「自立とは何か?」——これは大学入試の小論文で頻出のテーマの一つです。しかし、一言で「自立」といっても、「経済的な自立」「精神的な自立」「社会との関わり」など、さまざまな視点から考えることができます。そのため、単に「一人で生きていく力が自立である」と結論づけるだけでは、不十分な答案になってしまう可能性があります。
本記事では、「自立とは何か?」というテーマについて、論じる際のポイントや高評価を得るための書き方のコツを解説します。さらに、具体的な解答例も紹介するので、実際の答案作成に役立ててください。小論文の得点を上げるために、ぜひ最後まで読んでみてください!
自立とは?
一般的な定義としての自立とは、自分のことが自分でできる状態にあることをいいます。また同時に他者のためにも進んで働きかけることができる状態にあることでもあります。
「真の自立とは何か」受験生の解答例
「真の自立とは何か」
自立とは何か。それは決して「一人で生きていく力」を指すのではない。むしろ、人は生涯にわたり、他者と協力し合いながら生きる存在である。真の自立とは、経済的に自らを支えながらも、他者の存在を認め、助け合う姿勢を持つことではないだろうか。この考えに至った理由は二つある。
第一に、「大人であること」への過剰な幻想があるからだ。多くの子どもは、大人になれば思い通りに生きられると考える。しかし、年齢を重ねてもその幻想を捨てきれない人は少なくない。かつての私もそうだった。自分の考えが正しいと思い込み、他者の意見を顧みず、独善的に行動したことがある。しかし、いくら理想を掲げても、周囲の支えなしに実現できるものなど一つもなかった。自由に振る舞うことが自立ではなく、むしろ他者の意見を尊重し、共に歩むことこそが、大人の条件なのだと気づいた。
第二に、経済的な自立は決して単独で成し遂げられるものではないからだ。利益を得るには、商品やサービスに対価を払う人が必要であり、自分が何かを購入する際にも、それを提供する人がいる。社会は、無数のつながりによって成り立っている。たとえ社長や総理大臣であっても、「自分は多くの人々に支えられている」と謙虚に感謝できなければ、真に自立した存在とは言えないだろう。
自らの道を歩みながらも、助け合いの精神を忘れないこと。それこそが、大人になる上で不可欠な資質である。「お世話になっています」と口にすることは容易い。しかし、本心から謙虚に感謝を伝えられる大人はどれほどいるだろうか。社会的地位ではなく、他者との関係の中でこそ、大人であるか否かが問われるのではないか。
自立についての講評(抜粋)
この論文は、大人になるために必要な力について独自の視点を提供しています。論文全体を通じて、自立と協力の両方が成熟した大人になるために不可欠であることが示唆されています。また、論文全体を通じての論理展開が一貫していることは良い点です。全体として、論文の内容は明確であり、具体的な例を挙げて説明しているため、読者(採点者)にとって理解しやすく採点しやすい論文といえるでしょう。
■ より得点を上げるポイントとして
より評価を高めるためには、「構成」に工夫の余地があります。具体的には、序論、本論、結論が欲しいと感じました。序論では、全体の論旨と論拠を明確にし、読者に読み進める価値があることを示すことが重要です。本論では、論旨をさらに展開し、例や具体的な証拠を提示することが大切です。結論では、論文全体のポイントを簡潔にまとめることが求められます。
■ ここは改善しておきたいポイントとして
主張に対して、深い洞察が必要。具体的には、自立と協力の関係について、さらなる例や具体的な状況を挙げて説明することです。できれば、大人になる過程での自己成長や他者との関わりについての示唆も加えることで、論文がよりよいものとなります。
自立について深堀り
最近、社会のさまざまな場面で自立できない若者が増えてきているいう現実があります。彼らは、自己中心的であったり、他者に対して無関心であったりします。このような若者が増えてることは、共生が基本となる社会を維持していくうえで大きな問題となります。
いいろいろな人たちと共に(共同して)生きること。また、動物や植物などを含めた自然環境と共に生きることを指すこともあります。
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