被子植物の配偶子形成のポイントをイラストを使い学習します。図解問題・用語問題もあるので定着用に使ってください。
被子植物の配偶子形成
被子植物の有性生殖で必ず出題されるのが、精細胞・卵細胞である配偶子の形成過程です。ポイントは、どこで減数分裂が行われ、DNA量がどのように変化するのかをマスターすることです。
まずは、イラストで各部の名称を覚えながら、どこで減数分裂しているのか確認しましょう。また、核分裂の回数まで問われるので、特に排膿の形成過程での核分裂の回数にも注目してください。
花粉母細胞から精細胞の形成過程
被子植物のおしべの先端にある葯(やく)の中に、花粉のもとになる花粉母細胞(核相2n)があり、花粉母細胞が減数分裂を行い花粉四分子(核相n)がつくられます。ここで減数分裂が行われるので、DNA量が変化するのはこのときです。核相もこのとき2nからnに変化します。
花粉四分子は、それぞれ離れて未熟花粉(花粉細胞)になります。未熟花粉は不均等な体細胞分裂を行い、生じた小さい方の細胞が雄原細胞(核相n)、それをとり囲む大きい方の細胞が花粉管細胞(核相n)になり、成熟した花粉になります。
花粉が受粉してめしべの柱頭に付くと、発芽し花粉管が伸びます。この間に雄原細胞は体細胞分裂を行い、2個の精細胞(核相n)になるのです。
胚のう母細胞から卵細胞の形成過程
めしべの子房内にある胚珠では、胚のう母細胞(核相2n)が減数分裂を行い、4個の娘細胞ができます。このうち3つは極体となり退化して消失します。残りの1個が胚のう細胞(核相n)になります。減数分裂は、この胚のう母細胞から胚のう細胞が生じるときに起こります。胚のう母細胞の減数分裂で、最初にできる極体を第一極体、後からできる極体を第二極体といいます。
胚のう細胞は3回の核分裂を行い、8個の核を持つ胚のうになります。胚のうの8個の核のうち、6個は仕切られて細胞化し、珠孔側に1個の卵細胞(核相n)、その両側に2個の助細胞(核相n)、反対側に3個の反足細胞(核相n)ができ、残りの2個の核は中央に集まり極核(核相n+n)と呼ばれる。極核を含む大型の細胞は中央細胞と呼ばれる。このようにして、7個の細胞を持つ胚のうが形成される。
被子植物の配偶子形成時のDNA量の変化
花粉母細胞から精細胞が形成されるまでの、1つの核当たりDNA量をグラフにすると次のようになります。
胚のう細胞から卵細胞が形成されるまでの、1つの核当たりDNA量をグラフにすると次のようになります。
【練習問題】被子植物の配偶子形成
(1)図中のA~Nの名称を答えよ。
(2)図中の①~⑥で、減数分裂にあたるのはどれか。すべて選べ。
(3)図中の①~⑥で、体細胞分裂にあたるのはどれか。すべて選べ。
(4)図中のHからIができるまでに、核分裂は何回起こるか。
(5)Aが8個ある場合、できる花粉は何個になるか。
【解答】被子植物の配偶子形成
(1)A:花粉母細胞 B:花粉四分子 C:雄原細胞 D:花粉管細胞
E:精細胞 F:花粉管核 G:胚のう母細胞 H:胚のう細胞 I:胚のう
J:卵細胞 K:助細胞 L:中央細胞 M:極核 N:反足細胞
(2)①、④
減数分裂は、花粉母細胞Aから花粉四分子Bがつくられるとき、胚のう母細胞Gから胚のう細胞Hがつくられるときに起こります。
(3)②、③
未熟花粉内で、不均等な体細胞分裂がおこり、雄原細胞と花粉管細胞がつくられます。また、雄原細胞が体細胞分裂し精細胞が2個生じます。
(4)3回
胚のう細胞内の1つの核が3回核分裂し、8個の核が生じます。8個の核は、卵細胞に1個、助細胞に2個、反足細胞に3個、中央細胞に2個配分されます。
(5)32個
花粉母細胞から花粉四分子ができるので、母細胞1個から4個の娘細胞が生じます。花粉母細胞が8個なので、その4倍の32個花粉が生じることになります。
コメント