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大学入試小論文「AI(人工知能)が労働に与える影響について」

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大学入試小論文「AI(人工知能)が労働に与える影響について」です。

・出題学部:全学部共通・商学部・経済学部・医学部
・重要度:高い
・難易度:普通

AI(人工知能)が労働に与える影響の調査結果
AIと仕事の調査結果

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AI(人工知能)が労働に与える影響についての問題

【問題】特化型人工知能は、翻訳や自動運転などの特定の操作を行うことで、私たちの生活をより便利なものにした。しかし「汎用人工知能」はそれ以上に様々な知的作業を行うことが可能である。汎用人工知能には利点や問題点が色々存在するが、未来は私たち次第で変わるため、世界をユートピアにするためには現在の社会制度や経済システムのあり方を大きく変革しなければならず、その未来の世界に汎用人工知能が大きく影響すると考えられる。

このように、「汎用人工知能」が 2030年頃に出現すると仮定すると、どのような影響が考えられるか、あなたの考えを 800字以内で述べなさい。

AI(人工知能)が労働に与える影響についての解答例

【解答例】「汎用人工知能」が2030年に出現すると、次の三つの影響が出ると考える。

まず、人がやりたくないようなことを代わりに人工知能がしてくれるようになるだろう。文章にあるように、汎用人工知能は様々な知的作業をこなすことのできる人工知能であるため、今まで人間が行ってきたことを人工知能が代わりにすることになる。この特性を上手く活かすことができれば、消火活動や下水道工事、ゴミ収集などの作業を人工知能に任せることができるだろう。これらの仕事は、命の危険があったり、悪臭などで人々が好んでやらない仕事であるため、現在地方行政が税金を使い、その役割を担っている。もし、これらの仕事を人工知能が代替することができれば、今までかかった人件費を抑えることができ、余った税金を町の活性化に充てることも可能だろう。

また、科学技術の発展速度はますます速くなるかもしれない。様々な知的作業を行う汎用人工知能と人間が協力して研究することができれば、今まで寝る時間を惜しみ研究を続けた科学者たちが汎用人工知能に夜中の作業や研究をまかせ、その間に睡眠を取ることができる。良質な睡眠はより良い思考につながるため、研究者たちはより画期的なアイディアを思いつくようになり、より集中して研究に励むことも可能となる。

しかし、このようないい影響だけが出るとは限らない。もし汎用人工知能の制御が効かなくなるとどうなるだろうか。汎用人工知能は、人間同様の知的作業を行うことができるため、本質的にはそうでなくとも、人間の知能に近いものを持っていることになる。そのため、万が一汎用人工知能の搭載されたロボットなどの制御が効かなくなってしまうと、人に対して攻撃したりと、人の命を脅かすような存在になるかもしれない。そうなると汎用人工知能は安心して使えず、その後の世界の安全性が危惧される。

汎用人工知能が2030年に出現すると以上のような影響が出ると予想される。

AI(人工知能)が労働に与える影響についての講評(一部抜粋)

汎用人工知能の出現に伴う様々な影響を探求しており、概ね良好な構造と明確な論点を備えています。それぞれのケースにおいて労働市場や科学技術の発展に対する影響を具体的に描写できています。また論文の構成も、まず「人がやりたくないことの代行」から「科学技術の発展」という順序で進み、最後に「制御の問題」に焦点を当てています。これにより、議論の流れを追いやすくなっています。

【改善点】
論拠と具体例の追加:論文の主張を支えるために、具体的な論拠や現実的な例を追加すると良いでしょう。たとえば、人工知能が実際にすでに存在する用途や成功例を挙げると、論文の信頼度が上がります。

影響のバランス: 良い影響だけでなく、悪い影響についてもより具体的に掘り下げると、より詳細な洞察を得られるでしょう。例えば、制御が効かなくなった場合の事態やその対策についても考察してみてください。

言葉の選定: 「人工知能がやりたくないようなことを代わりにする」という表現は、もう少し具体的で専門的な言葉に置き換えると、たとえば、「人工知能が非効率的かつ危険なタスクを自動化する」といった具合です。

同様に、「良質な睡眠はより良い思考につながる」という表現も、科学的な根拠を追加すると良いでしょう。たとえば、「十分な質と量の睡眠は、神経系や認知機能に対する肯定的な影響が確認されている。深い睡眠段階において、脳は情報を整理し、長期的な記憶の形成や問題解決能力の向上に寄与する。また、睡眠不足は認知機能の低下や注意力の散漫化を招くことが科学的に示されている。したがって、充実した睡眠習慣はクリエイティブな思考と問題解決能力の向上に寄与するのである。」

AI(人工知能)が労働に与える影響についての添削

※一部公開
<構成について>
最初に三つあると提示してあるので、「まず~、次に~」より、「一つ目は~、二つ目~は、三つ目は~」とするといいでしょう。または、今回の場合であれば、いい影響が二つ、悪い影響が一つあるように提示するなど。であれば、いい影響は、まず~。次に~。悪い影響は、~。としてもいいです。

<添削>
添削➊
✕(原文)これらの仕事は、命の危険があったり、悪臭などで人々が好んでやらない仕事
〇(修正1)これらの仕事は、命の危険があったり、悪臭があったりなどで人々が好んでやらない仕事
〇(修正2)これらの仕事は、命の危険や悪臭などで人々が好んでやらない仕事

添削➋
✕(原文)人に対して攻撃したりと、人の命を脅かすような存在
〇(修正1)人に対して攻撃したりと、人の命を脅かしたりするような存在
〇(修正2)人に対しての攻撃や人の命への脅威となる存在

⇒「~たり、~たり」と並列の関係になるように、連続して使用します。または、(修正2)のように、品詞を名詞にして揃えることもできます。論文を書く際は、できるだけ(修正2)のように名詞(熟語)を使うことで文を引き締めることができます。

質問への回答

(Q:質問)本来であれば、今回の小論文で汎用人工知能による影響を述べた後に、問題点の解決策を書く予定でしたが、問題文が「どのような影響が出るか?」というものだったので、それを控え、代わりに出るであろう影響の数を増やしました。今回のような問題でも影響に対する対策は内容に盛り込んでも良いのでしょうか。

(A:回答)対策を織り込んでもよかったでしょう。たとえば、反駁(確かに~、一方で~)、今回であれば、しかし~の段落に、そこでさりげなく対策を織り込むという感じです。そうすることで、自身の見識の広さをアピールすることができます。論文は、ある面において面接でもあります。

(例)(反駁)一方で、仕事は確実に汎用型人工知能にとって変わられるという危惧もあるだろう。しかし、19世紀の産業革命のときのように、現在存在しない多くの仕事が誕生すると考える。時代の変革には、多くの仕事が生まれるのは常だ。たとえば、人工知能(AI)事業開発責任者や人間と機械の協働責任者、AIが取得したビッグデータを元に活用する仕事、コミュニティを伴う仕事など数多く生まれると思う。このように、仕事が奪われることへの心配は無用である。

制御問題の新たな視点

制御問題については、それこそ、人工知能にも倫理観が問われるのかもしれません。一個人の人格とみなすならば、道徳観もですね。何事もゼロリスクはありえません。たとえば、人間や車であっても、毎日、事件や事故で人を殺します。

ここで、ベンサムの功利主義にある最大多数の最大幸福という考えがあります。それは、正義とは、幸福の総和を最大化であるという考え方で、先生は支持している立場です。例えば、車の場合、日本では、毎日平均30人の人が交通事故で亡くなる。しかし、通勤や運送なので、毎日平均1000万人以上の人々へ貢献している。よって、車を導入すべきである。現在は、そこにAIの進化もあり自動運転も可能ですね。交通事故死は、限りなく0に近くなっていくのではいでしょうか。このように、ベンサムの功利主義は、幸福になる人が多いのであれば、多少の不利益は目をつむるってことですね。ただし、その不利益や不都合の部分は改善をしていくということが大事ですね。

もう1点。人工知能を制御できなくなったときに、誰が責任を取るかって問題も潜んでいますが、今回は割愛します。

本当に仕事は奪われるのか?

19世紀の産業革命期は多くの仕事がなくなりましたが、それ以上の多くの仕事が生まれました。

たとえば、自動車ができたことにより、馬車はなくなりましたが、ガソリン製造業者、ガソリン販売業者、タクシー運転手、バス運転手、車の修理屋、エンジニア、部品加工業者、中古車販売者、車を運ぶ運搬業者、事故処理を行う業者、レンタカー屋、車の装飾品販売など。間接的には、旅行の拡大、ラジオの普及、音楽のCD販売、ファッションの拡大など国全体の経済の発展につながりました。このように、車だけでも、本当に多くの仕事を生み、多くの業界にもいい影響を与えましたね。

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