大学入試小論文「SNSなどネットとの付き合い方の考察・解答例」です。
SNSなどネットとの付き合い方の解答例
【問題】課題文を読んで、あなたの意見を500字以内で述べよ。
現代の若者は、自己承認や人との繋がりの所有を目的に、ネットや携帯を利用する。これは、グローバル化による絶対的、普遍的価値の揺らぎが理由である。人々が、ネットを通じて自身と同様の価値観を持つ具体的な他者から承認を得ていることから、人間関係を広く開くはずのネットが、皮肉にも人間関係を分断していると捉えられよう。価値観の異なる中でも自己有用感を持てる社会の仕組み、親の異質に包括的な姿勢が対策となる。
筆者は、ネットが人間関係の分断を加速させていると述べているが、私はこの意見に賛同しない。人間関係の分断の原因は、我々自身が多様な価値観に寛容でないことだと考える。ネットは、個々人の考えの共有、世界中の人との交流を可能にしている点から、むしろ、人間関係を広く開くという本来の利点を発揮しているといえよう。
例えば、ツイッターでは世界中の人々がリアルタイムで発言、交流している。これは、ネットが我々の人間関係を広く開いている証拠である。しかし、そこで他者をブロックする者がいることは、我々人間が異なる価値観の人間を拒否することの現れだろう。よって、多種多様な価値観や人と関わる機会をネットが提供してくれていても、我々が異質に排他的である限り、人間関係を広げることは不可能なのである。
様々な価値観の他者と関わることができる人間を増加させるには、協調を第一とする日本特有の教育方針を改め、幼少から互いの「異」を尊重できる環境作りに徹するべきだ。
人間関係の分断化を加速させているのは、ネットではなく我々自身である。異質に寛容な人間性の保持こそが、人間関係広く開くと私は考える。
SNSなどネットとの付き合い方の講評(一部抜粋)
この主張では苦しいといったところ。
「人間関係の分断の原因は、我々自身が多様な価値観に寛容でないこと」はわかります。そうであるのだから、インターネットやSNSの登場が、確証バイアス(注➊)により、人間関係の分断が加速したのではないか?と反論されたらどうだろう。
筆者は、「若者対策としては、まず親たち自身が異質な他者に対して関係を開いていく姿勢」と述べていて、■■さんの「異質に寛容な人間性の保持こそが、人間関係広く開く」は、ほぼ同じ意見なので、筆者に同意として、論を展開も、さほど、論の展開や中身は変わらなかったのかなと思います。
【注➊】「確証バイアス」
確証バイアスとは、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証する情報を無視したり集めようとしなかったりする傾向のことをいいます。最初に思い込みがあると、多様な情報があっても、最初の考えを支持するような情報ばかりが目に付いてしまうのが確証バイアス。特に、インターネット、SNSでは、その傾向が強い。
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