酸化・還元の単元では、半反応式やイオン反応式をつくらせる問題も登場します。酸化剤・還元剤の変化を覚え、その後に原子の個数や電化が等しくなるようにイオン反応式を完成させます。
半反応式とは
半反応式とは、酸化還元反応の片方の物質の変化を表した、イオン反応式の途中式のようなものです。特徴は、電子の移動が表されていることです。なので、半反応式には電子e⁻が登場します。
例えば、次のような式が半反応式になります。
- H₂O₂+2H⁺+2e⁻ → O₂+H₂O
- SO₂+2H₂O → SO₄²⁻+4H⁺+2e⁻
このように、水素イオンH⁺や電子e⁻が登場します。酸化還元反応では2つの物質が、それぞれ酸化剤・還元剤として働きます。その片方の物質の変化を表したのが半反応式です。それぞれの半反応式をつくり、その後、それぞれ半反応式を合体させイオン反応式にします。
つまり、半反応式はイオン反応式をつくる過程の式であることいえるのです。つくり方は後程説明します。
イオン反応式とは
これまで化学反応式を中心に学習してきましたが、イオン反応式というものもあります。イオン反応式は、化学変化で実際に反応している物質やイオンのみを書き表したものです。なので、式にイオンが登場します。
イオン反応式に、反応に関係がないイオンを付け足し、イオンを化学式に書き直したものが化学反応式になります。次のようなものがイオン反応式になります。
- 2MnO₄⁻+5H₂C₂O₄+6H⁺ → 2Mn²⁺+10CO₂+8H₂O
- 2Fe³⁺+SO₂+2H₂O → 2Fe²⁺+SO₄²⁻+4H⁺
半反応式のつくり方
半反応式は次に手順でつくります。
- 反応前と反応後の化学式を書く
- 両辺の酸素原子Oの数を水分子H₂Oを使って合わせる
- 両辺の水素原子Hの数を水素イオンH⁺で合わせる
- 両辺の電荷(プラスとマイナス)の数をe⁻を使って合わせる
イオン反応式のつくり方には色んな作り方がありますので、自分が考えやすい方法でつくってください。生徒に一番好評だった作り方を紹介します。
酸化剤の過マンガン酸イオンMnO4-が、酸性条件下でマンガンイオンMn2+になる場合で説明します。
- MnO4-→Mn2+
ここは覚えておいてください。 - MnO4-→Mn2++4H2O
Oの数をH2Oで合わせる。 - MnO4-+8H+→Mn2++4H2O
Hの数をH+で合わせる。 - MnO4-+8H++5e-→Mn2++4H2O
両辺の電荷をe-で合わせる。
イオン反応式を書けるようになると、酸化還元の問題のほとんどが解けるようになりますので頑張って練習してください。
イオン反応式のつくり方
酸化還元反応に関係する各物質の半反応式を完成させます。過マンガン酸カリウムKMnO₄水溶液に硫酸鉄(Ⅱ)FeSO₄水溶液の反応を例に、イオン反応式を作ってみます。
2つの物質の半反応式は次のようになります。
- MnO₄⁻+8H⁺+5e⁻ → Mn²⁺+4H₂O
- Fe²⁺ → Fe³⁺+e⁻
次に、電子e⁻を消すために、電子e⁻の数を最小公倍数で揃えます。この式の場合、下の式全体を5倍します。
- MnO₄⁻+8H⁺+5e⁻ → Mn²⁺+4H₂O
- 5Fe²⁺ → 5Fe³⁺+5e⁻
両方の式を足し合わせると、イオン反応式が完成します。
- MnO₄⁻+5Fe²⁺+8H⁺ → Mn²⁺+5Fe³⁺+4H₂O
このイオン反応式が書ければ、各物質の物質量の反応比がわかります。過マンガン酸カリウム1molに対し、硫酸鉄(Ⅱ)が5mol反応するとわかりますね。これで計算問題が解けるようになります。
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