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高校倫理・公共地理「世界の三大宗教のポイント」

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高校倫理・公共地理「世界の三大宗教のポイント」です。
宗教とは、「信仰」と「救済」が重要といわれる。英語の「宗教(Religion)」は、「再び(神と人を)結びつける」いう意味がある。

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世界三大宗教

世界三大宗教は、

  • キリスト教
  • イスラーム教
  • 仏教

である。

宗教人口

現在の宗教人口では、仏教(約3億7600万人)よりヒンドゥー教(約9億人)の方が多い。ヒンドゥー教や中国の儒教・道教を含めた伝統宗教(約4億人)は「民族宗教」であるが、アジア地域の人口爆発現象の影響で増え続けている。また、無宗教(約9億人)も増加傾向にある。2007年の世界宗教統計調査に基づく日本人の宗教意識は、「神仏習合(シンクレティズム)」の影響からか、神道系と仏教系を合わせると総人口を超えてしまう。

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キリスト教の誕生

イエス(JesusChrist 前4頃~後30頃)の教えは、地中海世界を支配するローマ帝国初期の人々の「幸せ(心の平安)に生きるには?」という問題意識に答えるもの。ユダヤ教の改革者として救世主として、イエスは登場した。

イエスの言行

イエスの言行は、『新約聖書』の四福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネによる福音書)に書かれている。

  • 福音…よき知らせ, 幸せになれる言葉

イエスはユダヤ教を否定したのではなく、その律法主義(形式主義)を批判して律法の心(精神)を説き、律法の内面化を目指した。キリスト教の聖典は、 『新約聖書』と『旧約聖書』の両方である。

アガペー

イエスは、神の愛(アガペー)を有名な「迷える羊」や「放蕩息子の話」のたとえ話で教えた。

  • 神の愛(アガペー)…無差別・平等で見返りを求めない無償の愛である。神が人間を憐れみ同情する価値によらず (価値あるものも価値のないものも)愛し与え続ける「思いやり」のような愛
  • プラトンのエロース…不完全な人間が価値あると認めたものごと(人や物や 知識など)を求め続ける「向上心」のような愛

隣人愛

真理は隣人愛である。この隣人とは出会う人すべてである。神の愛(アガペー)に限りなく近づこうとする無差別無償の愛であり、マタイによる福音書の有名な山上の垂訓の心の省しき人が実践する愛である。イエスは律法学者が試した問いに、最も大切な律法は、精一杯の「信仰」と精一杯の「隣人愛」とであると明言した。

イエスの死後のキリスト教

イエスの死後、使徒(12人のイエスの宣教者)、ペテロ(カトリック教会では初代ローマ教皇)やパウロ(熱心なキリスト教の宣教者)は、異邦人(非ユダヤ教徒)へ小アジア・ギリシャ・ローマなど三度宣教の旅し、世界宗教への礎を築いた。

新約聖書

ローマ帝国五代ネロ帝の時代にローマで殉教した(65年頃)パウロは、簡罪の思想で神の子イエスの死と復活を意味付け、原始キリスト教団の教義を確立した。この頃(1世紀)、「福音書(イエスの言行録」と「使徒行伝」「パウロの手紙」などを含む新約聖書が完成した。

アウグスティヌス

アウグスティヌス(Augustinus 354 ~ 430)は、ローマ帝国末期に北アフリカのタガステ(現アルジェリア) に生まれ、23歳頃マニ教に帰依し、母モニカの影響でキリスト教に回心する(32歳頃)。その後、北アフリカの小都市ヒッポ司教として著作活動し、生涯を終えた。教父とは、2~8世紀にキリスト教正統教義や教説を著述した権威ある神学者のことである。

  • マニ教…摩尼数、3世紀ササン朝ペルシャのマニがゾロアスター教を中心に他の宗教を組み合わせた善悪二元論の新宗教を創始
  • 恩寵予定説…人ウグスティヌスは人間の意志(自由意志)は無力であり、 神の恩寵(恵み, 標れみ)なしには善を行えないので、教会へいく(教われる予定)のも恩寵によるという思想 である。そして、功績による救済という思想を異端とした。

トマス=アクィナス

トマス=アクィナス(Thomas Aquanas 1225~1274)は、南イタリア(ナポリ王国)の名門貴族に生まれ、アリストテレス哲学の影響を受け、著書「神学大全」で中世のスコラ哲学(神学)を大成した。人間理性が証明できる龍園(神の存在と本質)と信仰が対象とする範囲(イエスの復活と奇蹟)を明確に分けて、「理性の限導」と「信仰の優位」を明示して、両者を調停した。

  • スコラ哲学(神学)…神は存在するかという普遍観念をめぐる神学上の問題で、11世紀後半から12世紀まで約100年間続いた「実在論」と「修交会」との論争である。

宗教改革

1517年、ドイツ人のルターは免罪符の販売に抗議して、「95か条の意見書(論題)」を発表し、これが宗教改革のきっかけとなった原始キリスト教の信仰に回帰するルネサンス運動であり、中世キリスト教世界を崩壊させ、近代資本主義を創造することとなった。

ルター

17世紀はじめに、ドイツ(当時は「神聖ローマ帝国」)のルター(1483年から1546年没)が、「95カ条の論題」をヴッテンベルク大学(城)の扉に掲示して、贖宥状(しょくゆうじょう)とカトリック教会を批判したことに始まる。この議題は聖書のドイツ語訳とともにグーテンベルク(金属加工職人)が発明した活版印刷術で改革運動は広まった。ルターは、讃美歌を作曲し、結婚し、三男三女の子供をもうけた。

ローマ=カトリック教会

ローマ=カトリック教会は、中世西欧社会で権威を誇示したが、封建領主化(世俗化)して聖職売買の横行や高利貸し、あるいは法王や司教に子供があったり、愛人を囲ったりと腐敗・墜落していった。その象徴が14世紀からの贖宥状(これを買えば罪悪が軽減され、天国へいけるという証明書)の販売である。ルターは、このようなカトリック教会の堕落を抗議(protest)し、原始キリスト教の信仰への回帰を説いた。

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仏教

前1世紀頃までに約20の部派仏教(アビダルマ・阿毘達磨)が成立し、「経蔵(仏教の基本)」「律蔵(戒律の集成)」「論蔵(経典の注釈)」の「三蔵(「大蔵経」)」を成立させた。

三蔵法師

唐の三蔵法師は三蔵に詳しく、629年から17年に及ぶ旅の記録『大唐西域記』を著わし、「大般若経」600巻を翻訳して唯識思想を伝え、法相宗を開いた。部派仏教は、大衆部9派が上座部11派を「一切衆生茶仏性」の立場から批判し、根本分裂した。

上座部仏教

上座部仏教(小乗仏教, 部派仏教)は、出家して厳しい修行を積んだ僧侶(阿羅漢)だけが悟りを開き、苦悩から救われる「悟り(自利)」中心の仏教で、南伝仏教(スリランカ・タイ・ミャンマー・カンボジアなど)といわれる。

大乗仏教

大乗仏教(大衆部仏教)は、在家の凡夫(煩悩に悩む人)も利他行を続けていけば未来において以仏(苦悩から解脱)できるという「慈悲(利他」中心の仏教で、生き物すべて(一切衆生)の苦悩を救う「菩薩」行を理想とした。これは、北伝仏教(チベット・中国・日本など)といわれる。

六波羅蜜

六波羅蜜とは、サンスクリット語のパーラミーターで、大乗の菩薩が涅槃に至るために、他の人をも救う「自利=自他」の修行方法のことである。従来の部派仏教的な「持戒(じかい)」「禅定(ぜんじょう)」「智慧(ちえ)」に 加えて、より大乗仏教的な「布施(あせ)」・「精進(しょうじん)」「忍辱(にんにく)」がある。

  • 忍辱…忍辱とは、怨み妬みのない寛容な心と悲惨や恥辱を耐え忍ぶ心である。
  • 精進…精進とは、ただひたすら進んでいく混じりけのない役でありる。
  • 布施…布施とは、 財や法や安心などさまざまな施しをさせていただくという心である。

出家・在家を問わず、「六波羅蜜」の実践をする修行者は「菩薩」である。

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ユダヤ教とイスラム教

キリスト教の母体となったユダヤ教と、その二宗教の兄弟といえるのがイスラーム教である。三宗教は、いずれも共通の神(創造主・人格神・唯一神)との契約という性格を持っている

  • ユダヤ教の神…ヤハウェ(ヤーヴェ、エホヴァ)
  • イスラーム教の神…アッラー

規範(ノルム)

ユダヤ教とイスラム教の本質は、規範(ノルム)の存在である。たとえば、ユダヤ教徒は豚肉を食べないし、割礼する。イスラム教徒にとっては、豚や肉食動物爬虫類、昆虫、酒類は、ハラム (食べてはいけない食品)である。

ユダヤ教とイスラーム教ともに「規範(ノルム)」宗教でもあり、独自の外面的行動をエトス(行動様式)とする典型的な宗教である。一方、キリスト教や日本人の信仰は無規範宗教とみることができる。規範(ノルム)とは、命令(「これをしなさい」)と禁止(「あれをするな」)の外面的行動を要求するものである(人間の内面は判定できない)。

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ヒンドゥー教

ヒンドゥー教は、バラモン教から聖典やカースト制を引き継ぎ、土着の神々を吸収してきた多神教である。中心となるブラフマー(宇宙創造の神)とヴィシュヌ(世界維持の神)とシヴァ(世界破壊の神)は三神一体とされた。

菜食主義

また、シャイナ教徒だけでなく不殺生を旨とすることから菜食主義の人が多いし、生(水牛は崇拝の対象でない)は聖獣として絶対に食べない。グプタ朝のチャンドラグプタ2世(即位376年から414年)の頃、叙事詩「マハーバーラタ」「ラーヤナ」がまとめられ、ヒンドゥー教の隆盛期であった。

バラモン教

インド古代の宗教。バラモンが司祭し指導したためヨーロッパ人が便宜的につけた名称。仏教興起以前のヒンドゥー教をいい、そのうちの最古の段階を「ベーダの宗教」ということもある。バラモン教から前7世紀頃、ウバニシャッド哲学が生まれた。ウパニシャッドとは、『ヴェーダ』の最後にある哲学的文献群で、語義は「近くに座る」(動詞)で、師から高弟だけに伝える秘密の教えである。

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