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無機化学「金属イオンの沈殿」語呂とイオン化傾向で覚える

金属イオンの性質で重要な内容として、沈殿の生成があります。今回は大学受験に必要な金属イオンの沈殿について見ていきましょう。

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金属イオンの沈殿

水に溶けにくい塩が水溶液中ででき、水溶液がにごり、やがて容器の底に沈んだものを沈殿といいます。沈殿は、水溶液中で特定の陽イオンと陰イオンが結合することで生じますので、沈殿が生じるイオンの組み合わせを覚える必要があります。

また、テストや入試には沈殿の色や、そのほかの性質も併せて問われることが多いので、この後紹介する内容をしっかり覚えるようにしましょう。金属イオンは陽イオンですので、これとペアになる陰イオンごとに生じる沈殿をまとめています。

塩化物イオンと沈殿をつくる金属イオン

塩化物イオンCl⁻と沈殿をつくる金属イオンは、次の3つを覚えておきましょう。

  • Ag⁺ Ag⁺+Cl⁻→AgCl↓(
  • Pb²⁺ Pb²⁺+2Cl⁻→PbCl₂↓(
  • Hg₂²⁺ Hg₂²⁺+2Cl⁻→Hg₂Cl₂↓(

Hg₂²⁺は2原子がくっついて2価のイオンになったものです。

塩化銀AgClは白い沈殿ですが、光があたるとAgになり黒くなります。これを感光性といいます。
2AgCl → 2Ag + Cl₂

塩化鉛PbCl₂は熱水に溶けることも覚えておきましょう。
PbCl₂ → Pb²⁺ + 2Cl⁻

語呂は、銀のなまはげが来る!
銀(Ag⁺)のなま(Pb²⁺)はげ(Hg₂²⁺)が来る(Cl⁻)

硫酸イオンと沈殿をつくる金属イオン

硫酸イオンSO₄²⁻と沈殿をつくる金属イオンは、次の4つを覚えておきましょう。

  • Ba²⁺ Ba²⁺+SO₄²⁻→BaSO₄↓(
  • Ca²⁺ Ca²⁺+SO₄²⁻→CaSO₄↓(
  • Sr²⁺ Sr²⁺+SO₄²⁻→SrSO₄↓(
  • Pb²⁺ Pb²⁺+SO₄²⁻→PbSO₄↓(

どれも白色の沈殿が生じます。

語呂は馬鹿にするな硫酸!
馬(Ba²⁺)鹿(Ca²⁺)にする(Sr²⁺)な(Pb²⁺)硫酸(SO₄²⁻)

炭酸イオンと沈殿をつくる金属イオン

炭酸イオンCO₃²⁻とは、ほとんどの金属イオンが白色の沈殿をつくります。ですので、まずは炭酸イオンと沈殿をつくらない陽イオンを覚えましょう。

●炭酸イオンと沈殿をつくらない陽イオン

  • Na⁺
  • K⁺
  • NH₄⁺

語呂炭酸とあんまり仲良くない!
炭酸(CO₃²⁻)とあん(NH₄⁺)まり仲(Na⁺、K⁺)良くない

炭酸イオンと沈殿をつくる陽イオンで、よく登場するものは次の2つです。

  • Ba²⁺ Ba²⁺+CO₃²⁻→BaCO₃↓(
  • Ca²⁺ Ca²⁺+CO₃²⁻→CaCO₃↓(

語呂馬鹿炭酸!
馬(Ba²⁺)鹿(K⁺)炭酸(CO₃²⁻)

石灰水(水酸化カルシウム水溶液)にCO₂を通すと、炭酸カルシウムCaCO₃が生じ白くにごります。さらにCO₂を吹き込み続けると、CaCO₃が溶解して透明になります。
CaCO₃ + CO₂ + H₂O → Ca(HCO₃)₂

この水溶液を加熱すると、再び水溶液は白くにごります。過剰に吹き込んだCO₂が追い出され再びCaCO₃が生成するからです。
Ca(HCO₃)₂ → CaCO₃ + CO₂ + H₂O

クロム酸イオンと沈殿をつくる金属イオン

クロム酸イオンCrO₄²⁻と沈殿をつくる金属イオンは、次の3つを覚えておきましょう。

  • Ag⁺ 2Ag⁺+CrO₄²⁻→Ag₂CrO₄↓(赤褐
  • Ba²⁺ Ba²⁺+CrO₄²⁻→BaCrO₄↓(
  • Pb²⁺ Pb²⁺+CrO₄²⁻→PbCrO₄↓(

沈殿の色が白色ではありませんので、しっかり覚えましょう。

語呂苦労して赤い銀貨で黄色いバナナを買う!
苦労し(CrO₄²⁻)て赤い銀貨(Ag⁺)で黄色いバ(Ba²⁺)ナ(Pb²⁺)ナを買う

水酸化物イオンと沈殿をつくる金属イオン

水酸化物イオンOH⁻と沈殿をつくる金属イオンは、イオン化傾向の大きさによって覚えていきます。イオン化傾向がNaよりも小さな金属イオンが沈殿をつくります。

Li⁺K⁺Ba²⁺Ca²⁺Na⁺Mg²⁺Al³⁺Zn²⁺Fe³⁺Fe²⁺Ni²⁺Sn²⁺Pb²⁺Cu²⁺Hg²⁺Ag⁺
OH⁻沈殿しない水酸化物が沈殿酸化物が沈殿

まずは、イオン化傾向が大きい金属イオンは沈殿をつくりません。Na⁺までは沈殿をつくらないと覚えておきましょう。また、PtやAuも沈殿をつくりません。

イオン化傾向がMg~Cuまでは、OHがくっついた水酸化物が沈殿します。ほとんどの水酸化物の色はですが、下記の水酸化物は白ではないので頑張って覚えてください。

  • Fe(OH)₂ 緑白
  • Fe(OH)₃ 赤褐
  • Cu(OH)₂ 青白
  • Ni(OH)₂

イオン化傾向が小さいHgとAgは水酸化物を形成しますが、常温で容易に脱水されて酸化物に変わります。

  • Hg(OH)₂→HgO↓+H₂O  HgO(
  • 2AgOH→Ag₂O↓+H₂O  Ag₂O(

水酸化物や酸化物の沈殿に、過剰量のNaOH水溶液やNH₃水溶液を加えると、錯イオンをつくって沈殿がとけるものがあります。

●NaOH水溶液を過剰量加えると沈殿が溶けるもの

  • Al³⁺ → Al(OH)₃↓() → [Al(OH)₄]⁻(無色透明)
  • Zn²⁺ → Zn(OH)₂↓() → [Zn(OH)₄]²⁻(無色透明)
  • Sn²⁺ → Sn(OH)₂↓() → [Sn(OH)₄]²⁻(無色透明)
  • Pb²⁺ → Pb(OH)₂↓() → [Pb(OH)₄]²⁻(無色透明)

語呂ああすんなり溶ける両性金属!
あ(Al³⁺)あ(Zn²⁺)すん(Sn²⁺)なり(Pb²⁺)溶ける両性金属

●NH₃水溶液を過剰量加えると沈殿が溶けるもの

  • Cu²⁺()→ Cu(OH)₂↓(青白) → [Cu(NH₃)₄]²⁺(深青
  • Zn²⁺  → Zn(OH)₂↓() → [Zn(NH₃)₄]²⁺(無色透明)
  • Ni²⁺()→ Ni(OH)₂↓() → [Ni(NH₃)₆]²⁺(青紫
  • Ag⁺  →  Ag₂O↓()  → [Ag(NH₃)₂]⁺(無色透明)

語呂安藤さんの兄は銀メダル!
安(NH₃)藤(Cu²⁺)さんの兄(Zn²⁺Ni²⁺)は銀メダル(Ag)

硫化物イオンと沈殿をつくる金属イオン

硫化物イオンS²⁻と沈殿をつくる金属イオンは、次の表のように水溶液の液性によって変化します。

つくります。

Li⁺K⁺Ba²⁺Ca²⁺Na⁺Mg²⁺Al³⁺Zn²⁺Fe³⁺Fe²⁺Ni²⁺Sn²⁺Pb²⁺Cu²⁺Hg²⁺Ag⁺
S²⁻沈殿しない中性・塩基性で沈殿液性に関係なく沈殿
  • ZnS↓(
  • FeS↓(黒)
  • NiS↓(黒)

Fe³⁺はS²⁻により還元されFe²⁺になり、FeSとなります。

  • SnS↓(
  • PbS↓(黒)
  • CuS↓(黒)
  • HgS↓(黒)
  • Ag₂S↓(黒)

この他にも、次の硫化物の色を覚えておきましょう。

  • CdS↓(
  • MnS↓(淡赤

硫化物は基本的に黒色ですので、その他の色をしっかりと覚えましょう。

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