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【高校地理】ロシアの農業と工業のポイント

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【高校地理】ロシアの農業についてまとめています。ロシアと聞いて、まず思い浮かぶのはその広大な国土と豊富な資源でしょう。地理的にも気候的にも多様な条件が存在するロシアでは、農業や工業の形態も独特です。
黒土地域での農業、ウラル地方を中心とした資源型工業、そして世界有数のエネルギー輸出国としての姿——これらは高校地理でも重要な学習テーマとなっています。この記事では、ロシアの農業と工業の特徴やポイントをわかりやすく整理し、試験対策や知識の強化に役立つ内容をお届けします。ロシアの地理を深掘りしていきましょう!

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ロシアの農業

分類 内容
農業の特徴 ・農業地帯は主に南部の黒土地域(チェルノーゼム地帯)や西シベリア平原に分布
・冷涼な気候が多く、農業生産に適した地域は限られる
主な農作物 ・小麦:黒土地域で生産が盛ん
・ライ麦:冷涼な地域でも栽培可能
・ジャガイモ:ヨーロッパロシアで重要な作物
・甜菜(砂糖の原料):中央地域で栽培
農業形態 ・大規模農業:国営農場(ソフホーズ)や集団農場(コルホーズ)の伝統を引き継いだ大規模農場が多い
・個人農地(ダーチャ):家庭菜園的な役割も担う
土地利用の制約 ・永久凍土:北部やシベリアでは永久凍土の影響で農業が難しい
・ステップ地域:降水量が少ないため乾燥地農法が必要
気候の影響 ・亜寒帯気候(タイガ地域):北部では森林が広がり、農業には不適
・温暖湿潤気候:南部は比較的温暖で農業が盛ん
輸出入の動向 ・小麦の輸出が世界有数(主要輸出先:アフリカ・中東)
・冷涼な気候のため果物や野菜は一部を輸入に依存
課題 ・労働力不足:人口減少や農村部の過疎化
・農業技術の遅れ:近代的な農業技術導入の遅れが収量の伸び悩みにつながる
現代の動向 ・農業の機械化が進行
・外国資本の導入:輸出市場向けの農業生産が増加
・気候変動:温暖化により新たな作物の栽培地域が拡大する可能性

北ユーラシアの自然は、北極からの寒冷な気団と西からの温暖湿潤な空気が独特の地帯構造を示している。ユーラシア大陸は、北極海の東半球側の東経30度から西経170度を囲むように広がっている。

まず、北極周辺から流れ出す極高気圧の寒気の影響を受けて、北から永久凍土の上に地衣類や華書類が広がるツンドラ地帯、針葉樹林の続くタイガ帯が同心円状にみられ、ロシアの全森林面積は地球の森林の5分の1を占める。

ただ、経済的に利用できる森林は、その3分の1程度と見積もられている。タイガ帯では少数民族によるトナカイ遊牧や狩猟、気候条件のよい南部では牛馬の畜産が行なわれている。

  • 国土面積…約170010万キロ平方メートル。世界最大の面積を持つロシアは、ユーラシア大陸の北部にバルト海沿岸から太平洋まで東西に伸びる広大な国土を持つ。その面積は日本の約45倍。
  • 自然…全世界の陸地の約8分の1を占める。冷帯・寒帯が広く、広大な針葉樹林帯(タイガ)が広がる。

ウラル山脈・東のシベリア

ウラル山脈から東のシベリアには、南縁に春小麦地帯、その北に飼料作を加えた混合農業がみられるが、広く森林に覆われて、鉄道にそって林業が行なわれているものの、植林まで行なわれず、伐採・搬出する略奪的な経営で、地域の重要性は鉱業に譲られる。

大西洋の影響がみられるヨーロッパ・ロシアでは、植生がタイガから温帯林、プレリー(長草大草原)、ステップ(短草平原)と南に向かって変化する。タイガの南側には混合農業がみられるが、ロシア南部からウクライナには黒色士(チェルノーゼム)帯が広がり、小麦を中心とした穀倉地帯となっている。

  • 混合農業…耕種と牧畜とをあわせて行う農業。牧畜の内容が乳牛飼育の場合は酪農と呼ぶが,混合農業では肉用家畜飼育が主。

ロシアの農牧業

ロシアの農牧業適地は少なく、不利な自然条件を克服するために、耐寒性品種の育成・沼沢地の干拓・乾燥地域の灌漑などによる農牧業地域の拡大、農業機械・化学肥料の投入などをはかってきた。

ソ連の崩壊後は、集団農場や国営農場が私有化され、農民グループや農民個人の土地所有になって生産意欲が向上し, ルーブルの下落もあって輸出が伸長した。

しかし、乾燥地や寒冷地は気候変化の影響を受けやすく、年 ごとに生産量の変動が著しく、不作の年には、国内需要を優先して、輸出制限を課し、世界全体の農産物価格を上昇させることもある。

  • トナカイの遊牧…極北に至る広い範囲
  • えん麦・大麦…おもに飼料とする
  • 酪農…牧草栽培と乳牛飼育
  • ライ麦・じゃがいも手㎜主食とする作物栽培
  • 春小麦…チェルノーゼム
  • 大麦…大麦は適応力が強い
  • 地中海式農業…綿花は灌漑が必要
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ロシアの鉱工業

分類 内容
工業の特徴 ・資源を基盤とする重工業が発展
・旧ソ連時代からの工業基盤を引き継ぐ
・大規模な工業地域が形成されている
主要な工業地域 ・モスクワ周辺:消費財工業が発達
・ウラル地方:資源型工業が盛ん(鉄鋼・機械)
・西シベリア:石油・天然ガス関連工業
・サンクトペテルブルク:造船・機械工業
主な工業分野 ・エネルギー産業:石油、天然ガス、石炭
・鉄鋼業:ウラル地方が中心
・機械工業:軍需産業から民生品まで
・化学工業:天然ガスを利用した化学肥料の生産が盛ん
資源と工業の関係 ・エネルギー資源(石油、天然ガス):西シベリアやカスピ海沿岸での産出が多い
・鉱産資源(鉄鉱石、ニッケル、アルミニウム):ウラル山脈や東シベリアが主要産地
輸出の特徴 ・石油や天然ガスを中心としたエネルギー資源が輸出の大半を占める
・金属資源や武器の輸出も重要
課題 ・産業構造の偏り:エネルギー資源への依存が高い
・インフラの老朽化:ソ連時代の施設が多く老朽化が進行
・労働力不足:人口減少が進む中での工業労働力の確保
現代の動向 ・新興市場の開拓:アジア市場へのエネルギー輸出が増加
・技術革新:IT産業や先端技術分野への投資が進む
・環境問題への対応:再生可能エネルギーの導入も模索中
工業の地理的制約 ・気候:寒冷な地域での工業活動はインフラ整備が困難
・広大な国土:輸送コストが高く、生産拠点の分布に偏りが生じる

1917年の革命前のロシアでは、サンクトペテルブルクやモスクワの軽工業、バクー油田、ウクライナの鉄鉱石・石炭による鉱業など、その多くがイギリスやフランスなど外国資本に押さえられ。ウラル山脈以東のシベリアは未開発だった。

  • ロシア革命…ロシアでは戦争や皇帝の専制に対する不満が爆発。1917年労働者のストライキや兵士の反乱が続き、レーニンの指導のもと、世界で初めて社会主義の政府ができた。

五カ年計画

旧ソ連は、1928年から12次に及ぶ五カ年計画を通じて、重工業優先の工業化と原料産地に基礎をおく工業地域(コンビナート)を計画的に配置した。

  • 第一次五カ年計画…ウクライナのドニエプルコンビナート
  • 第二次五カ年計画…ウラル・クズネツクコンビナート(のちに石炭供給地は、グズネツクからカラガンダにかわる)
  • 第三次五カ年計画…アンガラ・バイカル・極東・中央 アジアでのコンビナート建設が進められた。

第二次世界大戦で、ヨーロッパ・ロシアの工業地域が手痛く破壊されたソ連は、1956年からの第六次以降、東部地域の開発に努力した。

現在の工業地域

現在もなお、工業の中心はモスクワ・サンクトペテルブルク・ドニエプルなどの市場に近い地域を中心とした西部地域であるが、ウラル・中央アジア・シベリアをあわせた東部地域の工業生産額が増大している。なかでもエネルギー開発は目覚ましく、エニセイ・アンガラ水系のクラスノヤルスクやブラーツク発電所、バクー油田に代わる第二バクー(ボルガ・ウラル)油田、さらにはウラルの東にある西シベリア油田(別名チュメニ油田)が 開発されている。

  • ウラル山脈周辺…鉄鉱石や石炭を中心に資源立地のウラル工業地域が成立し、重工業が立地している。
  • シベリア…1984年に開通したバム鉄道(第一シベリア鉄道)がシベリア鉄道の北数百kmをほぼ並走して、石油・天然ガス・石炭・銅鉱などが開発されている。

ソ連解体後、私有化で一時混乱したが、海外資本の流入や石油・天然ガスの価格の高騰によってロシア経済は好景気に沸き、加えて生産の峠を越えた西シベリア油田に代わって、東シベリアのヤクート油田やさらに東のサハリン油田も開発されるなど、資源大国の地位を確保している。

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