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高校生物「光合成の限定要因」グラフから光・温度・CO₂濃度のどれが限定要因か調べる

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高校生物の光合成の単元で、限定要因について学習します。今回は光合成に関するグラフから限定要因が何なのか判断できるようになってください。

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光合成の限定要因

限定要因とは、光合成速度に影響を与える最も不足した要因のことをいいます。限定要因を改善すると、光合成速度が向上するのが特徴です。限定要因説は、1905年にイギリスの植物学者であるブラックマンが発表しました。

具体的に限定要因にはどのような要因があるかというと、次の3つになります。

  • 光の強さ
  • CO₂濃度
  • 温度

光合成の限定要因 3人4脚

上の図のように、光君と温度君とCO₂濃度君が3人4脚で走っていると考えると限定要因はわかりやすくなります。3人の速さは最も遅い人の速さになってしまいますよね。これが限定要因です。

なぜこの3つが限定要因になるのか

光の強さは、チラコイド膜での光化学反応に大きな影響を与えます。反応中心のクロロフィルが活性化し電子を放出するのに光エネルギーが必要でしたね。また、波長も影響します。光合成では青紫色と赤色の光が最も利用されます。

CO₂濃度も光合成速度に影響を与えます。植物が高温・強光下で乾燥を防ぐために気孔を閉じると、葉中のCO₂濃度が低下しO₂濃度が上昇しました。こうなるとCO₂を固定する酵素であるRubisco(ルビスコ)が酸素を固定してしまう光呼吸が起こってしまいます。

温度も光合成速度に影響を与えます。光合成の反応では、チラコイド膜の電子伝達系ではATP合成酵素によりATPがつくられます。また、カルビン・ベンソン回路でもRubiscoなどの様々な酵素がはたらいています。酵素は主にタンパク質でできているので、温度の影響を非常に強く受けるのです。

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光合成速度のグラフと限定要因

次は、光合成速度のグラフから限定要因を判断する練習です。下のグラフは、縦軸が光合成速度(単位時間当たりのCO₂吸収量)、横軸が光の強さになっています。

限定要因のグラフ

❶のエリアでは、光の強さを強くすると光合成速度が上昇していますよね。ということは光合成の足を引っ張っていたのは「光の強さ」だったことがわかります。したがって、❶のエリアの限定要因は「光の強さ」であるとわかります。

❷のエリアでは光飽和点に達し、光の強さを強くしても光合成速度が上昇しなくなっています。ということは、❷のエリアでの限定要因は「光の強さ以外の要因」であることがわかります。

このように、その要因を改善すれば光合成速度が上昇するなら、その要因が限定要因であると判断できるのです。

次は、いろいろなグラフから限定要因を見破る練習です。

横軸が光の強さのグラフ

CO₂濃度は十分に高い条件で、15℃の場合と25℃の場合で、光の強さを強くすると限定要因がどのように変化するのか見ていきましょう。

限定要因のグラフ 光の強さと光合成速度

  • ❶の限定要因…15℃の場合→光の強さ、25℃の場合→光の強さ
  • ❷の限定要因…15℃の場合→温度、25℃の場合→光の強さ

まず❶のエリアですが、ここでは15℃の場合も25℃の場合も光の強さを強くすると光合成速度が上昇していますね。したがって、15℃の場合も25℃の場合も限定要因は光の強さですね。

次に❷のエリアですが、ここでは25℃の場合光を強くすると光合成速度が上昇していますが、15℃の場合では光を強くしても光合成速度が変化していません。15℃の場合は温度を上げると、グラフ中の青い矢印のように光合成速度が上昇します。したがって、25℃の場合は限定要因は光の強さ、15℃の場合は限定要因が温度になります。

横軸がCO₂濃度のグラフ

次は光は十分に強い条件で、15℃の場合と25℃の場合で、CO₂濃度が変化すると限定要因がどのように変化するのか見ていきましょう。

限定要因のグラフ CO2濃度

  • ❶の限定要因…15℃の場合→CO₂濃度、25℃の場合→CO₂濃度
  • ❷の限定要因…15℃の場合→温度、25℃の場合→CO₂濃度

まず❶のエリアですが、ここでは15℃の場合も25℃の場合もCO₂濃度を高くすると光合成速度が上昇していますね。したがって、15℃の場合も25℃の場合も限定要因はCO₂濃度ですね。

次に❷のエリアですが、ここでは25℃の場合CO₂濃度を高くすると光合成速度が上昇していますが、15℃の場合ではCO₂濃度を高くしても光合成速度が変化していません。15℃の場合は温度を上げると、グラフ中の青い矢印のように光合成速度が上昇します。したがって、25℃の場合は限定要因はCO₂濃度、15℃の場合は限定要因が温度になります。

横軸が温度のグラフ

最後はCO₂濃度は十分に高い条件で、弱光の場合と強光の場合で、温度が変化すると限定要因がどのように変化するのか見ていきましょう。

限定要因のグラフ 温度

  • ❶の限定要因…弱光の場合→温度、強光の場合→温度
  • ❷の限定要因…弱光の場合→光の強さ、強光の場合→温度
  • ❸…光合成を触媒する酵素が高温により変性し失活

まず❶のエリアですが、ここでは弱光の場合も強光の場合も温度を高くすると光合成速度が上昇していますね。したがって、弱光の場合も強光の場合も限定要因は温度ですね。

次に❷のエリアですが、ここでは強光の場合は温度を高くすると光合成速度が上昇していますが、弱光の場合では温度を高くしても光合成速度が変化していません。弱光の場合は光を強くすると、グラフ中の青い矢印のように光合成速度が上昇します。したがって、強光の場合は限定要因は温度、弱光の場合は光の強さ限定要因がになります。

また、❸のエリアのように高温になった場合は、光合成速度が急激に低下しています。これは光合成を触媒する酵素は主にタンパク質でできており、高温のためにタンパク質が熱変性し酵素活性が失われたからです(失活)。

いかがでしたでしょうか。限定要因をグラフから見えぶることができるようになりましたか。グラフの見方をわかっていればここは確実に得点に結びつけることができますね。

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