溶岩からなる裸地にどのように植物が生え、森林に成長していくのかを見ていきます。一次遷移と二次遷移、乾性遷移と湿性遷移の特徴をとらえましょう。
植生の遷移
ある特定の場所の植生が、時間が経過するとともに変化していく過程を遷移といいます。遷移のスタートは、溶岩が流れた後のまったく土壌がない場所です。
土壌が全くない場所からの遷移を一次遷移といいます。これに対して、山火事などにより植生が焼失してしまった状態で、土壌や土壌中に種子などが残っている状態からの遷移を二次遷移といいます。
一次遷移
一次遷移は、土壌が全くない裸地からの遷移になります。植物の生育に必要な水、窒素化合物などの土壌塩類が非常に乏しく、この厳しい環境に耐えられる植物である先駆種(パイオニア種)が侵入してきます。
先駆種の種子が風や流水、鳥のフンなどにより裸地に運ばれます。コケ類・地衣類の侵入から始まり、ある程度土壌が形成されてくると草木が侵入し、最後に樹木がが侵入します。
遷移の順序
- 裸地 ←遷移スタート
- 地衣類・コケ植物
- 一年生草本
- 多年生草本
- 低木林
- 陽樹林
- 混合林
- 陰樹林 ←極相(クライマックス)
混合林とは、強い光が当たる環境下で成長速度が大きい陽樹と、弱い光しか当たらない環境下でも生育できる陰樹が混合している樹林になります。
遷移の最後を極相(クライマックス)といいます。森林が成長すると、林床まで光が届かなくなるので、極相林は光補償点が小さく、弱い光でも生育できる陰樹林になります。
二次遷移
二次遷移は、山火事や様々な災害などで樹木や草本が消失した状態からの遷移です。土壌や土壌中の種子が残っているため、一次遷移と比べると遷移の速度が速いのが特徴です。
また、山火事などで、森林の一部が破壊されると、その場所は林床まで光が差し込むようになります。このような、森林内部の日当たりの良い場所をギャップといいますが、ここでも二次遷移が進行します。
乾性遷移と湿性遷移
これまで、陸上での遷移を見てきましたがこれを乾性遷移といいます。これに対して湖沼などの水辺で起こる遷移を湿性遷移といいます。
湿性遷移は、クロモやまつもなどの全身が水中にある沈水植物からスタートします。湖沼では絶えず周囲の土壌が流入してくるので、しだいに水深が浅くなってきます。そうすると、スイレンやヒシなどの葉が水面に浮かんでいる浮葉植物が生育し始めます。
さらに堆積が進行すると、全身の大部分は水上にあるが根は水中にあるヨシなどの抽水植物が侵入してきます。 このように、沈水植物、浮葉植物、抽水植物と湿性遷移が進んでいきます。
その後、水深がさらに浅くなり湿原になり、やがて乾性遷移に移っていきます。
【問題】植生の遷移の問題演習
次の文章の( )に適切な語句を入れよ。
解答①遷移 ②乾性遷移 ③湿性遷移 ④一次遷移 ⑤二次遷移 ⑥先駆種(パイオニア種) ⑦陽樹 ⑧陰樹
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