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高校生物基礎「魚類の体液濃度の調節のポイント」

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高校生物基礎。恒常性の学習で登場する、魚類の体液濃度の調節について学習します。海水魚と淡水魚での調節方法の違いを理解しましょう。

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さまざまな動物の体液の濃度調節

生物は、外部環境(体外環境)の変化から内部環境(体内環境)を一定に保つはたらきをもっています。下のグラフはさまざまな生物の体液の塩類濃度を示したものである。

いろいろな生物の塩類濃度の調節

カニやエビなどの海水生無脊椎動物は、体液の塩類濃度と海水の塩類濃度が等しくなっており、体液の濃度調節を行っていないことがわかります。これは、海水の塩類濃度が一定で変化しないためす。

海水生軟骨魚類とは、サメやエイなどの魚類で、体液の塩類濃度を尿素を使って調節しています。尿素を体液中に溶かすことで、海水と同等の塩類濃度をつくりだしています。

海水生硬骨魚類は、海水の塩類濃度よりも体液の塩類濃度が低くなっており、体液の塩類濃度を常に一定に保つはたらきをもっていることがわかります。

淡水生無脊椎動物は、少し淡水よりも体液の塩類濃度が高くなっており、少なからず体液の塩類濃度を一定に保つしくみがあることがわかります。

淡水生硬骨魚類淡水の塩類濃度よりも体液の塩類濃度が高くなっており、体液の塩類濃度を常に一定に保つはたらきをもっていることがわかります。

淡水生硬骨魚類から進化した両生類やは虫類、鳥類、哺乳類も、体液の塩類濃度を一定に保つしくみがあるとわかります。

海水生無脊椎動物からの進化

脊椎動物は、海水生無脊椎動物から進化して誕生しました。最初は海水中にすんでいた無脊椎動物が、種間競争で淡水(河口や川)に逃げるようにして誕生したのが淡水生無脊椎動物です。淡水中では、ナトリウムイオンやカルシウムイオンなどの無機塩類が不足するため、骨にカルシウムイオンなどを蓄積するものが表れました。この骨が背骨です。こうして生物は背骨を獲得し、淡水生硬骨魚類が誕生したのです。

この後、淡水生硬骨魚類の一部は陸上に進出し現在の脊椎動物たちが地球上に誕生しました。また、一部の淡水生硬骨魚類は、海水中に戻っていきました。これが海水生硬骨魚類です。このように、体液濃度の調節を通じて、脊椎動物が誕生したのですね。

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魚類の体液の濃度調節

淡水生硬骨魚類と海水生硬骨魚類は、外液の塩類濃度に対して、体液の塩類濃度が一定に保たれるように調節しています。それぞれ、調節の仕方が異なるので、詳しく見ていきます。

淡水魚の体液の濃度調節

淡水魚(淡水生硬骨魚類)では、体液の塩類濃度が外界の淡水の塩類濃度よりも高いため、常に体内に水が浸入する状況に置かれています。このため、淡水魚は、体液よりも低い濃度の尿を多量に排出し、えらの塩類細胞や腸、腎臓で塩類を積極的に吸収しています。

淡水魚の濃度調節

  • 体液の塩類濃度が高いため、絶えず体表から水が浸入する。そのため、口から水を飲まない
  • 塩類が不足し、体液の塩類濃度が低くなってしまうので、えらの塩類細胞で淡水中の塩類を能動輸送し、積極的に取り入れる
  • 腎臓では塩類の再吸収が促進される。
  • 多量の水が体内に浸入し、かつ、腎臓で塩類の再吸収が促進されているので、多量の低濃度の尿がつくられ、体外に排出される。

海水魚の体液の濃度調節

海水魚(海水生硬骨魚類)では、体液の塩類濃度が外界の海水の塩類濃度よりも低いため、体内から絶えず水が外界に出ていきます。いわゆる漬物状態にあるのです。このため、海水魚は、海水を多量に飲み込んで腸から吸収し、体液と等しい濃度の尿を体外に排出しています。また、体内に入った余分な塩類は、えらの塩類細胞から外界へ排出されます。

海水魚の濃度調節

  • 体液の塩類濃度が低いため、絶えず体表から水が外界へ出ていく。そのため、口から海水を多量にのみ腸で吸収する。
  • 体内の塩類増加し、体液の塩類濃度が高くなってしまうので、えらの塩類細胞で体内の塩類を能動輸送し、体外に排出する。
  • 体内の水は体外に出て行ってしまうので、少量の体液と等濃度の尿がつくられ、体外に排出される。
生物
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