▶ YouTubeで授業動画配信中

【生物基礎】細胞周期の計算問題 細胞数と各期の時間

スポンサーリンク

細胞分裂の問題では、細胞分裂の過程に細胞を並べる問題と、細胞周期の時間を計算させる問題が登場します。とくに、細胞数やDNA量から各期の時間を計算させる問題で苦戦する生徒が多いようです。今日は細胞周期の計算問題を特訓します。

スポンサーリンク

細胞周期の計算問題 基本レベル

下の図は、すべての細胞の細胞周期の長さが同じで、非同調分裂している分裂組織に見られるいろいろな段階の図である、表はA~Eの各段階の観察された細胞数をまとめてある。これについて、後の各問いに答えよ。

細胞周期

細胞周期 間期 前期 中期 後期 終期
細胞数[個] 324 22 4 3 7

(1)上の図のA~Eを細胞分裂が進んでいく順に並び変えよ。

(2)細胞周期が20時間だとすると、間期に要する時間は何時間か。

細胞周期の計算問題 基本レベル 解答・解説

まずは、基本レベルの習得から。細胞周期の長さを細胞数で配分して各期の長さを計算します。

(1)E→C→B→D→A

間期は球状の核が見える(E)。分裂期前期で核膜が消失し凝縮した棒状の染色体が見える(C)。中期で染色体が紡錘体の赤道面に並ぶ(B)。後期で赤道面に並んだ染色体が両極に分かれていく(D)。終期に細胞質が分裂する(A)。

(2)18時間

細胞周期に対する各期の長さの割合は、全細胞数に対する各期の細胞数の割合に等しいので、全細胞数を求め間期の細胞数の分だけ細胞周期の20時間を配分する。
20h×(324/324+3+22+7+4)=18h

スポンサーリンク

細胞周期の計算問題 実戦レベル

ある生物の胚から細胞を取り出し、培養液中で均等な細胞集団を培養した。この細胞集団から、それぞれ同数の細胞を複数のペトリ皿に移して同時に培養をスタートさせた。これについて、次の各問いに答えよ。ただし、どの細胞でも細胞周期の時間は同じで、体細胞分裂のどの時期にあるかはまちまちである。

実験1

培養開始直後、および、80時間後にペトリ皿を1枚ずつ取り出し、各ペトリ皿の細胞数を測定した。その結果、培養開始直後の細胞数は180個、80時間後では2880個であった。

実験2

培養開始から80時間後に、細胞をペトリ皿に付着させたまま固定液で処理して核を染色し、光学顕微鏡を用いて細胞を観察したところ、各時期の細胞数は表のような結果になった。

間期 前期 中期 後期 終期 合計
細胞数(個) 2520 216 51 32 61 2880
実験3

各時期における細胞1個あたりのDNA量(相対値)を測定し、培養開始から80時間後に、それぞれのDNA量をもつ細胞数を測定したところ、表のような結果になった。なお、残りはDNA量が2と4の間の細胞であった。

DNA量(相対値) 2 4
細胞数(個) 1368 648

(1)この細胞の1回の細胞分裂に要する時間は何時間か。

(2)実験2より、この細胞の分裂期前期に要する時間は何時間か。

(3)実験2に関して、間期の細胞と分裂期の細胞は、光学顕微鏡でどのように区別されるか。40字程度で説明せよ。

(4)実験2と3より、間期のG₂期の細胞数は何個だとわかるか。

(5)実験2と3より、間期のS期の長さはおよそ何時間だとわかるか。

細胞周期の計算問題 実戦レベル 解答・解説

実験1より、細胞周期の時間を計算させ、その細胞周期の時間を使って各期の時間を推定させる問題です。センター試験本番レベルの問題だといえるでしょう。

(1)20時間

培養開始直後の細胞数は180個で、80時間後には2880個に増えているので、
180ー①→360ー②→720ー③→1440ー④→2880
合計4回の体細胞分裂を行ったことがわかる。
4回細胞分裂するのに80時間を要したので、1回の細胞分裂に要する時間は、
80時間÷4回=20時間

(2)1.5時間(1時間30分)

細胞周期の各期で、その期の時間が長いほど、その期にある細胞は多く確認でき、その期の時間が短いほど、その期にある細胞は少なく確認できます。つまり、細胞周期の各期の時間と細胞数は比例関係にあるので、(1)で求めた細胞周期20時間を各期の細胞数に応じて配分していきます。分裂期前期の時間は、(細胞周期の時間)×(分裂期前期の細胞数/全細胞数)で求めることができます。
20h×216/2880=1.5h
となります。

(3)間期では球状の核が観察できるが、分裂期になると核膜が消失し棒状の染色体が確認できる。(42字)

間期は核膜が存在しているので、核の中の染色体のようすは確認できませんが、分裂期(M期)の前期に核膜が消失し、糸状の染色体が凝縮し棒状の染色体が確認できるようになります。

(4)288個

DNA量は間期のG₁期では、まだ複製されていないので相対値2となります。S期に複製されるので相対値が2~4の間の値をとります。間期のG₂期になると複製が完了しているのでDNAの相対値は4となり、分裂期が完了するまで、細胞1個あたりDNA相対値は4のままになります。分裂期の終期が終わって次の間期G₁期に入ると、細胞1個あたりDNA量は2に戻ります。

したがって、DNA量と各期の関係は次のようになります。
・DNA量(相対値)2…G₁期
・DNA量(相対値)2~4の間…S期
・DNA量(相対値)4…G₂期、分裂期
実験3の表より、DNAの相対値が4の細胞数は648個で、そのうち分裂期の細胞は実験2の前期、中期、後期、終期の合計になるので、S期の細胞数は、
648-(216+51+32+61)=288 となります。

(5)6時間

S期の細胞では、DNA量が複製途中なので相対値で2と4の間の値をとります。DNA量が2でも4でもないので、全細胞数からDNA量2と4の細胞数を引くとS期の細胞数が求まります。
2880-(1368+648)=864
細胞周期は20時間だったので、S期の時間は、
20h×864個/2880個=6h となります。

生物
スポンサーリンク
シェアする

コメント

テキストのコピーはできません。