1系の理科科目の筆頭である「生物基礎」。文系学部の国公立大学を受験する生徒にとっては必須の科目になります。この記事では共通テスト「生物基礎」で9割を取る勉強法をお伝えします。
文系は必須科目の「生物基礎」
文系の生徒で国公立大学を受験する生徒にとって、生物基礎は必須の受験科目になります。基礎2科目受験では、生物基礎+化学基礎、生物基礎+地学基礎のどちらかのパターンが多いようです。まずは、新課程に入ってからの受験者数を見ていきましょう。
科目 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
生物基礎 | 116,591人 | 133,653人 | 136,170人 | 140,620人 |
化学基礎 | 88,263人 | 105,937人 | 109,795人 | 114,863人 |
物理基礎 | 13,289人 | 18,304人 | 19,406人 | 20,941人 |
地学基礎 | 41,617人 | 47,092人 | 47,506人 | 48,336人 |
理系の科目選択の傾向とは全く異なる結果になっています。これは、生物基礎や地学基礎が暗記型の科目であることと、化学基礎よりも少ない時間で学習ができる点が要因になっているのではないでしょうか。
難易度によって平均点の変動が大きい科目
生物基礎の特徴は、理系の生物にも言えることですが、年度によって難易度にかなりの偏りがあることです。資料や文章の読解問題的な性質がある生物基礎。題意がくみ取りにくい問題や、資料の提示の仕方で大きく難易度が変動するようです。
科目 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
生物基礎 | 26.66点 | 27.58点 | 39.47点 | 35.62点 |
化学基礎 | 35.30点 | 26.77点 | 28.59点 | 30.42点 |
物理基礎 | 31.52点 | 34.37点 | 29.69点 | 31.32点 |
地学基礎 | 26.99点 | 33.90点 | 32.50点 | 34.13点 |
基礎科目の平均点は30点前後で推移しています。2科目の合計でちょうど6割ほどの得点になります。特質的なのが2017年度の生物基礎です。平均点でも39.47点と8割弱にまで平均点が上昇しています。化学基礎の平均点が低いので、生物基礎と化学基礎の選択で、両科目合計で7割程度の得点になった生徒が多いのではないでしょうか。
2017年度の生物基礎の平均点が高かった要因としては、実験・考察問題が少なく暗記系の問題が多かったこと、典型的な基本例題レベルの問題からの出題が大半を占めていたことがあげられます。
2018年度の生物基礎は、2017年度よりもやや難化しました。細かな知識を必要とする選択問題が増加し、データを考察させる問題が出題されたためです。計算問題は出題されませんでしたが、解答に時間がかかり、得点が伸びなかった生徒も多くいたようです。
生物基礎を勉強するにあたっての注意点
生物や地学は暗記系の問題が多く、覚えれば点数が取れると考えている方も多いのではないでしょうか。確かに覚えるところを覚えておかないと点数は伸びません。しかし、生物基礎では同時に実験・考察問題や資料の読解問題が必ず出題されます。
知識があっても問題の狙いや意図をくみ取らないと得点に結びつかないだけでなく、正確な知識がないと判別できない正誤問題も多くみられます。一見簡単そうに見える問題でも、点数がなかなか伸びないのはそのためです。
しかがって、教科書の細部までしっかりと暗記することと同時に、多くの実験考察問題をこなし、長文の問題になれておくことが必要です。模試などで出題される考察問題のやり直しに力を入れて、様々なパターンに慣れるようにしましょう。
共通テスト「生物基礎」で9割を取る勉強法!
生物基礎の時間と配点は60分で50点満点。設問数は16題~15題でマーク数は17程度です。対策ができている生徒は非常に速く解くことができ、15分で完答してしまう生徒もいます。先ほども述べたように、教科書の細部まで正確に暗記することと、多くの考察問題になれることが重要です。
問題の構成は大問3題の構成で、細胞やDNAなど生物と遺伝子に関する問題、ホルモンや免疫など体内環境の維持に関する問題、バイオームや物質の循環など生物の多様性に関する問題にわかれます。
生物や遺伝子に関する問題
ここは生物を学習するにあたっての根幹となる部分です。細胞のつくりやDNAのつくり、タンパク質の合成などは確実にマスターしましょう。ミクロメーターの計算問題や細胞周期の計算問題、シャルガフの法則、遺伝子数と塩基対に関する計算問題、だ腺染色体のパフの考察問題など典型的な応用論点をしっかりとマスターしてください。
ここは、生物の中でも日々革新おこるダイナミックな単元です。研究成果が日々、発表され、生物の謎がどんどん解き明かされてます。最新の研究内容などにも興味をもって触れるようにしましょう。
体内環境の維持に関する問題
ここは暗記量がものをいう単元です。暗記することが多い単元ですので、しっかりと知識を関連付けながら覚えるようにしましょう。あとは免疫やホルモンの量の変化など実験考察問も出題されますので、教科書や資料集に乗っている実験考察問題は細部までしっかりと確認するようにしましょう。
頻出単元は、血糖量調節に関するホルモンや自律神経の働き、生物の浸透圧の調節、腎臓の濃縮率や再吸収量に関する問題、獲得免疫に関する問題などです。ここは、典型例題をマスターすることで一気に点数がアップする単元でもありますので、必ず得点できる状態にしておきましょう。
生物の多様性に関する問題
ここは、旧課程の生物Ⅰにはなかった単元で、対策がおろそかにされやすい単元です。パッと見ると中学生で学習した内容で解けるような問題もありますが、意外と細かな知識が必要だったりする問題も多くみられます。最後まで教科書を読み込むようにしましょう。
よく出題される内容で、生徒が難しいと感じている内容は、バイオームの種類と具体的な植物を覚えることや、窒素の循環に関する内容、自然の浄化作用に関する内容、成長量などの物質収支に関する問題です。ここも典型的な出題パターンが見られますので、問題集や模試などを活用してパターンをしっかりと覚えてください。
9割取るための参考書や問題集はこれ!
教科書や資料集だけでも十分に9割を取れる実力がつきます。しかし、文系の生徒にとって、2次試験で使うことのない理科科目の学習に時間を費やしたくないのが実情です。英語や数学、社会科目に力を入れられるように、短時間で効率よく学習できるツールを揃えましょう。
共通テスト生物基礎の点数が面白いほどとれる本
共通テスト生物の第一人者である大森先生や大堀先生が書いたシリーズの本は確実に短期間で点数が上がります。覚え方や、覚えるべき内容、単元のポイントなどをしっかりと示してくれますので、教科書や資料集をただ読みこなすだけよりも、圧倒的に効率よく9割得点までもっていくことができます。
表紙のデザインを嫌う生徒も多いようですが、最速で点数を上げるツールであることは間違いありません。是非一度手に取ってみてみてください。
チャート式 30日完成!共通テスト対策生物基礎
数学でおなじみのチャート式問題集。文章量が多く時間がかかるイメージが強いのですが、生物基礎に限っては、良問揃いの非常に優れた問題集です。本当に解説も詳しく掲載されていますので、色んなタイプの良問をこなすには最適な問題集ではないでしょうか。
『面白いほどとれる本』や『共通テストはこれだけ!』シリーズを読み終え、予想問題集や実践問題集だけでは不安な生徒は活用することをお勧めします。
生物基礎一問一答
一問一答シリーズといえば、東進が出版している「生物基礎一問一答【完全版】」ではないでしょうか。高得点ねらう受験者は、ほとんどが手に取ったことがある参考書・問題集となっています。
つくりが非常に丁寧で、共通テストに出題される可能性がある分野をすべて網羅しています。すき間時間というか、生物基礎の主参考書にしてもいいのではないでしょうか。模試や過去問、予想問題を解きながら、この一問一答で復習するといった流れが最も望ましい勉強法です。
実践問題集、予想問題集
もちろん、予想問題集や実践問題集、あるいは過去問題集もやりこなしてください。良問が揃っていますので、時間配分や問題構成に慣れるためにも時間を計って解きたいところです。余力があるのなら、いくつかの予備校が出している予想問題集をやりこなすことをお勧めします。
ただし、理科だけに時間を費やすのはもったいないですので、他教科の勉強の進捗状況で判断してください。
【まとめ】生物基礎勉強法
生物は化学基礎よりも短期間で9割得点を取れるようになる科目です。しかし、記事中にも書いてあった通り、文章量が多く、実験やグラフなど意図がつかめないと得点につながりません。正誤問題も紛らわしいものが多く、正確な知識が必要になる問題も少なくありません。
勉強をしているけどなかなか点数が上がらない生徒は、どこで失点しているのかしっかりと見極めましょう。知識不足で失点しているのか、グラフの読解などで失点しているのかなどわかれば、自ずと対策の仕方がわかってくるものだと思います。
コメント