化学基礎で、単体と元素のどちらの意味かを問う問題があります。今回は、その判断のしかたをマスターしましょう。
単体と元素
ここで、「単体」と「元素」の意味を再度確認しておきましょう。
- 単体…純物質のうち、1種類の元素からできている物質。
〔例〕酸素O₂、水素H₂、銀Ag、水銀Hg - 元素…物質を構成する基本的な成分。
〔例〕酸素O、水素H、窒素N、銀Ag
重要なのは、単体は「物質」であるのに対し、元素は「成分」であるということです。
単体と元素の見分け方
単体と元素の見分け方ですが、次の2つの方法で見分けていきます。
- 具体的な物質のことをいっているなら「単体」、その物質の中に含まれる成分のことをいっているなら「元素」
- 化学式で書けるなら「単体」、元素記号で書けるなら「元素」
このようになりますが、実際の例題で見た方がわかりやすいので次の問題を見てみましょう。
水を電気分解すると、水素と酸素が発生する。
水を電気分解すると、陰極から水素という物質(気体)が発生します。水素という物質そのものを意味しているので、これは単体の意味で使われています。
また、この化学変化を化学反応式で表すと、
2H₂O→2H₂+O₂
となり、発生した水素は化学式H₂で書き表されます。化学式で書き表すことができたということは「単体」の意味で使われているということになります。
水は水素と酸素からできている。
水H₂Oには、水素Hと酸素Oという元素が含まれていますよ。という意味になります。水の成分を説明しているので、この場合の水素は「元素」になります。
これははっきりいって慣れが必要な問題だと思いますので、下の練習問題で繰り返し練習してみてください。
単体と元素の判別 練習問題
Q:次の下線部は単体か、元素か。
(1)アンモニアには窒素と水素が含まれる。
(2)アンモニアは窒素と水素から合成される。
(3)アルミニウムはボーキサイトを原料としてつくられる。
(4)カルシウムは骨や歯に多く含まれている。
(5)負傷者が酸素吸入を受けている。
単体と元素の判別 練習問題 解答
A
(1)元素
アンモニアNH₃には、窒素Nと水素Hが成分として含まれているという意味です。成分のことをいっているので元素になります。
(2)単体
窒素N₂という物質(気体)と水素H₂という物質(気体)から、アンモニアが合成されるという意味です。N₂+3H₂→2NH₃ 窒素N₂という物質そのものを表しているので単体です。
(3)単体
ボーキサイトという物質を還元し、アルミニウムAlという金属をつくりだします。アルミニウムという金属そのものを表しているので単体です。
(4)元素
骨や歯に実際にカルシウムという物質(金属)が含まれているわけではありません。カルシウムは、自然界では単体で存在せず、何かの化合物になっています。ここでは、骨や歯の成分としてCaという元素が含まれているという意味なので元素です。
(5)単体
酸素O₂という物質(気体)そのものを表しているので単体です。
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