遺伝子の本体がDNAであることを証明する実験の一つである、グリフィスとエイブリー(アベリー)が行った実験に関する問題演習です。
形質転換の練習問題
肺炎双球菌には、寒天培地で培養したときにコロニー(細菌の集団)に表面が荒いR型菌と、コロニーの表面が滑らかなS型菌がある。R型菌とS型菌をそれぞれ別のネズミに注射すると、S型菌を注射した場合にのみネズミは発病する。
S型菌をすりつぶして得た抽出液に、次の①~④の処理をしたものを準備した。
①無処理
②多糖類分解酵素を加えたもの
③DNA分解酵素を加えたもの
④タンパク質分解酵素を加えたもの
①~④を別々にR型菌に加えて培養すると、ⅰR型菌の中にS型菌の形質をもつものが現れた。この実験を行ったのは( ① )で、実験によりⅱ遺伝子の本体がDNAであることが推測された。これについて、以下の各問いに答えよ。
(1)文中の( ① )に入る人物を、下のア~オの中から選べ。
ア ワトソン イ グリフィス ウ ハーシー エ シャルガフ オ エイブリー
(2)S型菌をすりつぶして得た抽出液に、①~④の処理をしたものをR型菌に加えて培養すると、R型菌の中にS型菌の形質をもつものが現れたのは、①~④のどれになるか。該当するものをすべて選べ。
(3)下線部ⅰの現象を何というか。
(4)この実験からわかることを述べた次の文章中の( )に適切な語句を入れよ。
(5)加熱殺菌したS型菌を注射してもネズミは発病しない。では、加熱殺菌したS型菌をR型菌と混ぜて注射すると、ネズミは発病するか、発病しないか。
(6)下線部ⅱに関連して、DNAを含む細胞内の構造体として最も適当なものを、次の①~⑤の中からすべて選べ。
①染色体 ②液胞 ③星状体 ④ゴルジ体 ⑤ミトコンドリア ⑥葉緑体
形質転換の練習問題 解答・解説
(1)オ
S型菌の抽出液をR型菌の培地に加える実験を行ったのはエイブリー(アベリー)である。グリフィスはエイブリーの実験の前に、加熱殺菌したS型菌をR型菌に注射すると、R型菌の中にS型菌が現れることを発見した人物である。
(2)①、②、③
DNA分解酵素を加えたときだけS型菌のDNAが分解されるので、形質転換が起こらない。
(3)形質転換
形質転換は、生きたR型菌がS型菌のDNAを取り込むことで起こる現象である。グリフィスの実験により判明したが、形質転換という名称を用いたのはエイブリーである。
(4)ア S イ DNA ウ R エ S
形質転換は、生きたR型菌がS型菌のDNAを取り込むことで起こる現象である。エイブリーの実験により、遺伝子の本体がDNAであることが強く示唆されたが、当時、形質を現すもととなるものがタンパク質だと考えられていたため、エイブリーの実験はなかなか受け入れてもらえなかった。
(5)発病する
グリフィスの実験である。DNAは熱に強く、生きたR型菌に加熱殺菌されたS型菌を混ぜると、R型菌にS型菌のDNAが取り込まれ、S型菌に形質転換するものがある。
(6)①、⑤、⑥
染色体は、二重らせん構造をとるDNAが折りたためられてできたものである。ミトコンドリアと葉緑体は、それぞれ独自のDNAを持ち、細胞内で独自に増殖する。
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