生物基礎の実験・観察方法でよく出題されるのがミクロメーター。細胞などの大きさを測定する際にミクロメーターの知識が必要になります。今回は入試や定期テストによく出題される内容と、倍率を変化させた場合の視野のようすなどを学習します。
ミクロメーターとは
光学顕微鏡で、細胞の大きさなどを測定するときに使うのがミクロメーターです。ミクロメーターには次の2種類があり、それぞれ顕微鏡にセットします。
- 接眼ミクロメーター
実際の測定に使用する。
接眼レンズの中に入れて使う。
1目盛りの大きさは顕微鏡の倍率で変化する。 - 対物ミクロメーター
接眼ミクロメーターの1目盛りが何μmなのかを調べるために使用する。
ステージ上に置いて使う。
1目盛りの大きさは10μm。←しっかり覚えておく!
細胞などの大きさを実際に測定するには、接眼ミクロメーターを使います。しかし、この接眼ミクロメーターは、接眼レンズの中にセットするので1目盛りの大きさが倍率によって変化します。ですから、まずは対物ミクロメーターを使って接眼ミクロメーターの1目盛り大きさを調べる必要があります。
接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさ求め方
接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターを顕微鏡にセットしたら、両方のミクロメーターの目盛りが平行になるように調節し、目盛りが一致する2か所を探します。
顕微鏡の視野が上図のように見えているとき、接眼ミクロメーターの1目盛りが何μmなのか求めてみます。接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターが一致する2か所から接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは次のように計算できます。
今、対物ミクロメーターの8目盛りと接眼ミクロメーターの5目盛りが一致しています。対物ミクロメーターの1目盛りは10µmと大きさがわかっているので、対物ミクロメーター8目盛り分の長さは、
10µm×8目盛り=80µm
であると計算できます。これが接眼ミクロメーター5目盛りと一致しているので、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは、
80µm÷5目盛り=16µm
と求めることができます。仕組みが分かれば、このように簡単に求めることができます。
接眼ミクロメーター1目盛りの大きさが求まれば、実際に観察物の大きさを測定します。上の図では、ゾウリムシが接眼ミクロメーターの2目盛りと一致しているので、
16µm×2目盛り=32µm
であるとわかりますね。
倍率の変化と目盛りの大きさ
では次に、顕微鏡の倍率を変化させた場合を考えます。レボルバーを回し低倍率から高倍率に変えると、視野のようすは次のように変化します。倍率が2倍大きくなったときときのことを考えてみましょう。
左側が低倍率、右側が高倍率の視野のようすです。ゾウリムシの見え方が変わっていますね。では、ミクロメーターの見え方はどのように変わっているでしょうか。
まずは、接眼ミクロメーターですが、接眼レンズの中にセットしているので、倍率が変化しても目盛りの見え方は変化していません。一方の対物レンズは、高倍率にすると拡大されて見えていることがわかります。
このとき、変化しているのが接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさです。上の図から、低倍率のときには、接眼ミクロメーター2目盛りとゾウリムシの大きさが一致していましたが、高倍率にすると、4目盛りと一致していることがわかります。
ゾウリムシ自体の大きさは変化していないので、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさが変化していることがわかります。
倍率の変化と接眼ミクロメーターの大きさの変化
低倍率で観察したとき、接眼ミクロメーター5目盛りと対物ミクロメーター8目盛りが一致していましたが、高倍率にし倍率を2倍大きくすると、接眼ミクロメーター5目盛りと対物ミクロメーター4目盛りが一致するようになりました。このとき接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは、次のようになります。
今度は、対物ミクロメーターの4目盛りと接眼ミクロメーターの5目盛りが一致しています。対物ミクロメーターの1目盛りは10µmと大きさがわかっているので、対物ミクロメーター4目盛り分の長さは、
10µm×4目盛り=40µm
であると計算できます。これが接眼ミクロメーター5目盛りと一致しているので、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは、
40µm÷5目盛り=8µm
と求めることができます。低倍率時の半分の長さになっていますね。
接眼ミクロメーター1目盛りの大きさがわかったので、実際に観察物の大きさを測定します。上の図では、ゾウリムシが接眼ミクロメーターの4目盛りと一致しているので、
8µm×4目盛り=32µm
となり、ゾウリムシの大きさは変化していないことがわかります。
倍率の変化と長さ・面積
最後に、顕微鏡の倍率が変化したときの接眼ミクロメーターの長さの変化と、視野の面積の変化についてまとめておきます。
上で説明したように、顕微鏡の倍率を2倍にすると、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさは16µmから8µmに変化しました。1/2倍になっていることがわかります。このとき視野の面積は、長さが1/2倍になっているので、縦の長さ1/2倍×横の長さ1/2倍=1/2²倍になります。
つまり、顕微鏡の倍率をn倍にすると、接眼ミクロメーターの1目盛りが表す長さは1/n倍に、視野の面積は1/n²倍なるのです。
ミクロメーターのまとめ
以上がミクロメーターのポイントです。まずは、接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの役割を覚えること。そしてどこにセットするのかも重要でしたね。
次に、対物ミクロメーターの1目盛りが10µmであることを利用して、接眼ミクロメーターの1目盛りの大きさを求め、接眼ミクロメーターの目盛りで観察物の大きさを測定しました。
最後に、倍率を変化させたとき接眼ミクロメーター1目盛りの長さの変化、視野の面積の変化を学習しました。あとは、問題集などで実践力をつけてください。
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