▶ YouTubeで授業動画配信中

生物基礎「酸素解離曲線」問題演習!解き方と計算の仕方

酸素解離曲線アイキャッチ画像 生物
スポンサーリンク

生物基礎の体液と恒常性で、酸素解離曲線の問題が出題されます。グラフの読み方と、計算問題が問われますので、その対策を行います。

スポンサーリンク

酸素解離曲線 問題

下の図は、ヒトのヘモグロビンの酸素解離曲線である。肺胞での酸素濃度は相対値100、二酸化炭素濃度は相対値40であり、組織での酸素濃度は相対値30、二酸化炭素濃度は相対値60である。これについて、以下の各問いに答えよ。なお、答えは四捨五入し、小数点第一位まで求めよ。

酸素解離曲線

(1)①肺胞の血液と、②組織の血液では、酸素ヘモグロビンの割合は、それぞれ約何%か。

(2)組織では、全ヘモグロビンの何%が酸素を解離したか。

(3)組織では、酸素ヘモグロビンの何%が酸素を解離したか。

(4)血液100mL中にヘモグロビンが20g存在し、1gのヘモグロビンは酸素ヘモグロビン100%のときに1.5mLの酸素と結合するものとすると、循環している100mLの血液が組織へ供給する酸素の量は何mLになるか。

(5)ヒトの心拍数は1分間に70回、1回の拍動で60mLの血液が送り出されるとした場合、1分間に何mLの酸素を組織に供給するか。

(6)上の酸素解離曲線で、一方が胎児の酸素解離曲線、もう一方が母体の酸素解離曲線だとすると、胎児の酸素解離曲線はどちらか。aのbどちらかの記号で答え。その理由まで述べよ。ただし、aもbも二酸化炭素濃度が同じだとする。

酸素解離曲線 解答・解説

(1)①95% ②50%

酸素ヘモグロビンとは、酸素と結合しているヘモグロビンのことです。肺胞では多くのヘモグロビンが酸素と結合し酸素ヘモグロビンになっていますが、組織では酸素ヘモグロビンの割合が小さくなります。

肺胞での酸素濃度は相対値100、二酸化炭素濃度は相対値40なので、酸素解離曲線は次のように見ます。

酸素解離曲線 肺胞

肺胞では、全ヘモグロビンのうち95%が酸素と結合していることがわかります。一方、組織での酸素濃度は相対値30、二酸化炭素濃度は相対値60なので、グラフは次のように見ます。

酸素解離曲線 組織

組織では、全ヘモグロビンのうち50%が酸素と結合していることがわかります。このように、二酸化炭素濃度により、使う曲線を切り替えることがポイントになります。

(2)45%

「全ヘモグロビンのうち」というのがポイントです。全ヘモグロビンなので100%をもとに割合を求めます。肺胞での酸素ヘモグロビンは95%、組織での酸素ヘモグロビンは50%なので、95-50=45%酸素を解離したことがわかります。全ヘモグロビン(100%)をもとにするので、その割合は、(95-50)/100 ×100=45% となります。

わかりづらい方は、全ヘモグロビン100%をヘモグロビン100匹と置き換えて考えるとわかりやすいのではないでしょうか。全ヘモグロビン100匹中、肺胞では95匹が酸素と結合しており、組織に行くと50匹しか酸素と結合していなかったので、95-50=45匹酸素を解離していることがわかります。その割合は、45匹/100匹 ×100=45% となります。

(3)47.4%

「酸素ヘモグロビンのうち」というのがポイントになります。酸素と結合している酸素ヘモグロビンをもとに割合を求めます。(95-50)/95 ×100=47.36…=47.4 となります。酸素ヘモグロビンをもとにしているので、分母が100ではなく95になることに注意しましょう。

(4)13.5mL

血液100mL中の全ヘモグロビン100%に酸素が結合すると、その量は1.5mL×20=30mLの酸素と結合できる。実際に酸素を解離する酸素ヘモグロビンは45%なので、
30mL×0.45=13.5mL
いまいちわからない人は、下の表のようにまとめるとすっきりします。

酸素解離曲線 血液計算

(5)567mL

1分間に心臓から送り出される血液量は、60mL×70回=4200mLで、(4)で循環している100mLの血液が組織へ供給する酸素の量が13.5mLと分かったので、
13.5×4200/100=567mL
これも、下の表のようにまとめるとすっきりします。

酸素解離曲線 計算

(6)記号:a 理由:同じ二酸化炭素濃度のときに酸素ヘモグロビンの割合が大きく、ヘモグロビンの酸素親和性が高いから。

ヒトをはじめ哺乳類は、胎児のヘモグロビンの方が母体のヘモグロビンよりも酸素との親和性が高く、胎盤で母体の血液から酸素を受け取っています。これは、胎児ヘモグロビンの構造が少し異なり、同じ二酸化炭素分圧の下で、成人のヘモグロビンよりも酸素と結合しやすいからです。

生物
スポンサーリンク

コメント

テキストのコピーはできません。