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高校生物基礎「ヘモグロビンによる酸素運搬のポイント」

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高校生物基礎。体液のヘモグロビンによる酸素の運搬について学習します。赤血球に含まれる赤色の色素ヘモグロビンの性質と、酸素解離曲線の読み方を勉強していきます。

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ヘモグロビンによる酸素の運搬

酸素運搬のポイント!
脊椎動物の呼吸色素はヘモグロビン
酸素解離曲線のグラフの読み方をマスター
母体と胎児の酸素解離曲線の読み方をマスター

生物の細胞の呼吸にとって酸素はなくてはならないものです。しかし、酸素は、血しょう1L当たり、最大で3mLしか溶けません。多くの酸素を細胞に運ぶために赤血球の中に含まれるヘモグロビンの性質を利用しています。ヘモグロビンが酸素と結合しやすい性質を利用すると、血液1L当たり200mLの酸素を運搬できるようになります。

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脊椎動物の呼吸色素ヘモグロビン

体液中で、酸素と結合するタンパク質を呼吸色素といいます。脊椎動物の呼吸色素はヘモグロビン(Hb)で、を含む呼吸色素になります。

ヘモグロビンは、酸素分圧が高いときには酸素と結合し酸素ヘモグロビンとなり、逆に酸素分圧が低くなると、酸素を解離して再びヘモグロビンに戻る性質があります。酸素分圧とは、空気のような混合気体中の酸素の圧力のことで、詳しく化学で学習するので、酸素分圧が高いときは酸素が多い、酸素分圧が低いときは酸素が少ないと考えて大丈夫です。

また、同じ酸素分圧の下では、二酸化炭素分圧が高いほど、酸素を離しやすいという性質も持っています。この性質を利用して、酸素が多いところ(肺)から、酸素が少ないところ(組織)に酸素を運搬しているのです。

ヘモグロビンの性質酸素分圧が高いと酸素と結合し酸素ヘモグロビンになる!
酸素分圧が低いと酸素を解離しヘモグロビンに戻る!
二酸化炭素分圧が高いほど酸素を解離しやすい!

色々な動物の呼吸色素

脊椎動物の呼吸色素はヘモグロビンでしたが、生物の種類によって呼吸色素は異なります。主成分である金属が異なるので、血液の色も異なってきます。

呼吸色素 動物 金属
ヘモグロビン 脊椎動物 Fe 鮮赤色⇄暗赤色
ヘモシアニン イカ・タコ、エビ・カニ Cu 青色⇄無色
エリトロクルオリン アカガイ、ミミズ・ゴカイ Fe 赤色⇄赤色

アカガイは血液が赤いのでアカガイというのですね。

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酸素解離曲線

酸素解離曲線

酸素解離曲線とは、酸素分圧や二酸化炭素分圧が変化したときに、ヘモグロビンの酸素への結合の割合を示したグラフになります。

1分子のヘモグロビンで4分子の酸素を運搬できますが、ヘモグロビンに1分子の酸素が結合すると、残りの酸素も結合しやすくなるので、酸素解離曲線は緩やかなS字型の曲線になります。

肺では、酸素分圧が高く、二酸化炭素分圧が低いので、大部分のヘモグロビンが酸素と結合し酸素ヘモグロビンになります。一方、組織では、酸素を消費して二酸化炭素を発生するので、酸素分圧が低く二酸化炭素分圧が高くなっており、一部の酸素ヘモグロビンは酸素を解離してヘモグロビンに戻ります。

したがって、組織に供給される酸素の量は、肺と組織における酸素ヘモグロビンの量の差に応じたものとなります。

また、酸素分圧や二酸化炭素分圧以外にも、温度が高いほど、pHが低いほどヘモグロビンは酸素と結合しにくくなるという性質もあります。

肺での酸素解離曲線

実際の問題を解いた方が分かりやすいのですが、簡単にグラフの見方を見てみましょう。まずは、肺での酸素解離曲線です。肺での酸素分圧を100mmHg、二酸化炭素分圧を40mmHgとします。単位のmmHgとは、圧力の単位です。詳しくは化学で学習するので、ここではただの単位としてとらえてもらって結構です。

酸素解離曲線 肺

グラフから、酸素分圧100mmHg二酸化炭素分圧40mmHgのグラフを確認すると、酸素ヘモグロビンの割合が95%となっています。全ヘモグロビンの95%が酸素ヘモグロビンになっていることがわかりますね。

組織での酸素解離曲線

次は組織での酸素解離曲線です。組織での酸素分圧を30mmHg、二酸化炭素分圧を60mmHgとします。

酸素解離曲線 組織

グラフから、酸素分圧30mmHg二酸化炭素分圧60mmHgのグラフを確認すると、酸素ヘモグロビンの割合が50%となっています。全ヘモグロビンの50%が酸素ヘモグロビンになっていることがわかりますね。

このことから、95%ー50%=45%の酸素ヘモグロビンが、酸素を組織へ供給したことがわかりますね。このように、酸素解離曲線を見ていくことになります。

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母体と胎児の酸素解離曲線の読み方

ヒトをはじめ哺乳類の胎児は、胎盤で母体の血液から酸素を受け取っています。このことから、胎児のヘモグロビンの方が母体のヘモグロビンよりも酸素との親和性が高いことが推測できます。

胎児のヘモグロビンは、成人のヘモグロビンと少し構造が異なり、酸素と結合しやすい構造になっています。なので、同じ二酸化炭素分圧の下で、成人のヘモグロビンよりも酸素と結合しやすいのです。

胎盤では、母体の酸素ヘモグロビンから解離された酸素は、胎児の酸素ヘモグロビンと結合して胎児の体内に運ばれることになります。

胎児と母体の酸素解離曲線

生物
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