得点調整とは、共通テストで実施された科目間で、その平均点の差が著しい場合に差を無くすために行われる得点の調整です。では、どういった場合に得点の調整が行われるのでしょうか。調整方法と併せてお伝えします。
共通テストの得点調整
現在、国公立大学に進学を希望する学生のほとんどが受験する共通テストは、大学側が自分の大学にほしい学生を選抜する「選抜機能」としての役割があります。ということは、同一教科内の科目間で難易度に大きな偏りがあれば選抜の資料としては不公平になり、選抜機能を十分に果たせない試験になってしまいます。
大学入試センターも、出来るだけ科目間の難易度の差が出ないように配慮はしているものの、現在学校で学んでいる高校生たちの学力を正確に把握するのは至難の業です。その結果、受験選択科目間に大きな平均点の差が生じてしまう可能性があるのです。この平均点の差によって生じる不公平感を無くすために得点調整が行われるようになっています。
何点の差が出れば得点調整されるの?
得点調整が行われるためには、同一教科内の科目間で、原則として、20点以上の平均点差が生じ、これが試験問題の難易差によるものと認められる場合に行われるようになっています。大学入試センターとしては、同一教科の科目間で平均点の差が15点以内におさまるように調整を行うようにします。ただし、受験者数が1 万人未満の科目は得点調整の対象外とされるので注意が必要です。
得点の調整方法は?
得点の調整方法は複雑な仕組みになっていますので、概略だけをざっと説明します。また、得点調整は、平均点が最も高い科目と低い科目を比較して行われますが、その際、平均点がその間にある他の科目もあわせて得点が調整されます。つまり、ある教科内の2つの科目の平均点の差が20点以上の場合には、その教科内のすべての科目の得点が調整されるようになります。
得点の調整方法は、最高平均点科目の得点の累積分布を目標分布として、調整すべき科目の得点の累積分布を目標分布の方向へ移動させる方法「分位点差縮小法」という手法を用いて行うことになっています。
得点調整の計算方法
得点の調整方法は、まず、縮小の比率を求めることから始まります。縮小の比率を求めた後は、その縮小比率に平均点が最高の科目と各科目の平均点との差を掛けることによって平均点の上昇分を算定します。
分位点差縮小法での縮小の比率は、通常起こり得る平均点差の変動範囲を15点として、
1-{15点÷(最高平均点科目の平均点-最低平均点科目の平均点)}
で求められます。具体的な例で説明すると、
理系の理科教科の4科目で、物理の素点の平均点が70点、地学が65点、生物が49点、化学が45点だったとっとして、得点調整を試算してみます。
物理の平均点が最高なので、それが目標分布となります。化学の平均点が最低なので、この場合の平均点差は、70点-45点=25点となっています。
まずは、縮小比率を求めてみましょう。
1-{15点÷(70点-45点)=0.4
次に、縮小比率を各教科の平均点に掛けて得点を修正します。
- 物理 70点
最高平均点なので調整はされません。したがって、物理は70点 - 地学 65点
65点+(70点-65点)×0.4=67点 地学は67点 - 生物 49点
49点+(70点-49点)×0.4=57.4点 生物は57.4点 - 化学 45点
45点+(70点-45点)×0.4=55点 化学は55点
となり、調整前の物理(平均点70点)と化学(平均点45点)との平均点の差が25点だったのが、物理(平均点70点)、化学(調整平均点55点)の平均点差は15点以内に縮小されたことになります。
この際、0点の人は0点、100点の人は100点で変化がないことにも注意が必要です。
得点調整の時期は?
共通テストの得点は、国公立2次試験への出願や、私立大学のセンター試験利用入試の願書の提出先を決める時点で必ず必要になります。なので、大学入試センターが得点調整を行う場合は、受験者の大学選択に影響することを考慮し、国公立大学の2次試験の出願時期の前に、得点調整の有無を伝え、速やかに計算結果を報告するようになっています。
おおよそ、共通テストが終わってから、1週間以内に調整が行われます。
コメント