【生物基礎】ガードンによるアフリカツメガエルの核移植実験

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核に含まれる遺伝情報を調べる実験で、センター試験や定期テストによく出題されるのが、ガードンによるアフリカツメガエルの核移植実験です。今日は、この実験を詳しく見ていきましょう。

アフリカツメガエルの核移植実験

イギリスの生物学者ガードンによる実験で、クローン技術開発に成功した実験になります。2012年に山中伸弥教授とノーベル生理学・医学賞を共同授賞しています。実験の概要は次の通りです。

  1. 体色が白い(白化個体)アフリカツメガエルの幼生(オタマジャクシ)から腸の上皮細胞を採取し、細胞から核だけを取り出す。
  2. 体色が黒いアフリカツメガエル(野生型)から未受精卵を採取し、紫外線を照射し核のはたらきを不活性化する。
  3. 腸の上皮細胞から取り出した核を、紫外線を照射した未受精卵に移植する。
  4. 正常に発生したアフリカツメガエルの体色は、すべて白い個体になった。

アフリカツメガエルの核移植実験

黒い野生型の細胞に白化個体の核を移植すると、すべて白い個体となったわけですね。では、この実験のポイントと、この実験で何がわかったのかを詳しく見ていきましょう。

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核移植実験のポイント

実験のポイントを押さえ、実験操作の意味を理解することが重要です。押さえたい内容は次の通りです。

白と黒の体色のカエルを使う理由

体色が白い個体の核を、体色が黒い個体の細胞に移植するのですが、色を変えることでどちらの個体の遺伝情報が発現したのかが一目で判断できるからです。

分化した細胞と未分化の細胞

実験では白化個体の腸の上皮細胞と、黒色野生型の未受精卵を使用しています。この2つの細胞の大きな違いは、上皮細胞が分化した細胞であるのに対し、未受精卵は未分化の細胞であることです。

分化した細胞とは、核の染色体に含まれる特定の遺伝情報が発現し、はたらきが決まってしまった細胞のことをいいます。それに対して未分化の細胞は、まだ遺伝情報が発現しておらず、はたらきが決まっていない細胞です。言い換えると、これからどんな細胞にも分化できる細胞になります。

核移植実験では、分化した細胞(はたらきが決まってしまった細胞)の核を、未分化の細胞(はたらきが決まっていない細胞)に移植します。

紫外線を照射する理由

黒色野生型の未受精卵に紫外線を照射するのですが、これは、腸の上皮細胞の核を未受精卵に移植して、そのはたらきを調べるのですから、未受精卵がもつ核のはたらきを不活性化しておく必要があるからです。簡単にいうと核を破壊するためなんですね。

核移植実験でわかること

ガードンによるアフリカツメガエルの核移植実験では、腸の上皮細胞のように分化した細胞の核にも、受精卵と同じようにからだをつくるすべての遺伝情報(遺伝子)があることがわかります。このように、細胞がすべての器官を分化させ、個体を形成することができる能力を分化全能性といいます。

また、核を取り出す細胞は生体ではなく幼生(オタマジャクシ)の細胞を使っています。これは、分化が進み過ぎた細胞の核を使用すると、完全な幼生になれる割合が低下するからです。分化が進み過ぎた細胞にも分化全能性はありますが、分化が進むにつれて遺伝子の発現が制約されるためです。

クローン

核移植によって得られた個体は、もとの白色個体と遺伝子構成が全く同じになります。このような遺伝的に同一な生物集団をクローンといいます。

動物で人為的にクローンを作成する方法は大きく2つあります。1つは、ガードンによるアフリカツメガエルの核移植実験のように、除核した未受精卵に、体細胞まで分化した細胞の核を移植する方法で、この方法で生じたクローンを体細胞クローンといいます。もう1つは、受精卵がある程度卵割した時点で割球を分離し、それぞれの割球を培養し発生させる方法で、これによって生じたクローンを受精卵クローンといいます。

1997年には、ヒツジの乳腺(分化が進んだ細胞)から取り出した核を、除核した未受精卵に移植することで、ほ乳類で初めてクローンがつくられました。有名なクローン羊のドリーです。これは、体細胞クローンですね。

最後に問題演習を行い、理解度を確認しましょう。

核移植実験 問題

野生型の黒いアフリカツメガエルの未受精卵に紫外線を照射し、この未受精卵に突然変異体の白いアフリカツメガエルのオタマジャクシの腸の上皮細胞から吸い取った核を注入した。この卵の発生を調べたところ、ほとんどは発生が途中で停止するか異常胚になったが、数%は幼生(オタマジャクシ)に成長した。これについて、以下の各問いに答えよ。

(1)下線部①の操作を行った理由を、簡潔に述べよ。

(2)この実験で、未受精卵に移植する核を、野生型の黒い幼生からではなく突然変異体の白い幼生から取ったのはなぜか。簡潔に説明せよ。

(3)下線部②の幼生が成体になった場合、その体色は、黒・白・灰色のうちどの色になると考えられるか。

(4)下線部②の幼生は、小腸上皮を提供した幼生と全く同じ遺伝子型をしている。このような個体を何というか。

(5)この実験で、腸の上皮細胞の核を用いて正常な幼生が発生したことから、分化した細胞に含まれる遺伝子について、どのようなことがわかるか。簡潔に述べよ。

核移植実験 問題 解答・解説

(1)未受精卵の核のはたらきを不活性化するため。

(2)移植された核の遺伝子を使って成体へと発生したことを、体色で確かめるため。

(3)

(4)クローン(体細胞クローン)

(5)分化した細胞の核内には、受精卵と同じように完全な個体をつくるすべての遺伝子が含まれている。

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