大学入試小論文「人口減少問題についての考察・解答例」です。
人口減少問題についての解答例
私は今後も人口減少に歯止めはかからないと考える、理由は、少子化問題への対策が遅れているからだ。
私は少子化問題の対策が遅れている原因は2つあると考える。
1つ目は女性進出だ。近年、社会で働く女性が増加している。その証拠に中学生の時からよく見るM字型グラフがある。これは、20代前半、20代後半で子どもの合計特殊出生率が増え、20代後半から30代前半では減少していることが分かる。20代後半から30代前半が一番出産しやすい時期なのに少ないということは、女性は結婚・出産より仕事を優先する女性が増えていることが推測できる。
2つ目は、この女性の社会進出に国が追いついてないことだ。2年ほど前、保育園に子どもが入ることができなかった母親がネットに書き込んだ記事が話題になった。保育園を作ろうとしても、住民の反対がとまらずなかなか建設できない状況だ。
国は、少子高齢化と嘆いているが、女性が子どもを産みやすい環境を整えきれていない。この状況が続くと今と出生率は変わらないだろう。待機児童の問題があるが、本当は隠れ待機児童がいることに目をそらしているようにも感じる。今、目の前にある問題を解決しなければ女性、安心して子どもを産むことができない。国や行政は女性が働きながらでも子育てしやすい環境を作るべきだ。
現在、日本では少子化問題が深刻している。これを食い止められ周りの多くの理解が必要となる。日本は高齢者問題、人口減少、グローバル化など様々な課題や目標がある。これらを解決するのは新しい人材、つまり子ども達たちだ。だから、新しい命が沢山生まれる世の中を作れるよう全国民が少子化問題に目を向けてほしいと願う。
人口減少問題についての講評(抜粋)
【採点】
30点/100点満点
文章表現が稚拙、構成に一工夫の余地、問題(課題)に対する具体策の記述がないなど合格には程遠い内容。今後、指導を重ねていく上で、十分に合格できるところまでもっていけると思います。
【改善点】
構成と論理展開:導入部分でより引用や統計データを活用すると、テーマに引き込まれます。
具体例の活用:グラフを用いた説明がありますが、他にも保育園に入れない事例や隠れ待機児童に関する具体例を追加すると、論文がより説得力を持つでしょう。
議論の深掘:少子化問題の要因として女性の社会進出を挙げていますが、もう少し深掘りして、なぜ女性が仕事を優先するのか、その社会的背景や影響についても触れるとよいでしょう。
解決策の提案:少子化問題への対策として、より具体的で実現可能な提案を追加しましょう。例えば、女性が働きながらでも子育てしやすい環境の整備に関するアイディアや成功事例の紹介などが考えられます。
人口減少問題についての添削(抜粋)
×一番出産しやすい時期なのに→○一番出産しやすい時期にも関わらず
など、話し言葉が多いので、気をつけましょう。
×この女性の社会進出に国が追いついてないことだ→○この女性の社会進出に国の政策が追いついてないことだ。
主語と述語の関係をおさえる。 「国が追いつく。」そんなことはありません(笑)。
×日本は高齢者問題、人口減少、グローバル化など様々な課題や目標がある。→日本は、高齢者問題、人口減少などの問題やグローバル化推進の目標
そうでないとグローバル化が課題と論じてしまうことになる。
➊深い考察が必要
- 本当に、昔は、安心して子どもが生めたのか?
- なぜ、少子化にも関わらず、保育園が足りないの?
- なぜ、少子化にも関わらず、待機児童がいるの?
➋具体策が必要
- あなたなら、この論文に挙げてきた数々の問題を、どう解決するの?
➌話題は絞る
- 話題が広がりすぎて、1つひとつの話題が浅はかで、幼稚になってしまっている。
➍主張はひとつ
- この論文は、主張ばかりで、その主張に対する根拠・理由、背景が乏しい。
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