光合成速度のグラフを読み取る練習をします。グラフから真の光合成速度を読み取ったり、補償点や光飽和点の光の強さを考えます。
光合成速度と呼吸速度
光合成速度とは、単位時間当たりの光合成量を表します。例えば、1時間あたりにどれくらい光合成を行ったか、1分間当たりどれくらい光合成を行ったかを表します。速度ですから単位時間当たりの量を求めているわけですね。呼吸速度も同じです。
では、何をもって光合成と呼吸の量を計算しているかというと、吸収した二酸化炭素の量で光合成量と呼吸量を表します。できたデンプンを計算するのは困難ですから、二酸化炭素の量を使うのです。
光合成速度のグラフの読み方
光合成速度の問題ではグラフが出題されます。グラフの読み方を覚えましょう。下のグラフを見てください。
縦軸は「二酸化炭素吸収速度」を表しています。二酸化炭素吸収速度が大きければ、それだけ盛んに光合成をしたということがわかります。二酸化炭素吸収速度がマイナスの場合は、二酸化炭素を放出しているということを表します。
一方、横軸は「光の強さ(ルクス)」を表しています。右に行けば行くほど光の強さが強いことがわかります。光が強くなれば、途中までは二酸化炭素吸収速度が増加することがグラフからうかがえます。
呼吸量
光合成速度のグラフが出題された場合、まずは呼吸速度を求めます。光の強さが0ルクス、つまり暗黒のとき、植物は呼吸のみを行います。
上のグラフでは、二酸化炭素吸収速度が-5になっています。つまり呼吸速度が5gであるとわかります。呼吸は、光の強さに関係なく、常に一定の大きさで行っています。どの光の強さのときにも呼吸速度は5gになります。
見かけの光合成速度と真の光合成速度
呼吸速度を確認したら、次は光合成速度を求めます。光合成速度は、見かけ上の光合成速度と本当の光合成速度があるので、それぞれ「見かけの光合成速度」、「真の光合成速度」と呼んだりもします。
例えば、光の強さが30キロルクスの場合、二酸化炭素吸収速度は10gとなっていますが、これは見かけの光合成速度で、呼吸も同時に行っていますから、真の光合成速度は15gであるということがわかります。つまり、(真の)光合成速度は下の式で求めることができるのです。
(真の)光合成速度=呼吸速度+見かけの光合成速度
公式を覚えるのではなく、グラフの意味が分かればおのずと計算の仕方はわかるはずです。
光補償点と光飽和点
次は光補償点と光飽和点を見ていきます。下のグラフを見てください。光の強さが10キロルクスのときと、40キロルクスに注目してください。
- 10キロルクス…呼吸速度=光合成速度(光補償点)
- 40キロルクス…二酸化炭素吸収速度が一定になる(光飽和点)
10キロルクスの光の強さの場合、呼吸速度と(真の)光合成速度が等しくなっており、見かけの光合成速度が0になっています。この点が光補償点といい、呼吸量と光合成量が等しく、植物が最低限生きていける光の強さになります。命が補償されるという意味で光補償点という名前が付けられています。
40キロルクスの光の強さの場合、これ以上光の強さを強くしても二酸化炭素吸収速度が増加しません。つまり、これ以上光の強さは必要でないという点になります。これよりも光合成速度を上げたい場合、二酸化炭素の濃度を増やしたり、気温を変化させるしか方法がありません。
以上のグラフの見方がわかれば、基本的な問題はすべて解けるようになります。
【問題】光合成速度の練習問題
(1)呼吸速度を求めよ。
(2)光の強さが20キロルクスの場合の光合成速度を求めよ。
(3)この植物の光飽和点と光補償点は、それぞれ何キロルクスか。
解答(1)5g (2)10g (3)光補償点:10キロルクス 光飽和点:40キロルクス
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