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高校生物「種間関係」相利共生や片利共生の生物例

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高校生物。生態と環境の個体群間の相互作用について学習します。群集内での異なる生物種間の相互作用である種間関係がメインになります。

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種間関係とは?

生活場所をめぐって異なる種類の生物間で繰り広げられる競争、食べる食べられるといった関係、互いに利益を共有し合う関係など、群集内での異なる生物種間の相互作用を種間関係といいます。

種間関係を考える際には、関係する生物が、どこで、いつ、何を食べ、どれに食べられるかといった、生態系における役割や位置である生態的地位(ニッチ)が重要になります。

主な種間関係には、関係する生物種(A種・B種)が利益・不利益をどのように享受するかで分類されており、次のようなものがあります。

  • 種間競争
    A種:不利益  B種:不利益
    生活場所やエサをめぐる競争。相互に不利益となる。
  • 被食者‐捕食者相互関係
    A種:利益   B種:不利益
    捕食者であるA種が被食者であるB種を捕食し、利益を得る。
  • 相利共生
    A種:利益   B種:利益
    異種の生物が共生することで、お互いが利益を得る。
  • 片利共生
    A種:利益   B種:利害無し
    異種の生物が共生することで、一方の生物種のみが利益を得る。
  • 寄生
    A種:利益   B種:不利益
    異種の生物が共生することで、一歩が利益を得、他方が不利益を被る。
  • 片害
    A種:利害無し B種:不利益
    一方が不利益を被り、他方にとっては利益も不利益もない種間関係。
  • 中立
    A種:利害無し B種:利害無し
    相互に何の影響も与えない。
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種間関係の生物例

テストや入試で聞かれるのは、どのような生物種どうしが何の種間関係の形態をとっているのかです。具体的な生物名を覚えていきましょう。

種間競争

生態的地位(ニッチ)が同じような生物種間では、生活場所やエサをめぐり種間競争が起こります。種間競争に敗れた生物種は全滅し、その地域から排除されます(競争的排除)。

  • ゾウリムシヒメゾウリムシ
    体が小さく増殖速度が大きいヒメゾウリムシが種間競争に勝ちます。
  • ソバヤエナリ
    高い位置に葉をつけるソバが光を遮り、ヤエナリの成長を著しく阻害します。
  • シロツメクサカモガヤ
    土壌中の無機窒素化合物が不足している場合、根粒菌と共生しているシロツメクサが勝ちますが、土壌中に無機窒素化合物が十分にある場合は、カモガヤが勝ちます。

被食者‐捕食者相互関係

生物種間の食べる食べられるの関係を、被食者‐捕食者相互関係といいます。食べる側を捕食者、食べられる側を被食者といいます。閉鎖された空間においては、被食者と捕食者の両者、あるいは一方が全滅します。これは、被食者が食べつくされ、捕食者もエサが無くなり全滅したり、被食者が隠れ家に隠れ、捕食者のみが全滅するからです。

実際の自然界では、捕食者が被食者を食べつくすことはなく、被食者の個体数の変動からやや遅れて捕食者の個体数が変動するという周期をくり返します。

種間関係

  • ヤマネコウサギ
    被食者のウサギの個体数の変化に遅れてヤマネコの個体数が変化します。
  • ライオンシマウマ
    被食者のシマウマの個体数の変化に遅れて捕食者であるライオンの個体数が変化します。
  • ゾウリムシミズケムシ
    密閉された空間で共生させるとお互いに全滅しますが、ゾウリムシの隠れ家を与えると、ミズケムシのみが全滅します。
  • カブリダニナミハダニ
    リンゴ園でナミハダニが発生するとリンゴの成長が阻害されます。天敵であるカブリダニを使ってナミハダニを駆除する農法も研究されています。

相利共生

異種の生物が一緒に生活をして、互いに利益を受ける関係を相利共生といいます。窒素固定で登場した根粒菌とマメ科植物などが相利共生の有名な例になります。

  • 根粒菌マメ科植物
    根粒菌は窒素固定によって空気中の窒素をアンモニアにしマメ科植物に供給します。マメ科植物は光合成で合成した有機物を根粒菌に供給します。
  • アリアブラムシ
    アブラムシは糖液を分泌しアリに供給します。アリはアブラムシの天敵であるテントウムシからアブラムシを保護します。
  • クマノミイソギンチャク
    クマノミはイソギンチャクの触手内に隠れ、外敵から逃れます。イソギンチャクはクマノミが食べ残したエサを食べます。
  • クエホンソメワケベラ
    クエは歯に挟まった食べ残しや寄生虫を、ホンソメワケベラに食べてもらいます。ホンソメワケベラはクエの口からエサを得ています。
  • 子のう菌藻類(地衣類)
    真菌類の一種である子のう菌は、空気中の水蒸気を凝結させ、得られる水を藻類に供給します。藻類は光合成で合成した有機物を子のう菌に供給します。

片利共生

一方の生物種が利益を受け、もう一方の生物種には利益も不利益もない関係を、片利共生といいます。サメの表面に付着するコバンザメなどが有名です。

  • サメコバンザメ
    コバンザメはサメとは異なる硬骨魚類で、サメの体表に付着することで自身のエネルギーを使わずに移動でき、外敵から襲われることも防いでいます。一方、サメには利益も不利益もありません。
  • ナマコカクレウオ
    カクレウオは、外敵に襲われるとナマコの肛門の中に隠れます。ナマコには利益も不利益もありません。

寄生

寄生する生物を寄生者、寄生される生物を宿主といいます。寄生者には利益がありますが、宿主には不利益が生じます。生物の体内に寄生する場合と、体表に寄生する場合があり、卵を他の生物種に育ててもらう托卵なども社会的寄生といいます。

  • カイチュウヒト
    カイチュウは、ヒトをはじめ多くの哺乳類の小腸に寄生する寄生者です。
  • マラリア病原虫ヒト
    脊椎動物の赤血球内に寄生してマラリアを引き起こす病原体で、主にカなどの吸血昆虫とによってヒトに感染します。
  • コマユバチアズキゾウムシ
    コマユバチはアズキゾウムシの幼虫の体内に産卵し、コマユバチの幼虫がアズキゾウムシの体内を食いつくして外に出てきます。
  • イヌ・ネコノミ
    イヌやネコの体表にノミが寄生し血液を吸います。
  • ブナヤドリギ
    粘液によってブナの樹皮上に張り付き、そこで発芽して樹皮に向けて根を下ろし、寄生します。
  • カッコウモズ
    カッコウはモズの巣の中に産卵し、モズに子育てをさせます(托卵)。

片害

一方の生物種には不利益があり、他方にとっては利益も不利益もない種間関係を片害といいます。赤潮(プランクトン)と魚類などの関係が有名です。

  • 赤潮(プランクトン)魚類
    赤潮は、海や河川でプランクトンが異常に増殖することで発生します。溶存酸素濃度の低下したり、エラにプランクトンが詰まり窒息したり、魚類などが大量死することがあります。
  • アオカビ細菌類
    アオカビはペニシリンという抗生物質を分泌し、細菌の増殖などが抑制されます。
  • セイタカアワダチソウ植物
    セイタカアワダチソウは根から分泌する化学物質で、周囲の植物の生育を抑制してしまいます(アレロパシー)。
生物
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