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生物基礎「酵素」タンパク質でできている酵素の4つの性質

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生物基礎の代謝で登場する「酵素」について学習します。酵素は体内でどのようなはたらきをしているのか、また、酵素は何でできているのか、その結果、酵素にはどのような性質があるのかをマスターします。

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酵素とは

酵素とは、生体内ではたらく触媒生体触媒)で、体内で起こる化学反応「代謝」を促進させる物質です。代謝と体内で起こる化学反応でした。つまり、酵素は化学反応を促進させる物質なのです。

触媒

触媒とは、化学変化を促進させる物質で自らは変化しません別の言い方をすると、活性化エネルギーを小さくしてくれる物質といえます。活性化エネルギーとは、物質を活性化させるのに必要なエネルギーで、物質は活性化状態にならないと化学変化を起こしません。この活性化エネルギーを下げてくれるのが触媒なのです。

活性化エネルギー

触媒として最もなじみがあるのが「酸化マンガン(Ⅳ)」です。小学校の理科や、中学1年生の気体の性質で学習した「二酸化マンガン」のことです。酸化マンガン(Ⅳ)は、過酸化水素を水と酸素に分解する触媒になります。

二酸化マンガン

酵素

触媒の中でも、生物体がつくりだす生体触媒のことを酵素といいます。酵素は生物体がつくりだす物質なのでタンパク質でできているものがほとんどです。

全身の細胞、特に肝臓の細胞に多く含まれる、過酸化水素を水と酸素に分解するカタラーゼなどが有名です。

カタラーゼ

この他にも、アミラーゼやペプシン、トリプシンなどの消化酵素も酵素として有名です。

酵素 消化液 反応
アミラーゼ だ液、すい液、腸液 デンプン→マルトース(麦芽糖)
マルターゼ マルトース→グルコース
ペプシン 胃液 タンパク質→ポリペプチド
トリプシン すい液 ポリペプチド→短鎖ポリペプチド
リパーゼ すい液 脂肪→脂肪酸+モノグリセリド
ペプチダーゼ すい液 ポリペプチド→アミノ酸
セルラーゼ 植物や細菌がつくる セルロース→グルコース
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酵素の性質

酵素の性質として、次の4つをマスターしましょう。

  • ❶基質特異性
  • ❷生体触媒
  • ❸最適温度
  • ❹最適pH

❶基質特異性

基質特異性とは、酵素は特定の基質のみにはたらくという性質です。例えば、だ液アミラーゼは、食物の全てにはたらくのではなく、デンプンのみにはたらきます。ペプシンはタンパク質のみにはたらきます。

酵素の基質特異性

これは、酵素の活性部位に結合できる物質だけが酵素の作用を受けるからです。活性部位に結合できる基質が、酵素と結合している状態を「酵素基質複合体」といいます。

❷生体触媒

上で説明したように、酵素は触媒です。自らは変化しないのでくり返しはたらきます。つまり、少量で多くの基質を分解できるのです。

❸最適温度

酵素には、最もはたらきやすい温度があり、この温度を最適温度といいます。恒温動物ではたらく酵素の場合、40℃くらいが最適温度になっています。

酵素の最適温度

これは、酵素がお肉や卵などと同じタンパク質でできているためにあらわれる性質です。タンパク質は熱に弱いために、高温になるとタンパク質の立体構造が変化する熱変性を起こし活性部位の形が変形してしまうので、そのはたらきを失ってしまいます(失活)。卵を加熱すると色が変化し固まってしまいますよね。あれと同じ現象が酵素にも起こるのです。

無機触媒はタンパク質でできている触媒ではないので、熱に強く、高温になればなるほど化学反応は促進します。

❹最適pH

酵素には、最もはたらきやすいpHがあり、これを最適pHといいます。pHとは水素イオン指数といって、酸性・中性・塩基性を示す値です。酵素ごとにはたらきやすいpHがあります。

酵素 最適pH

これも、酵素がタンパク質でできているために起こる性質です。生魚をお酢でしめると変色し少し固まりますよね。あれと同じ現象が酵素にも起こります。

生物
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