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【生物・生物基礎】ES細胞とiPS細胞の違い

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生物の用語でES細胞とiPS細胞がありますが、両者の違いを理解していない生徒が多いようです。この2つの細胞の違いを確認しましょう。

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ES細胞とiPS細胞の違い

ES細胞もiPS細胞も、いろいろな細胞に分化する能力を持っています。なので、再生医療への応用が期待される細胞です。すべての組織や器官に分化する能力をもった細胞を多能性幹細胞といいます。ES細胞やiPS細胞は、人工的に作られたものなので、人工的な多能性幹細胞であるといえます。

両細胞の違いを違いを比較する前に、まずはそれぞれの細胞がどのような細胞なのかを確認しておきましょう。

ES細胞

哺乳類の受精卵の発生過程で、胚盤胞期という時期があります。ウニや両生類ではちょうど胞胚期にあたります。胚盤胞期の内部細胞塊を取り出し、培養して作成したものをES細胞(胚性幹細胞)といいます。

ES細胞は完全な個体には成長できませんが、あらゆる組織に分化する能力を持っており、これを多能性といいます。つまり、けがや病気などで損傷した組織や器官をつくり出せる細胞なのです。再生医療の分野での活躍が期待されています。

しかし、このES細胞ですが、次の2つの問題点をはらんでいます。倫理的な問題拒絶反応です。ES細胞はヒトの受精卵を、胚盤胞期に崩してつくられるものです。つまり、将来新しい生命になる源をつぶして作成されています。ここに倫理的な問題が生じます。また、患者本人の細胞からつくられるのではなく、他人の受精卵を利用してつくられるので、培養し移植した組織や器官が拒絶反応を起こす問題点もあるのです。

iPS細胞

iPS細胞は、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授がつくりだした細胞です。マウスの皮膚細胞に、多能性に関与していると考えられる4つの遺伝子を導入し、さまざまな細胞に分化する能力(多能性)をもつ細胞を作成しました。この細胞をiPS細胞(人工多能性幹細胞)といいます。

iPS細胞を作成する際に、受精卵や胚を使わないので倫理上の問題を回避することができます。また、患者自身の体細胞からiPS細胞をつくり出せるので、拒絶反応の心配も少なく、再生医療への利用に大いに期待されています。しかし、iPS細胞にもES細胞にもガン化の可能性の問題が残っています。。

ES細胞とiPS細胞の比較

それでは簡単にES細胞とiPS細胞の違いを表にまとめてみましょう。

由来 分化能 倫理問題 拒絶反応 ガン化
ES細胞 ヒトの胚盤胞期の内部細胞塊 多能性 あり あり あり
iPS細胞 ヒトの体細胞に初期化遺伝子を導入 多能性 ほぼなし 患者の細胞由来の場合なし あり

ES細胞とiPS細胞

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【練習問題】ES細胞・iPS細胞

次の文は、人工的に作られた多能性幹細胞に関するものである。文中の( )に適する語を入れなさい。

哺乳類の発生過程において、両生類の胞胚に相当する胚を( ① )という。その中にあり、将来胎児になる部分である( ② )の細胞を取り出し、さまざまな細胞に分化する能力をもちながら分裂能力を持つ培養細胞を( ③ )という。この細胞は、胚からしか得られないため、ヒトへの応用は( ④ )的な問題が指摘され、他人の細胞を移植することによる( ⑤ )の問題もある。一方、山中伸弥教授らは、マウスの皮膚細胞に4つの遺伝子を導入し、さまざまな細胞に分化する能力を持つ( ⑥ )を作成した。この細胞は胚を使わずに済み、患者本人の体細胞を用いることができるので、③がもつ問題を回避することができる。

解答①胚盤胞 ②内部細胞塊 ③ES細胞 ④倫理 ⑤拒絶反応 ⑥iPS細胞

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