限り覚えるようにしていきましょう。

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