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高校地理総合|農牧業の種類と特徴を図解でわかりやすく整理【試験対策にも】

農牧業の種類と特徴アイキャッチ画像 地理歴史・公民
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農牧業は、自然条件や経済体制の違いによってさまざまな形態に分かれます。地理総合では、焼畑農業や遊牧、混合農業、企業的農業などの農牧業の種類ごとの特徴や分布、代表的な地域を理解することが重要です。この記事では、それぞれの農牧業の特徴をイラストや具体例とともに整理し、入試や定期テストに役立つ知識としてまとめました。地図と結びつけながら学習することで、暗記に頼らず地理的思考力を高めることができます!

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農牧業の種類と特徴

農牧業の種類 主な地域 特徴・ポイント 代表作物・家畜
焼畑農業 東南アジア・アフリカ・アマゾンなど 森林を焼いて畑にする。移動型。自給的農業。人口希薄地域で行われる。 タロイモ、キャッサバ、ヤムイモなど
遊牧 中央アジア、北アフリカ、西アジアなど 牧草を求めて家畜と移動。定住しない生活形態。乾燥・半乾燥地域に多い。 ヤギ、ヒツジ、ラクダなど
集約的稲作農業 東南アジア・東アジアのモンスーン地域 労働集約型。水資源を活用した稲作中心の自給的農業。人口密度が高い地域に多い。 米、野菜、家禽など
集約的畑作農業 中国北部・インド・中南米など 畑作中心の自給的農業。水の確保が難しい地域で穀物や豆類を栽培。 小麦、トウモロコシ、豆類など
地中海式農業 地中海沿岸、カリフォルニア、チリなど 夏乾燥・冬湿潤の気候を活かし、樹木作物と穀物を組み合わせた農業。 ブドウ、オリーブ、小麦など
混合農業 西ヨーロッパ、アメリカ中西部など 畑作と牧畜を組み合わせた農業。輪作や飼料作物栽培が特徴。 小麦、ジャガイモ、豚、牛など
酪農 アメリカ北東部、ヨーロッパ北部、日本 牛乳や乳製品を生産。都市近郊に多く、冷蔵・輸送技術の進歩で分布が拡大。 乳牛、チーズ、バターなど
企業的牧畜 アメリカ・オーストラリア・アルゼンチン 広大な土地で放牧中心。市場向け。機械化が進む。乾燥地域に多い。 牛、羊(羊毛)、馬など
企業的穀物農業 アメリカ・カナダ・オーストラリア 大規模・機械化・モノカルチャー。輸出向けの商業的農業。 小麦、トウモロコシ、大豆など
プランテーション農業 熱帯・亜熱帯地域の旧植民地 輸出用商品作物を大規模栽培。労働力は現地の安価な労働者。 バナナ、コーヒー、サトウキビ

農牧業図表

自給的農牧業

発展途上国に多い。農産物はおもに自給目的に栽培される。

焼畑

熱帯林を伐採して耕地を確保し、土壌に残った草木の根は火を入れて焼く。その灰を肥料とし、根菜類を栽培。

遊牧

定住地を持たず、水源や草地を求め季節毎に移動。乾燥地域の羊、ヤギ、寒冷地のトナカイ、高山地域のヤク、リャマなどの飼養が典型例。

オアシス農業

外来河川の流域や泉地 地下水などを利用した乾燥地域の農業。果樹, ナツメヤシ、綿花などを栽培。

アジア式稲作農業

年降水量1000mm以上のモンスーンアジアの沖積低地を中心に分布。家族労働を中心とする集約的経営で労働生産性が低い。

アジア式畑作農業

モンスーンアジア周辺の中国の東北・華北平原、インドのデカン高原などに分布。自給作物の穀物と換金作物の綿花、大豆などの栽培が多い。

商業的農牧業

先進国に多く土地・労働生産性が高い。農産物は販売目的で栽培。

商業的混合農業

中世の三層式、近代の自給的混合農業から発展。自給作物と飼料作物 牧草の輪作を行う有機的な土地利用が特徴。畑作と牧畜が連動したもの。

酪農

混合農業の牧畜から専門化したもの。都市の近郊で乳牛を飼養し、生乳・クリーム・チーズ・パター等の乳製品の生産を主目的とするもの。

園芸農業

混合農業の畑作から専門化したもの。野菜・果物・花弁など商品性の高い畑作物を都市の近郊で栽培する土地生産性の高い農業形態。

地中海式農業

夏季は耐乾性のオリーブ・コルクガシ・オレンジなどの果樹作物を栽培し、湿潤な冬季は小麦を栽培する地中海性気候の特性に適合した農業経営が特徴。

企業的農牧業

経営規模が大きく、機械化も進行し労働生産性の高い経営が特徴。経営の主体も農業関連企業(アグリビジネス)などが参入している。

企業的農業

プレーリー土、パンパ土、チェルノーゼムなど肥沃な黒色土の分布する半乾燥地域で、機械を利用し大規模に小麦が栽培されている。

企業的牧畜業

新大陸の草原地帯で営まれる肉牛の飼養を中心とした牧畜。食肉の商品化を目的とするが、混合農業や酪農に比べ, 粗放的な経営である。

プランテーション農業

熱帯・亜熱帯で欧米人が現地の人を雇い、資本や技術を提供して輸出用の商品作物の栽培を大規模、単一耕作で行う栽植農業。近年は経営が現地の人に移ったり、栽培する作物を多角化させる傾向が見られる。

商業的自営農牧業

共有の外耕地を3分割して、冬穀・夏穀・休耕地に区分し、10年程度で割替えるローテーションを組み、耕作する三圃式農業は、中世ヨーロッパの農村共同体を基礎としていた。

休耕地には牛や馬が放牧され、その排泄物が農地の地力を維持した。割替えは、肥沃度や距離などを勘案して行なわれ、やがて共有が廃止され固定し、休耕地にはビートなどが導入され、混合農業の発展につながった。また、外耕地に対して、当初から農家の私有地として菜園、あるいは裏の畑の性格が強い内耕地は、採算がよければ拡大されて園芸農業の樹園地や野菜畑として、あるいは外耕地とともに酪農の飼料畑として利用された。ときには、豚・鶏・泉などの小動物が飼われた。

混合農業

混合農業は、穀物生産と飼料作による肉牛などの家畜生産とが混合した農業であるが、一部では小麦など穀物生産、あるいはトウモロコシや牧草などの飼料生産に特化し始めている。

  • ヨーロッパ:アルプス山脈より北↓穀物・飼料作物の栽培と家畜の飼育を組み合わせた農業(ライ麦、小麦、じゃがいもなど)
  • ロシア:タイガの南側には混合農業がみられるが、ロシア南部からウクライナには黒色士(チェルノーゼム)帯が広がり、小麦を中心とした穀倉地帯となっている。
園芸農業

園芸農業は、オランダの花卉栽培、温暖な大西洋岸地中海岸の野菜のいわゆる促成栽培や、ボルドー・ブルゴーニュなど条件がよい耕地では、ブドウ畑がみられる。

酪農

酪農は、おもに通年牧草が枯れない冷夏暖冬の西岸海洋性気候地帯でみられ、とくにチーズ・バター生産では銘柄品の各種チーズが有名である。また、夏季は山地で放牧し、谷間で飼料を栽培し、冬季は谷間で牛や羊を舎飼いする酪農は、移牧とも呼ばれ、アルプスだけでなく地中海式農業の一部として、地中海地方の山地にみられる。

地中海式農業

地中海式農業は、ヨーロッパのみならず中近東やアフリカの地中海岸にもみられる。その特徴は、同時栽培(ポリカルチュア) にあって、耕地が樹園地であると同時に、畑である。樹木は、オリーブ・ブドウが指標作物である。柑橘類は、14世紀にアラプ人が伝えた灌漑技術によって、栽培されるようになった。樹間は小麦畑と休耕地の二圃制で、羊や山羊が飼育され、夏季に山地にトラックなどで運ぶ移牧がみられる。しかし、樹間作物が廃止されて、樹園地に特化した園芸農業も行なわれる。

農牧業の理解は、自然環境と人間の生活の関係性を読み解くための大切な鍵です。それぞれの農牧業の特徴と背景を押さえることで、地図や気候、経済とのつながりもより深く見えてきます。この記事を参考に、用語だけでなく「なぜその地域でその農業が行われているのか」という視点を持って学習を進めましょう。

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