大学受験生物。生態と環境で登場する個体数の調査方法、「区画法」と「標識再補法」について学習します。
個体群密度
ある地域に生息する同種個体の集団を個体群といいます。例えば、アフリカのある地域に生息しているゾウの群れやライオンの集団、アリの大群など、同種の個体の集まりでなら、それを個体群といいます。
この個体群が一定の空間に、どのくらい集まっているのかを表すものが個体群密度です。地表のような平面に生息している動物などの場合は、単位面積当たりの個体数が個体群密度となり、水中のように鉛直方向にも生息している場合は、単位体積当たりの個体数が個体群密度となります。
個体群密度によって、個体群にはさまざまな影響が出てきます。個体群密度が上昇することで、環境の悪化や競争が生じたり、増殖率が変化したり、さらには生物の形態までもが変化したりなど、大きな影響を与えます。個体群密度の変化によって個体群が受ける影響を密度効果といいます。
このように、個体群の密度により生態に変化が起こるので、生物の生態を調査するうえで、個体数を把握することは非常に大切です。
個体群の分布様式
個体群の中の個体の集まり具合、散らばり具合には次の3つの分布パターンがあります。
- 集中分布…集中して分布する
- 一様分布…一定間隔に分布する
- ランダム分布…不規則に分布する
個体数の推定方法
個体群密度を求める上で、その地域にどれくらいの個体が棲息しているのか調査する必要があります。だからといって、その地域の個体を全部数え上げ、全個体数を調査することは不可能です。なので個体数を調査する方法には次の2つの手法が用いられています。
- 区画法
個体群の生息地域内の何か所かに一定面積の区画をつくり、その中の個体数を数え全個体数推定する方法。 - 標識再補法
捕獲した個体に標識をつけて放し、次の捕獲時に再度捕獲された標識個体の割合から全体の個体数を推定する方法。
区画法は、植物や動きの遅い動物を数える場合に適していて、標識再補法は、生息域内を自由に行き来したり発見しにくい動物に利用されます。
標識再補法の計算
区画法の計算は非常に簡単です。一定面積の区画の個体数を調べ、平均を取り、それに生息区域の面積をかけるだけで求まります。
一方の標識再補法では、次のように個体数の推定がなされます。
- 個体群の中のいくらかの個体を捕獲
- 簡単に消えない標識をつけて放す
- しばらくして再びいくらかの個体を捕獲
- 再捕獲された個体数から全個体数を求める
この手順で、全個体数の調査ができます。計算の方法は次の通りです。
上のネコの例だと、全個体数は15匹だと計算できますね。
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