高校生物「浸透圧」動物細胞の溶血や植物細胞の膨圧

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生物や生物基礎の勉強を進めるにあたって、浸透圧という圧力の話が登場します。水が浸透する現象によって生じる圧力ですが、この浸透圧を詳しく解説します。動物細胞や植物細胞の変化に注目しながら、浸透圧について学習していきましょう。

浸透圧とは

浸透圧とは、身近な例でいうと、野菜を塩漬けするとしわしわになり漬物ができる現象や、ナメクジに塩をかけると小さくなっていく現象などがイメージしやすいのではないでしょうか。この浸透という現象を学習します。

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拡散

浸透圧を勉強する前に、まずは拡散という現象について説明します。拡散とは、粒子の濃度が均一になろうと、濃度が高いほうから濃度が低いほうに広がっていく現象です。気体中でも液体中でも、すべての物質は拡散しようという性質があるのです。

物質には、この拡散するという性質があるので、粒子の濃度が高いほうから低いほうに粒子が移動します。濃度の差を濃度勾配といいますので、濃度勾配に従って、粒子が移動して行くわけです。

拡散…濃度を均一にしようと濃度勾配に従って粒子が広がっていく現象。

半透膜と浸透

下の図のように、蒸留水とスクロース溶液を半透膜に仕切られた容器に入れます。半透膜は、膜に小さな穴が開いており、水分子などの小さな粒子は通過できますが、スクロースなどの大きな分子は通過できない膜です。生物を構成する生体膜も、半透膜の性質をもっています。

半透膜…一定の大きさ以下の分子またはイオンのみを透過させる膜。

浸透圧

始めは、半透膜の左側に水分子が多く存在し、右側にはスクロース分子が多く存在する状態です。水分子もスクロース分子も拡散しようとする性質があるので、水分子は半透膜を通過して右側に移動しますが、スクロース分子は半透膜を通過できないので、左側に通過できません。その結果、半透膜に仕切られた右側に水分子のみが流入し、水位差が生じます。

このとき、水分子が半透膜を通過して移動することを浸透といい、水を浸透させる圧力を浸透圧というのです。蒸留水側から、スクロース溶液側に水分子が移動したので、蒸留水よりもスクロース溶液のほうが浸透圧が高いということになります。

イメージしにくい場合は、水分子を引く力と覚えておいても構いません。スクロース溶液側に水分子が移動したので、蒸留水よりもスクロース溶液の方が浸透圧が大きいといえますね。

浸透圧…水を浸透させる圧力。水分子を引っ張り込む力。濃度が高いほうが大きい。

動物細胞と浸透圧

動物細胞を、さまざまな濃度の溶液に入れてみましょう。濃度が異なる溶液ですから、浸透圧も違ってきます。細胞内の液体の浸透圧と細胞外の浸透圧の差によって水が浸透します。

細胞内の液体と細胞外の溶液の濃度が等しく、見かけ上水の移動が無く、細胞の体積が変化しない溶液を等張液といいます。細胞外の溶液の濃度が高く、水が細胞内から細胞外に浸透し、細胞の体積が小さくなる高濃度の溶液を高張液といいます。また、細胞外の溶液の濃度が低く、水が細胞外から細胞内に浸透し、細胞の体積が大きくなる低濃度の溶液を低張液といいます。

動物細胞を濃度が低い低張液に入れると、細胞の体積が大きくなりますが、蒸留水のように非常に低張な液体に入れた場合、細胞内外の浸透圧差が大きくなり、細胞が水をたくさん吸水し破裂する場合があります。赤血球が吸水して破裂する場合は、特に溶血と呼ばれています。

動物細胞の溶血

なお、細胞の体積と細胞内の液体の浸透圧の間には、反比例の関係があることも覚えておいてください。

等張液…細胞内液と外液の濃度が同じで浸透圧が等しい溶液。
高張液…細胞内よりも外液の濃度が高く浸透圧が大きい溶液。
低張液…細胞内よりも外液の濃度が低く浸透圧が小さい溶液。

生理食塩水

動物の体液と濃度が同じで浸透圧が等しい食塩水を生理食塩水といいます。浸透圧が等しいので細胞と外液の間で水の移動は見かけ上ありません。ヒトの生理食塩水の塩分濃度は0.9%であることは覚えておきましょう。

また、生理食塩水の食塩の一部を他の塩類に置き換え、さらに緩衝液などを加えることで、より一層体液の組成に近づけた溶液を生理的塩類溶液といいます。心臓の自動性の実験で登場するリンガー液などがその代表例となります。

生理食塩水…動物の体液と濃度が同じで浸透圧が等しい食塩水。ヒトは0.9%。

植物細胞と浸透圧

次は植物細胞です。動物細胞との大きな違いは、細胞膜の外側に細胞壁があることが大きな違いになります。細胞膜は水分子のような小さな粒子しか通過できない半透膜でしたが、細胞壁は水分子のような小さな粒子も、スクロースのような大きな粒子も通過させることができる全透膜になります。

植物細胞を濃度が高い高張液に浸すと、水が細胞膜内(原形質)から外へ浸透し、原形質の体積が小さくなります。このとき、全透膜である細胞壁は変形しませんので、原形質が細胞壁から離れる原形質分離という現象が観察されます。

植物細胞を原形質と同じ濃度の等張液に浸すと、見かけ上水の浸透が見られず、原形質の部分が細胞壁を押しもせず、離れもしない状態の限界原形質分離になります。多数の細胞を観察したときは、観察している細胞の半数が原形質分離を起こしている状態を限界原形質分離の状態と定義しています。

植物細胞を濃度が低い低張液に浸すと、水が原形質内に浸透し、細胞壁を押し広げようとする力である膨圧が生じます。膨圧により引き延ばされた細胞壁には、元に戻ろうとする力がはたらくので、この力により水が原形質ないに浸透するのを妨げます。

植物細胞と膨圧

膨圧により浸透が妨げられるので、その分、原形質への水の流入は減少します。この膨圧によって減少した水の流入する力を吸水力といいます。吸水力は次の式で求めることができます。

吸水力細胞内の浸透圧膨圧
原形質分離…原形質が細胞壁から離れる現象。高張液中で起こる。
限界原形質分離…原形質の部分が細胞壁を押しもせず、離れもしない状態。等張液中で起こる。
膨圧…水が原形質内に浸透し細胞壁を押し広げようとする圧力。低張液中で起こる。

原形質復帰

濃度が高い高張液中で脱水して縮んだ原形質が、吸水してもとの状態に戻ることを原形質復帰といいます。高張液に浸して原形質分離を起こしている細胞を低張液に浸した場合などに見られます。

膨圧と吸水力

植物細胞の浸透圧はグラフで登場することが多いので、次のグラフも読めるようにしておきましょう。

膨圧と吸水力

このグラフに、植物細胞の状態も表してみると次のようになります。

膨圧と吸水力2

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