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要約型小論文講座!要約の練習問題に挑戦

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要約型小論文を課す大学は非常に多いようです。単に受験者の意見を聞きたいのではなく、課題文を前提にしてどのような意見を繰り出してくるのかを見ているのです。大学の授業や論文を書く際に必要な「要約力」や「論理力」を問うているのです。今日は、簡単な例文をもとに要約の練習を行っていきましょう。

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要約の練習問題

次の文章を読んで、内容を200字程度で要約しなさい。

我々が住むこの世界で本当に具合の悪いところは何か。それは、この世界が非合理の世界だということではない。合理的な世界だと言うことでさえもない。いちばん具合が悪いのは、この世界がほとんど完全に合理的でありながら、しかも完全に合理的ではないということだ。
人生は非論理の塊ではない。しかし、論理家の足許をさらう程度には非論理的である。見た目には論理的に見えるのだが、その下に不正確なところが隠れている。いいかげんなところが待ち構えている。
かりにどこかの天体から非常に数学的な生物がやって来て、人間の体を仔細に点検したとする。すぐに判明することは、人間の体はいつも左右対称だということだろう。右半分の人間は左半分の人間と正確に対応している。右に脚があれば左にも脚がある。この事実に気付いた宇宙人はさらに次の発見に進んでいく。どちらの側にも同数の手の指があり、足の指もまた同数である。目が一組、耳も一組、鼻の穴も一組、さらには頭の中の脳葉まで左右一組になっている。ついに宇宙人はこれを一個の法則と考えるに至るだろう。そして、次に、一方の側に心臓のあることを発見して、当然もう片側にももうひとつ心臓があるに違いないと推論する。ところがその時、まさに推論の正しさをもっとも深く確信したその瞬間、それが誤りであったことを思い知らされるのだ。
地上のあらゆるものの薄気味悪いところは、まさしくこの、黙って論理をほんのちょっとだけズラしてあるという点にある。まるで宇宙全体がひそかに陰謀をめぐらしているかのようだ。リンゴでもミカンでも、たしかに丸いといっていいほどに丸いのに、実はまるきり丸くはない。地球そのものからして、みかんのような形をしているものだから、頭の単純な天文学者はうっかりその罠に引っ掛かって、地球のことを「球」などと読んでしまうのだ。世界のどこを見ても、黙ってこっそり計算を狂わしているところが至るところに見つかるのだ。だから合理主義者の手からするりと抜けてしまうのだが、しかも、いよいよという時までじっとしていて、いかにも捕まりそうな顔をしているから始末が悪い。科学者たちは、平板な土地があまりにも好きなものだから、いまでも調査隊を編成して北極探検に乗り出している。それと同じように、別の科学者は調査隊を編成して、人間心理の探検に繰り出している。けれども彼らの求める心理にはたして真理は宿っているかどうか。ひょっとすると、右半身に心臓の宿っているのを必死に探しているようなものではないか。
であればこそ、科学者は隠れた歪み、予期せぬ出会いを注意深く読み取っていくのがいちばんである。例の宇宙から来た数学者にしても、腕が二本、耳が二つあるのを見て、肩甲骨も二枚、脳も二葉あると推論するだけなら普通の数学者というものである。しかももし彼が、人間の心臓は左に一個あるだけが正しいのだと想像したとするならば、これはもう単なる数学屋以上だと言わねばならない。出典引用:『正統とは何か』G・K・チェスタトン(1908年)

文章を分析してみると

第1段落で「本当に悪いところ」というかなり強い表現を使って、筆者が言いたいことが書かれています。

「我々が住むこの世界で本当に具合の悪いところは何か。それは…この世界がほとんど完全に合理的でありながら、しかも完全に合理的ではないということだ。」

ここは非常に重要なところだと考えてよさそうですね。

第2段落は、第1段落の「繰り返し」になっています。第3段落では、宇宙人を使った「たとえ」になっていて、他の例でも構いませんので重要ではありません。

第4段落では、私たちの世界は合理的であるかのように見えて、実際には非合理性が隠れて存在しているのだということを繰り返し、畳みかけるように訴えています。

「地上のあらゆるものの薄気味悪いところは、まさしくこの、黙って論理をほんのちょっとだけズラしてあるという点にある。」
「世界のどこを見ても、黙ってこっそり計算を狂わしているところが至るところに見つかるのだ。」
「いよいよという時までじっとしていて、いかにも捕まりそうな顔をしているから始末が悪い。」

第1段落での主張と、第4段落での「繰り返し」を把握すれば、この課題文の主題が明らかになります。

それと、この文章の中でもう一つ繰り返し登場する指摘があります。

「頭の単純な天文学者はうっかりその罠に引っ掛かって、地球のことを「球」などと読んでしまうのだ」
「合理主義者の手からするりと抜けてしまうのだ」
「科学者は…右半身に心臓の宿っているのを必死に探しているようなものではないか」

このように、隠れた非合理性に気づかないで間違った議論をしてしまっている科学者が多いという指摘も含まれています。

そして、最終段落で筆者はこう提言しています。

「科学者は隠れた歪み、予期せぬ出会いを注意深く読み取っていくのがいちばんである。」

要約すると

では、この文章を要約してみましょう。

  1. この世界がほとんど完全に合理的でありながら、隠れたところに非合理性が存在している。
  2. その隠れた非合理性に気づかないで合理性ばかりを求める科学者は、正しい道に進むことができない。
  3. だから科学者は合理性の陰に隠された非合理性に目を向け、それを注意深く読み取っていくことが重要である。

要約の解答例

 この世界はほとんど完全に合理的でありながら、隠れたところに非合理性が存在している。その隠れた非合理性に気づかないで合理性ばかりを求める科学者は、正しい道に進むことができない。だから科学者は合理性の陰に隠された非合理性に目を向け、それを注意深く読み取っていくことが重要である。

要約の方法は?

課題文などの要約はどのようにすればいいのでしょうか。気を付けておきたいのが、要約とはただ単に、課題文の縮小版をつくるということではないということです。要約はその課題文の中でも、特に重要なことだけを取り出す作業になります。

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